NEWS / REPORT - 2025.11.15

被災した「能登瓦」の未来──「瓦バンクプロジェクト」が描く復興のかたち

令和6年能登半島地震後、倒壊した家屋からレスキューされた「能登瓦」

のと里山空港。羽田空港からは1日2便が往復している

珠洲市鉢ヶ崎総合公園前の道路。斜めに傾いた電信柱や、ひび割れたアスファルトの跡が地震の爪痕を物語っている。住宅街に入ると、かつて民家が建っていたであろう跡地も数多く見受けられる

珠洲市狼煙町の禄剛埼灯台付近から臨む風景。白く見える海岸は地震後に地盤が隆起したものだという

令和6年能登半島地震後、倒壊した家屋からレスキューされた「能登瓦」。現在その総数は2万枚にも及ぶという

能登瓦

左から、森山茂笑(瓦バンク 代表)、吉澤潤(瓦バンク ディレクター)

見附島の集会所 外観。再利用された瓦は、珠洲市内にあった本住寺で使用されていたもの。市内では、本住寺をはじめとする寺院の倒壊も相次いだ

建築同様、紙管を用いてつくられたテーブル

見附島の集会所 内観。取材時には森山によるインスタレーションが展示されていた

珠洲市狼煙町。築142年という歴史のある禄剛埼灯台のふもとに位置する小さな町にも、能登瓦の風景が広がる

狼煙のみんなの家 外観 設計=クライン ダイサム アーキテクツ

狼煙のみんなの家 内観。近隣住民らの交流拠点となっている

あみだ湯 外観

あみだ湯 内観

あみだ湯 内観

展示風景より、山本基《「モノクローム」 - 記憶への回廊》(2025)。「奥能登国際芸術祭」で恒久展示《記憶への回廊》を発表してきた山本が、その流れを受け、本展では能登瓦を支持体とした新作を公開している

展示風景より、七尾旅人《呼び声》(2025)
シンガーソングライターの七尾は、倒壊した建物から回収された能登瓦に、新作の詩「呼び声」を釉薬で記し、焼成した作品を発表している。静かでありながら、生々しい七尾の想いが伝わってくる

展示風景より、大和楓《ぽよぽよ新聞 瓦版 2025年10月号、11月号、12月号(原稿)》(2025)。能登瓦を題材に取材した内容を新聞形式でまとめている大和は、地域の産業史を丹念にひもときながら、時代考証的な視点を通して現代社会の構造まで浮かび上がらせている

展示風景より、池田杏莉《それぞれのかたりて / あしたも おはよう》(2025)。震災後、池田は自身も輪島を中心にボランティアに参加し、被災者との対話を重ねてきた。本作では、能登瓦の破片と、和紙にエッチングで描いたドローイングをひとつに組み合わせ、新たな立体作品として再構築している。和紙の褪色とともにドローイングが徐々に現れてくるという、時間の経過が作品のなかに組み込まれている点も特徴だ

展示風景より、仮( )-かりかっこ-《仮(切籠)》(2025)。「あみだ湯」を経営する新谷健太と、ゲストハウスを運営する楓大海によるアーティストコレクティブは、様々な集落から集めた部材を組み合わせ、祭りで使われる「キリコ」を制作した。現在、あみだ湯では被災家屋の木材を燃料として用い、街を弔いながら癒しを提供している

展示風景より、宮崎竜成《物質と記憶》(2025) 写真提供=作家
現地で滞在制作中の宮崎は、被災し再利用ができなくなった瓦に日記と絵を描き、その過程を映像で記録。描き終えた瓦は、ハンマーで粉砕し、顔料として用いてキャンバスに能登の家並みを描いている

瓦プロジェクトメンバー。左から、瀬尾裕樹子、森山はるゑ、森山茂笑、吉澤潤、新道雄大
写真提供=一般社団法人瓦バンク

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編集部