2026.10.2

今週末に見たい展覧会ベスト11。菅井汲、ART FAIR ASIA FUKUOKAからマリメッコ展、「禅とジブリ」まで

今週閉幕する/開幕した展覧会のなかから、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。なお、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

「エットレ・ソットサス —魔法がはじまるとき、デザインは生まれる」展の展示風景より
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もうすぐ閉幕

「エットレ・ソットサス —魔法がはじまるとき、デザインは生まれる」(アーティゾン美術館)

 東京・京橋のアーティゾン美術館で、「エットレ・ソットサス―魔法がはじまるとき、デザインは生まれる」が10月4日まで開催されている。レポート記事はこちら。

エットレ・ソットサスによる18点の花瓶シリーズ

 オリベッティやポルトロノーヴァで数々のデザインを手がけ、1981年には国際的なデザイナー集団「メンフィス」を結成したソットサス。本展は、20世紀イタリアを代表するデザイナー、エットレ・ソットサス(1917〜2007)の国内初となる大規模回顧展であり、同館にとって初のデザイン展でもある。

 会場では、石橋財団が近年形成してきた100点を超えるソットサス・コレクションを中心に、家具、セラミック、機器類、ガラス、写真、ドローイングなどを紹介する。ソットサス作品112点、関連作家の作品5点、資料25点の計142点によって、その半世紀近くに及ぶ創作をたどる。代表作《カールトン》(1981)やオリベッティのタイプライター《ヴァレンタイン》(1968)などを通じて、1950年代から晩年まで変化を続けたそのデザイン思想に迫る。

会期:2026年6月23日~10月4日
会場:アーティゾン美術館 6階展示室
住所:東京都中央区京橋1-7-2
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00~18:00(金曜は~20:00)※入館は閉館30分前まで
料金:ウェブ予約チケット1200円 / 窓口販売チケット1500円 / 学生無料(要ウェブ予約)※中学生以下は予約不要。同料金で「瀧口修造」展も観覧可

「瀧口修造 書くことと描くこと」(アーティゾン美術館)

 同じくアーティゾン美術館では、「瀧口修造 書くことと描くこと」が10月4日に閉幕する。レポート記事はこちら。

「瀧口修造 書くことと描くこと」の展示風景(4階)。手前にあるのは瀧口によるオブジェなど。奥の壁面のテキストは「マルセル・デュシャン語録」からレイアウトごと引用

 詩人、美術批評家として昭和期の日本美術に大きな足跡を残した瀧口修造(1903〜79)。1920年代にシュルレアリスムの影響のもとで詩作を始め、戦前から戦後にかけて美術について思索と著述を重ねた瀧口は、1960年頃から自身が「デッサン」と呼ぶ造形作品の制作を本格化させた。本展は、その「書く」行為と「描く」行為がどのようにつながっていたのかを探るものだ。

 本展は、石橋財団が近年収蔵した瀧口作品163点のうち半数余りを一挙に公開する初の機会。瀧口自身の実験的な作品に加え、パウル・クレー、マルセル・デュシャン、ジョアン・ミロ、ジョゼフ・コーネル、福島秀子、山口勝弘、草間彌生ら関連作家の作品を交え、約140点によってその創作と思考の軌跡をたどる。

会期:2026年6月23日~10月4日
会場:アーティゾン美術館 5・4階展示室
住所:東京都中央区京橋1-7-2
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00~18:00(金曜は~20:00)※入館は閉館30分前まで
料金:ウェブ予約チケット1200円 / 窓口販売チケット1500円 / 学生無料(要ウェブ予約)※中学生以下は予約不要。同料金で「エットレ・ソットサス」展も観覧可

「奥村土牛 ―名作でたどる100年のあゆみ―」(山種美術館)

 山種美術館の開館60周年を記念する特別展「奥村土牛 ―名作でたどる100年のあゆみ―」が、10月4日まで開催されている。

 近代・現代日本画を代表する画家のひとり、奥村土牛(1889〜1990)。山種美術館の創立者・山﨑種二は土牛と50年以上にわたって親交を結び、その縁から同館は現在135点の土牛作品を所蔵する。本展では、その日本屈指のコレクションから約60点を厳選し、初期から最晩年まで、およそ100年に及んだ画業をたどる。

 見どころは、瀬戸内海の渦潮を描いた《鳴門》(1959)や、京都・醍醐寺のしだれ桜を題材とする《醍醐》(1972)などの代表作。また、生涯にわたり活動の舞台とした院展に関連する同館所蔵作品35点をすべて公開するほか、土牛から山﨑種二に送られた絵入り書簡など、両者の交流を伝える資料も紹介されている。

会期:2026年8月8日~10月4日
会場:山種美術館
住所:東京都渋谷区広尾3-12-36
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00~17:00 ※入館は16:30まで
料金:一般1500円 / 大学生・高校生500円 / 中学生以下無料 ※大学生・高校生500円は「夏の学割」

「フォンタネージ―イタリアの光・心の風景」(京都国立近代美術館)

 京都国立近代美術館で開催中の「フォンタネージ―イタリアの光・心の風景」が、10月4日に閉幕する。日本とイタリアの国交樹立160周年、そしてアントニオ・フォンタネージの来日150周年を記念して企画された展覧会だ。京都会場の終了後は、三菱一号館美術館、名古屋市美術館へと巡回する。

 フォンタネージ(1818〜82)は、明治政府が設立した工部美術学校で西洋画を教え、浅井忠や小山正太郎らに大きな影響を与えたイタリアの画家。本展は、そうした「お雇い外国人」としての側面にとどまらず、イタリア近代風景画を代表する画家としての全貌に光を当てる日本初の大回顧展となる。

 初期から晩年までの油彩画に加え、スイスやイギリス滞在中の版画など約200点を紹介。日本でフォンタネージに学んだ浅井忠や小山正太郎らの作品を並べるほか、ジョヴァンニ・セガンティーニやカルロ・カッラなど後世のイタリア美術に残した影響までを検証し、その国際的な活動と風景画家としての位置づけを捉え直す。

会期:2026年7月18日~10月4日
会場:京都国立近代美術館
住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町26-1
開館時間:10:00~18:00(金曜は~20:00)※入館は閉館30分前まで
料金:一般2000円 / 大学生1100円 / 高校生500円 / 中学生以下無料

「ムーンアートナイト下北沢 2026」(下北沢エリア全域)

 東京・下北沢の街を舞台にしたアートフェスティバル「ムーンアートナイト下北沢 2026」が、10月4日に閉幕する。今年で5回目を迎える同イベントでは、「月」をテーマに、アート、音楽、演劇、飲食、ワークショップなど約100の企画が下北沢の街中で展開されている。

ルーク・ジェラム《Museum of the Moon》

 今年の屋外作品には、国内外5組のアーティストが参加。ルーク・ジェラムによる直径7メートルの《Museum of the Moon》をはじめ、金氏徹平による新作インスタレーション、岸裕真+竹森達也による植物の生体データを音と光へ変換する作品、松田将英による高さ約8メートルの巨大な「笑い泣き」の絵文字、河野未彩による蓄光を用いたインスタレーションなどが、下北線路街を中心とする各所に出現している。

 さらに、萩原朔太郎の『猫町』をモチーフに、下北沢駅前から世田谷代田駅周辺までを巡るイマーシブシアターも上演。通常は立ち入ることのできない鉄道施設も舞台の一部となり、街そのものを体験型演劇の空間へと変える。

会期:2026年9月18日~10月4日
会場:下北沢エリア全域(下北線路街[東北沢・下北沢・世田谷代田駅周辺]、各商店街など)
開場時間:15:00~21:00 ※「下北線路街 空き地」の展示は~21:30
料金:無料(一部有料。スタンダードチケット1500円、イマーシブシアター《猫町》チケット5000円ほか) ※小雨決行、雨天中止

今週開幕

「没後30年 菅井汲」(広島県立美術館)

 広島県立美術館で「没後30年 菅井汲」が10月2日に開幕する。戦後の日本美術を代表する画家のひとりで、1952年に渡仏して以降、ヨーロッパを中心に国際的な評価を獲得した菅井汲(1919〜1996)。没後30年を機に、その活動を振り返る展覧会となる。

菅井汲《準備完了》(1968) 広島県立美術館

 菅井は渡仏前、阪急電鉄の事業宣伝課でポスターなどのデザインを手がけていた。パリでは水墨画や書など東洋を意識した独自の抽象表現によって注目され、1954年にはクラヴァン画廊で初個展を開催。1960年代には画面を単純化し、鮮やかな色彩と幾何学的な形態を組み合わせた表現へと移行していった。

 展覧会では、デザイナーとして活動した初期から、渡仏後の東洋的なモチーフによる作品、1960年代以降の幾何学的抽象、さらに晩年の「S」シリーズまで、その画業をたどる。交通事故後に基本となる形を組み合わせる制作方法を推し進め、第34回ヴェネチア・ビエンナーレへの出品や東京国立近代美術館の大壁画へと展開した時期も重要な見どころとなる。

会期:2026年10月2日~12月6日
会場:広島県立美術館
住所:広島県広島市中区上幟町2-22
電話番号:082-221-6246
開館時間:9:00~17:00(金曜は~19:00)※入場は閉館30分前まで。10月2日は10:00開場
料金:一般1500円 / 高校生・大学生1000円 / 小学生・中学生700円 ※前売り・20名以上の団体は200円引き

「Icons and Image Makers ナショナル ポートレート ギャラリー展」(シャネル・ネクサス・ホール)

 東京・銀座のシャネル・ネクサス・ホールで、「Icons and Image Makers ナショナル ポートレート ギャラリー展」が10月2日に開幕する。ロンドンのナショナル ポートレート ギャラリーが所蔵する写真コレクションから、英国のファッション、音楽、映画界を象徴する人物をとらえた約60点を紹介する展覧会だ。

 会場に並ぶのは、デヴィッド・ボウイ、ジミ・ヘンドリックス、ティルダ・スウィントン、ケイト・モス、ハリー・スタイルズら、1950年代から現代までの英国文化を彩ってきた人々のポートレート。ルイス・モーリーが1963年に撮影したシャーロット・ランプリングや、ゲレッド・マンコヴィッツによるジミ・ヘンドリックスなど、時代を象徴するイメージも含まれる。

 本展では、被写体となった「アイコン」だけでなく、そのイメージを生み出した「写真家=イメージメーカー」にも焦点を当てる。つくり込まれたイメージから著名人の自然な表情をとらえたスナップショットまでを通して、ポートレートにおけるイメージとアイデンティティの関係を考える機会となる。

会期:2026年10月2日~11月29日
会場:シャネル・ネクサス・ホール
住所:東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4F
開館時間:11:00~19:00 ※最終入場18:30。10月2日は~17:30(最終入場17:00)、11月6日~8日は10:00~19:00
料金:無料、予約不要

「ART FAIR ASIA FUKUOKA 2026」(福岡国際センター)

 日本とアジアのアートマーケットをつなぐ「ART FAIR ASIA FUKUOKA 2026(AFAF2026)」が、10月2日から4日まで福岡国際センターで開催される。今年で11回目を迎えるAFAFには、国内外から約100のギャラリーが出展する予定だ。

 国内からは東京画廊+BTAP、小山登美夫ギャラリー、ミヅマアートギャラリーなどが参加。海外からは台湾の過去最多となる8軒をはじめ、韓国やフィリピンなどから計17軒のギャラリーが集結する。昨年10周年を迎えたことを受け、今後は福岡県や九州各地の自治体・団体との連携を深め、「ワンキュウシュウ」でのアートの祭典へと展開する構想も掲げている。

 また、次世代のアーティストを発掘・支援する「AFAF AWARD powered by E.SUN BANK」も引き続き開催。今年は新たに写真に特化した部門を設け、入選作品を会場内の特設ブースで紹介する。

会期:2026年10月2日~4日 ※10月1日はVIP Preview
会場:福岡国際センター
住所:福岡県福岡市博多区築港本町2-2
料金:(3日通し券)一般 3000円 / 学生 2000円

「マリメッコ展 模様のちから」(東京都庭園美術館)

 東京都庭園美術館で「マリメッコ展 模様のちから」が10月3日に開幕する。1951年にフィンランドで創業し、鮮やかな色彩と大胆な模様によって世界的に知られるデザインハウス、マリメッコ。その70年以上にわたるプリントメイキングの技術と創造の美学に迫る展覧会だ。

京都会場(京都文化博物館)の展示風景 撮影:編集部

 マリメッコがこれまでに生み出してきたプリント・デザインは3500種類以上。本展では、初期から現代まで60点を超えるドレスをはじめ、ファブリックや制作資料などを通して、そのデザインが生まれるプロセスを紹介する。また、ヘルシンキにあるプリント・ファクトリーを取材したアートユニット・plaplaxによる映像インスタレーションも展示される。

 さらに、デザイナーの皆川明がゲストとして参加。会場となる旧朝香宮邸のアール・デコ建築とマリメッコの色や模様との響き合いにも注目したい。

会期:2026年10月3日~12月20日
会場:東京都庭園美術館 本館+新館
住所:東京都港区白金台5-21-9
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00~18:00 ※入館は17:30まで。一部の金・土曜は~20:00
休館日:月(10月12日、11月23日は開館)、10月13日、11月24日
料金:一般1400円 / 大学生1120円 / 高校生・65歳以上700円 ※日時指定予約制

「『禅とジブリ』京都展」(京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ)

 京都市京セラ美術館で「禅とジブリ」京都展が10月3日に開幕する。スタジオジブリのプロデューサー・鈴木敏夫と禅僧との対談をまとめた書籍『禅とジブリ』を原点に、スタジオジブリ作品を通して「禅的なまなざし」に触れる体感型の展覧会だ。

© 2023 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli

 展覧会の中心となるのは、宮﨑駿監督の『君たちはどう生きるか』(2023)。善悪を単純に二分せず、明確な答えを示さない同作の世界観を、禅が重視する「分けない」「決めつけない」「ありのまま観る」という考え方と重ね合わせる。会場では映画の名セリフや場面写真、鈴木敏夫の書などを通して、ジブリ作品に通底する「ものの見方」を紹介する。

 禅寺や禅文化が現在も身近に息づく京都という土地を舞台に、ジブリ作品を入り口として禅を日常と結びつけて考える試みとなる。

会期:2026年10月3日~12月6日
会場:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ
開館時間:10:00~18:00 ※入場は17:30まで
休館日:月(10月12日、11月23日は開館)
料金:一般・大学生 1900円 / 中学・高校生 1500円 / 小学生 1100円 / 未就学児 無料

「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO 2026」(八重洲、日本橋、京橋、銀座エリアの屋内、屋外会場)

 東京の八重洲・日本橋・京橋・銀座エリアを舞台とする写真祭「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO 2026」が、10月3日に開幕する。今年は日本語でもっとも短い接続詞である「と」をテーマに、人と人、世界と世界を写真によってつなぐ可能性を探る14の展示が展開される。

ザネレ・ムホリ Bester VIII, Philadelphia 2018 Courtesy Zanele Muholi; Southern Guild, Cape Town/New York; Yancey Richardson, New York; and The Muholi
Art Institute. © Zanele Muholi.

 メイン企画展のひとつは、2026年ハッセルブラッド国際写真賞を受賞した南アフリカのヴィジュアル・アクティヴィスト、ザネレ・ムホリによる「ものが王冠になるとき、」。代表作《Somnyama Ngonyama, Hail the Dark Lioness》を中心に、洗濯ばさみやゴム手袋など身近な日用品を王冠や装身具に見立てたセルフポートレートを紹介し、人種やジェンダー、労働、セクシュアリティ、表象をめぐる問いを提示する。

 ほかにも、蝶の移動と国境を越える人々を重ね合わせるルーカス・フォグリアの《Constant Bloom》、植田正治の代表作『童暦』を「子ども」という視点から読み直す展覧会などを開催。街中を巡るデジタルスタンプラリーやAI音声ガイドなども用意され、都市空間を横断しながら写真と出会う機会をつくる。

会期:2026年10月3日~26日
会場:八重洲・日本橋・京橋・銀座エリア各所(TOFROM YAESU TOWER、東京ミッドタウン八重洲、東京建物日本橋ビルほか)
料金:無料