瀬戸内・関西エリアで見るべき安藤忠雄の美術館建築ベスト10
直島がある瀬戸内エリアおよび関西には、安藤忠雄が手がけた名建築が複数存在する。今年は瀬戸内国際芸術祭の広域連携事業として、初めて「瀬戸芸美術館連携」プロジェクトが行われており、これらを周遊することも可能だ。本稿では、とくに行くべき美術館を中心に紹介したい。

「瀬戸内国際芸術祭2025」が開催されている今年(春会期は終了。夏会期:8月1日〜8月31日、秋会期:10月3日〜11月9日)。同芸術祭の広域連携事業として、「瀬戸芸美術館連携」プロジェクトをスタートさせた。このプロジェクトでは、香川県立ミュージアム、高松市美術館、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、直島新美術館、岡山県立美術館、大原美術館、兵庫県立美術館、横尾忠則現代美術館の香川県4館、岡山県2館、兵庫県2館の計8館が参加。8館の主要展覧会を1回ずつ鑑賞できる共通チケットを販売するとともに、展覧会を周遊できる5種類のツアーも設定されている。このなかには、「安藤忠雄 建築鑑賞コース」(2泊3日)もあり、瀬戸内・関西エリアに点在する安藤忠雄建築を効率的に巡ることが可能だ。本稿では実際にこのツアーに参加、。ツアーで周遊する安藤の美術館建築をまとめてお届けする。
ベネッセハウス ミュージアム

年間75万人(瀬戸芸開催年)が訪れる、まさに「現代アートの聖地」である直島。この直島巡りの拠点となるのが、ベネッセハウス ミュージアムだ。
1992年にオープンしたこの施設は、直島に初めてできた安藤忠雄建築。宿泊施設と美術館施設が融合しているが、主役となるのはアート。つまり、「美術館の中に泊まる」ことができる施設だと言っていい。館内には、この場所のために制作されたインスタレーションをはじめとする多様な作品が長期展示されており、今年2月には常設展示替えが行われた。
館内の中心部シリンダーホールには、同館でもっともアイコニックな作品であるブルース・ナウマンの《100生きて死ね》が鎮座する。コミッションワークではないものの、ベネッセの「よく生きる」を体現するものとして展示されており、美術館建築と見事な融和を見せる。
また屋外の壁面には、1994年より杉本博司の「タイム・エクスポーズド」が常設展示。瀬戸内の水平線と接続する作品群をぜひ体感してほしい。

©Hiroshi Sugimoto
撮影=安斎重男
なおベネッセハウス ミュージアムは宿泊者限定で夜間も作品鑑賞が可能となっているので、ぜひ宿泊してナイトミュージアムを楽しんでもらいたい。