2025.5.7

西村有がメガギャラリー デイヴィッド・ツヴィルナーに所属

デイヴィッド・ツヴィルナーが、アーティスト・西村有を取り扱うことを発表。現在、ニューヨークでは西村の米国初個展が6月27日まで開催中で、記憶と風景が交錯する新作群が展示されている。

西村有 Photo by Takashi Homma for MARFA
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 国際的に名高いメガギャラリー、デイヴィッド・ツヴィルナーがアーティスト・西村有を取り扱うことを発表した。

 西村は1982年神奈川県生まれ。2004年に多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻を卒業。現在も日本を拠点に制作を続けている。これまでにパリのCrèvecœurやロンドンのSadie Coles HQとも協働しており、欧米を中心に個展・グループ展を多数開催してきた。近年の主な展覧会としては、「Subject Seconds」(Castle、ロサンゼルス、2024)、「Synopsis」(Sadie Coles HQ、ロンドン、2024)、「Sleep Walk」(ARCH、アテネ、2024)、「竹﨑和征+西村有『続・並行小舟唄 翠のうつわ』」(越後妻有里山現代美術館MonET、新潟、2023)などがある。

西村有 Permeation 2025
© Yu Nishimura. Courtesy the artist and David Zwirner

 その作品は、金沢21世紀美術館福田美術館清須市はるひ美術館、パリのポンピドゥー・センターやパリ市立近代美術館、ラファイエット・アンティシパシオン、ロサンゼルス・カウンティ美術館、マイアミのICAやルーベル美術館、上海の龍美術館、北京のM WOODS美術館など、世界各地の美術館に所蔵されている。

 デイヴィッド・ツヴィルナーは現在、ニューヨーク・イースト69丁目にあるギャラリーにて、西村によるアメリカ初個展を6月27日まで開催している。

「Yu Nishimura: Clearing Unfolds」展(デイヴィッド・ツヴィルナー、ニューヨーク、2025年4月24日〜6月27日)の展示風景より
Courtesy David Zwirner

 本展に出品されている作品群は、西村が1990年代に少年時代を過ごした故郷・神奈川県への近年の訪問から着想を得て制作されたもの。油彩とテンペラを併用した重層的な絵画は、戦後日本の前衛写真家にインスパイアされながら、アニメ、ストリートフォト、郊外の風景や都市構造など、日常的なイメージを素材としている。簡略化された半ばぼやけた形象が夢のように構成されることで、作品はグラフィックかつ洗練された構図と色彩を持ちつつ、同時に時の流れと郷愁を含んだ曖昧な記憶の空間を生み出している。

「Yu Nishimura: Clearing Unfolds」展(デイヴィッド・ツヴィルナー、ニューヨーク、2025年4月24日〜6月27日)の展示風景より
Courtesy David Zwirner

 ツヴィルナーは今回の発表について次のように語っている。「娘のマーレンが西村の作品を紹介してくれたとき、私はすぐに魅了された。彼はモダニズムの厳密さと、彼自身のネオ・ロマンティシズム的感性を見事に融合させている。その筆致はジャンルを深く掘り下げつつ、極めて現代的な声を持っている。今後、彼の作品を世界中の新たな鑑賞者に紹介できることを楽しみにしている」。

「Yu Nishimura: Clearing Unfolds」展(デイヴィッド・ツヴィルナー、ニューヨーク、2025年4月24日〜6月27日)の展示風景より
Courtesy David Zwirner