2026.7.9

ルノー工場跡地に新たな文化拠点。パリ近郊に新アートセンター「Large」が誕生

パリ近郊・セガン島に新たな現代アートセンター「Large, cultures contemporaines」が10月17日に開館する。開館記念展は、第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展の芸術監督セシリア・アレマーニがキュレーションを担当する。

「Large, cultures contemporaines」の外観 © RCR Arquitectes @CALQ Argence d’architecture ©Baumschlager Eberle Architekten. Photo by Nicolas Trouillard
前へ
次へ

 フランス・パリ近郊のブローニュ=ビヤンクールに、新たな現代アートセンター「Large, cultures contemporaines」(以下、Large)が10月17日に開館する。オープニング展として、第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展(2022)の芸術監督を務めたセシリア・アレマーニがキュレーションする「Imaginary Engine: From Masterpieces of the Collection Renault to Artists of Today」が開催される。会期は2027年3月7日まで。

 同館は、不動産デベロッパーのエメリージュ・グループ(Groupe Emerige)が支援する新たな文化施設。自動車メーカー「ルノー」の工場が約1世紀にわたって操業していたセーヌ川のセガン島(Île Seguin)の再開発地区「Pointe des Arts」に位置し、これまで一般公開されていなかったエリアを新たな文化拠点として開放する。施設のディレクターにはポーラ・アイゼンベルクが就任し、フランスの現代美術を軸に、制作、展示、教育、交流を担うハイブリッドなアートセンターとして運営される。

自動車メーカー「ルノー」の工場が約1世紀にわたって操業したセーヌ川のセガン島(Île Seguin)の再開発地区「Pointe des Arts」に開館する「Large, cultures contemporaines」 © RCR Arquitectes @CALQ Argence d’architecture ©Baumschlager Eberle Architekten. Photo by Nicolas Trouillard
フランスの現代美術を軸に、制作、展示、教育、交流を担うハイブリッドなアートセンターとして運営される © RCR Arquitectes @CALQ Argence d’architecture ©Baumschlager Eberle Architekten. Photo by Nicolas Trouillard

 同館は展示施設だけでなく、映画館やホテル、オフィス、商業施設などからなる複合開発「Pointe des Arts」の中核を担う文化拠点でもある。施設名の「Large」は、フランス語で「沖へ出る(prendre le large)」に由来する言葉であり、新たな視点へと踏み出す場であることを意味するという。エメリージュ・グループ会長のローラン・デュマは、「芸術、建築、人々が自由に出会う開かれた場所として構想してきた」と述べている。

展示施設だけでなく、映画館やホテル、オフィス、商業施設などからなる複合開発「Pointe des Arts」の中核を担う文化拠点となる「Large, cultures contemporaines」 © RCR Arquitectes et CALQ. Photo by Nicolas Trouillard

人間と機械の関係を考察する開館記念展

 建築設計は2017年のプリツカー賞受賞建築家ユニット「RCRアルキテクタス」がCALQと共同で担当。総面積約5000平米のうち約半分が展示空間となり、1000平米に及ぶメインギャラリーや、アルミニウム製のムシャラビエ(細かい透かし彫りの窓)を通して自然光を取り込む空間構成など、作品との身体的・感覚的な出会いを重視した設計が特徴となる。

 開館記念展「Imaginary Engine」では、セガン島がルノー工場の所在地だった歴史を出発点に、人間と機械、とりわけ自動車をめぐる関係を考察する。ルノー・アート&カルチャー基金(Fonds Renault pour l'Art et la Culture)との協働で開催される本展では、ヴィクトル・ヴァザルリ、ジャン・デュビュッフェ、ジャン・ティンゲリー、ロベール・ドアノーらによるルノー・コレクションの収蔵品と、現代作家による作品を組み合わせて紹介する。

ジャン・デュビュッフェ《Le Mur bleu》(1966–69) Photo by Georges Poncet © Renault Fund for Art and Culture © Dubuffet Foundation, Paris © ADAGP 2026
ニキ・ド・サン・ファル《The White Goddess / La femme brune》(1963-64) Photo by Margot Montigny © Galerie Georges-Philippe et Nathalie Vallois © ADAGP 2026

 あわせて、同館は本展のために17点の新作をコミッション。テオ・メルシエ、サラ・サディック、ビアンカ・ボンディ、クレマン・コジトール、ベルトラン・ラヴィエ、モハメド・エル・カティブ、オリヴァー・ビア、ベルティーユ・バック、トゥー・ヴァン・チャン、ジュリア・アンドレアーニらが名を連ねる。

モハメド・エル・ハティーブ《R12 cathédrale》(2026) Photo by Mohamed El Khatib and Yohanne Lamoulère / Tendance Floue © Mohamed El Khatib