2026.9.4

アートとデザインから北欧の暮らしに出会う。横浜髙島屋「北欧展」が開催へ

横浜髙島屋で「北欧展」が9月9日〜14日に開催される。現地で活動するアーティストの作品を紹介する「北欧のアート」をはじめ、同時期には日本初公開作品を含む約300点が集結する「20世紀北欧デザインの巨匠 スティグ・リンドベリ展」も開催。北欧の美意識と文化を様々な角度から紹介する。

レジーナ・ルック・トゥーンペレ《プレゼント》(2021)ジクレー版画 43×16.5cm
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 北欧の暮らしや文化を、デザイン、アート、フードなど多彩な切り口から紹介する「北欧展」が、横浜髙島屋で9月9日〜14日に開催される。

 会場には、北欧の自然や暮らしから生まれたインテリアやヴィンテージ、ファッション、フードなどが集結。さらに今回は「北欧のアート」にも注目し、現地で活動するアーティストたちの作品を紹介するほか、同時期には8階ギャラリーで、20世紀北欧デザインを代表するスウェーデンのデザイナー、スティグ・リンドベリ(1916〜1982)の展覧会も開催される。買い物や食を楽しむだけでなく、その背景にある北欧の美意識や文化にも触れることのできる機会となる。

タルモ・ローシモルデル《Canoers on Blue Lake》(2025)油彩 40×30cm

現代の北欧アートから、グルメやイベントまで

 「北欧のアート」コーナーでは、北欧・バルト地域で活動するアーティストたちの作品を紹介。それぞれの土地の自然や文化、日常に根ざしながら生み出された多彩な表現に触れることができる。

 なかでも注目したいのが、エストニアを代表するアーティストのひとり、レジーナ・ルック・トゥーンペレ(1953〜)だ。これまで70冊を超える書籍をはじめ、教科書やポスター、レコードジャケットなど幅広い媒体のデザインを手がけ、同国の視覚文化を支えてきた。長年願っていた日本訪問を2026年に実現した彼女は、自然を愛し、文化を尊ぶ姿勢を背景に、繊細な筆致による豊かな世界を描き出す。

ヴィーヴィ・ケンパイネン《夜のいない夜》(2026)水彩 50×50cm

 フィンランドからは、1964年に北部の街パルタモに生まれたヴィーヴィ・ケンパイネン(1964~)が登場。94年の初個展以来フィンランド各地で発表を重ね、日本でもたびたび個展を開催してきた。現在はヘルシンキ近郊のヒキアにアトリエを構え、豊かな自然に囲まれながら制作を続けている。このほか、繊細な筆致と地質学的な視点を融合させるエストニアのタルモ・ローシモルデル(1970〜)や、ラトビアを代表する水彩イラストレーターのグンデガ・ムジカンテ(1964〜)らの作品も並び、北欧・バルト地域における表現の広がりを伝える。

グンデガ・ムジカンテ《Little House》(2026)ジクレー版画 51×21cm

 本展の楽しみはアートだけではない。会場には北欧ヴィンテージの器や家具をはじめ、ファッションや生活雑貨など、暮らしを彩るアイテムが集結。さらに北欧ならではの料理やスイーツなどのグルメも揃うほか、会期中にはトークイベントや音楽ライブ、ワークショップなども予定されている。スティグ・リンドベリに代表される20世紀のデザインから現代のアート、そして食や日々の暮らしまで、多彩な入口から北欧文化に触れられる機会となる。

約300点でたどる、スティグ・リンドベリのデザイン

 そして北欧デザインをより深く知る機会となるのが、同じ横浜髙島屋の8階ギャラリーで9月9日〜21日に開催される「20世紀北欧デザインの巨匠 スティグ・リンドベリ展」だ。日本初公開の作品を含む約300点を通して、リンドベリの1930年代後半から1980年代初頭までの活動をたどる。

「H55」展のため告知をするスティグ・リンドベリ、1955年 © Stig Lindberg/Bus

 1916年にスウェーデン北部のウメオに生まれたリンドベリは、1937年にグスタフスベリ磁器工房にデザイナーとして入社。機能性や調和、美を追求しながら独創的な表現に挑み、陶磁器を中心にテキスタイルやイラストレーションなど幅広い領域でデザインを手がけた。なかでも白樺の葉をモチーフとした「ベルサ」は、現在も広く親しまれる代表作のひとつだ。

「ベルサ」シリーズより、「ディナーセット(LLモデル)」(成型:1957 / 装飾:1960) リンドベリ家コレクション © Stig Lindberg Photo by Per Myrehed

 本展に並ぶのは、すべてリンドベリの遺品と家族が所蔵するプライベートコレクション。代表的なテーブルウェアをはじめ、ファイアンス(錫釉陶器)、一点もののアートウェアやフィギュリン、テキスタイルプリント、原画のスケッチなど、その多彩な仕事を10章にわたって紹介する。「ベルサ」「プラム」「サリックス」といった著名なシリーズから、日本ではあまり知られていない作品まで、そのデザインの広がりを見渡すことができる。

スティグ・リンドベリ《国王コンスタンティノスとアンナ=マリア王妃》(1967-73)タペストリー リンドベリ家コレクション © Stig Lindberg Photo by Per Myrehed

 なかでも注目したいのが、リンドベリと日本との関係だ。1959年にはスウェーデンデザインのプロモーションのために来日し、瀬戸や信楽といった伝統的なやきものの産地を訪問。西武百貨店の包装紙もデザインした。本展では、こうした交流を通して日本への愛情を育んだリンドベリが、日本の美から着想を得て制作した作品も紹介される。

左から《鳥花図大皿》《タイル》(ともに1960年代) リンドベリ家コレクション © Stig Lindberg Photo by Per Myrehed

 さらに、リンドベリに才能を見出され、グスタフスベリ磁器工房で活動したリサ・ラーソンの作品も特別展示。会場では「ベルサ」をあしらったマグカップやドリップポットなど、本展オリジナルグッズも販売される。

展覧会会場で購入できるオリジナルグッズ

 デザインやアートから、ファッション、ヴィンテージ、フードまで。様々な入り口から北欧の暮らしと文化に触れられる今回の「北欧展」。日々の暮らしと密接につながりながら育まれてきた北欧の美意識を、横浜で楽しんでみてはいかがだろうか。