大森元貴(Mrs. GREEN APPLE)インタビュー。寂しさや孤独から始まる表現者としての仕事
『GQ JAPAN』主催の「GQ クリエイティビティ・アワード」を受賞した、Mrs. GREEN APPLEの大森元貴。その初の写真展となる「僕が居ようが居まいが」が「GQ JAPAN クリエイティブ・ウィークエンド」(Ginza Sony Park、2025年7月5〜6日)で開催された。本展に際して大森に、音楽以外の表現で見つめた自己や、表現者として意識していることについて語ってもらった。

音楽、絵、写真…大森元貴の表現に共通するもの
──大森さんはMrs. GREEN APPLEの活動において、作詞、作曲、編曲のみならず、作品のアートワークやミュージックビデオのアイデアまでを手がけています。さらに俳優としての活動のほか、今回の個展「僕が居ようが居まいが」では写真作品を展開しました。こういった表現活動は幼い頃から行っていたのでしょうか。
幼稚園の頃は大きいスケッチブックに当時好きだったヒーローや、身の回りの風景を描いていた記憶があります。クレヨンを握りしめながら、一心に描いていた古い記憶が残っています。あとは、見よう見真似で漫画を描いたり、お小遣いでカラーマーカや色鉛筆を買ってより高度な表現に挑戦してみたりといったことも、小学生時代はやっていました。「自分の頭のなかに広がるものをアウトプットしたい」「でも正しい出口はまだ見つからない」といった漠然とした創作への欲望が溢れていたんでしょうね。

──ご自身が表現として意識したのは、音楽よりも絵を描くことの方が先だったんですね。
じつはそうなんですよね。小さい頃から歌も好きでしたし、人前で披露することも好きでしたが、性格はどちらかというと内気で、自分のなかにフラストレーションを溜めがち。それを発散する手段が絵だったんだと思います。幸いなことに、小学6年生のときにバンドでこういったフラストレーションを表現できるという経験をしたことで、音楽活動へとつながっていきました。
──音楽活動で大きな成功を収め、Mrs. GREEN APPLEは現代の日本を代表するバンドへと成長してきたわけですが、絵や写真といった表現も近年では積極的に行うようになっています。それはなぜでしょうか。
絵を描くことはずっと好きで、趣味として続けていたのですが、自分のちょっとした絵が挿し絵になる機会もあったりと、趣味の延長線上にある表現として見てくれてる人たちがいるということを実感するようになりました。カメラも僕のなかでは趣味だったのですが、写真作品を好きだと言ってくれる人がたくさんいるということにも気がつき、今回の個展という機会に恵まれました。内気な僕には大きな衝撃でしたね。
──ご自身を「内気」と評していらっしゃいますが、そういった自己認識も表現に影響しているのでしょうか。
自分がテレビに出ている姿は、本当に虚像だと思っています(笑)。シャイで自信がない自分をどうやって補完するのかということは、ずっと考えてきたことですね。音楽においても、パフォーマンスより技術を上げることにずっと勤しんできましたし。
その点、絵や写真で表現しているときの自分は、すごくフラットな状態でいられる気がします。プラスでもマイナスでもなく、凪のような気持ちになれる瞬間のような気がしますね。それは自分で表現するときだけでなく、作品を見るときにも感じることです。