岡本太郎美術館で見る、《太陽の塔》を探る「入門編」
大阪・関西万博が開催されるなか、川崎市岡本太郎美術館では企画展「岡本太郎と太陽の塔―万国博に賭けたもの」が開幕した。

《太陽の塔》を探る「入門編」
大阪・関西万博が世の中を賑わすなか、川崎市岡本太郎美術館では企画展「岡本太郎と太陽の塔―万国博に賭けたもの」が開幕を迎えた。
1970年、大阪で開催された「人類の進歩と調和」をテーマとする日本万国博覧会。そのレガシーとしていまなお人々を魅了し続けるのが、言わずと知れた岡本太郎の《太陽の塔》だ。岡本がテーマ展示の一部として会場中心に据えた《太陽の塔》は建設当時、モダニズムと相容れない独特の外観で賛否を巻き起こした。また、内側の構成も「人類の進歩と調和」に異議を唱える岡本の思想が反映されたものだった。
テーマ展示の地下空間は「過去・根源の世界」を表現するためにいくつかのゾーンに分かれ、「いのり」の空間では人類の心の奥深くに通底するものとして、世界各地から収集された仮面や神像などの民族資料が展示された。原初的で神聖な祭壇を想起させる展示プランも、岡本の発案だ。

今回の展覧会は、民族学を源泉とし、国内の取材旅行を通して形成された岡本の思想から《太陽の塔》を探る「入門編」。岡本が縄文の美の発見後、フィールドワークで撮影した写真を紹介するほか、《太陽の塔》の制作記録や同時期の作品を通して塔の内外がかたちづくられた過程をたどるものだ。