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2025.6.22

瀬戸内・関西エリアで見るべき安藤忠雄の美術館建築ベスト10

直島がある瀬戸内エリアおよび関西には、安藤忠雄が手がけた名建築が複数存在する。今年は瀬戸内国際芸術祭の広域連携事業として、初めて「瀬戸芸美術館連携」プロジェクトが行われており、これらを周遊することも可能だ。本稿では、とくに行くべき美術館を中心に紹介したい。

文=橋爪勇介(ウェブ版「美術手帖」編集長)

李禹煥美術館 撮影=山本糾
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 「瀬戸内国際芸術祭2025」が開催されている今年(春会期は終了。夏会期:8月1日〜8月31日、秋会期:10月3日〜11月9日)。同芸術祭の広域連携事業として、「瀬戸芸美術館連携」プロジェクトをスタートさせた。このプロジェクトでは、香川県立ミュージアム高松市美術館丸亀市猪熊弦一郎現代美術館直島新美術館岡山県立美術館大原美術館兵庫県立美術館横尾忠則現代美術館の香川県4館、岡山県2館、兵庫県2館の計8館が参加。8館の主要展覧会を1回ずつ鑑賞できる共通チケットを販売するとともに、展覧会を周遊できる5種類のツアーも設定されている。このなかには、「安藤忠雄 建築鑑賞コース」(2泊3日)もあり、瀬戸内・関西エリアに点在する安藤忠雄建築を効率的に巡ることが可能だ。本稿では実際にこのツアーに参加、。ツアーで周遊する安藤の美術館建築をまとめてお届けする。

ベネッセハウス ミュージアム

ベネッセハウス ミュージアム

 年間75万人(瀬戸芸開催年)が訪れる、まさに「現代アートの聖地」である直島。この直島巡りの拠点となるのが、ベネッセハウス ミュージアムだ。

 1992年にオープンしたこの施設は、直島に初めてできた安藤忠雄建築。宿泊施設と美術館施設が融合しているが、主役となるのはアート。つまり、「美術館の中に泊まる」ことができる施設だと言っていい。館内には、この場所のために制作されたインスタレーションをはじめとする多様な作品が長期展示されており、今年2月には常設展示替えが行われた。

 館内の中心部シリンダーホールには、同館でもっともアイコニックな作品であるブルース・ナウマンの《100生きて死ね》が鎮座する。コミッションワークではないものの、ベネッセの「よく生きる」を体現するものとして展示されており、美術館建築と見事な融和を見せる。

 また屋外の壁面には、1994年より杉本博司の「タイム・エクスポーズド」が常設展示。瀬戸内の水平線と接続する作品群をぜひ体感してほしい。

杉本博司 タイム・エクスポーズド
©Hiroshi Sugimoto
撮影=安斎重男

 なおベネッセハウス ミュージアムは宿泊者限定で夜間も作品鑑賞が可能となっているので、ぜひ宿泊してナイトミュージアムを楽しんでもらいたい。