2026.10.1

10月に見たい展覧会ベスト21

2026年10月に開幕する展覧会のなかから、とくに注目したいものを編集部がピックアップしてお届けする。

J.M.W. ターナー《捕鯨船エレバス号に万歳! もう一頭獲ったぞ!》(展示:1846)キャンバスに油彩 テート美術館 Photo by Tate
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「没後30年 菅井汲」(広島県立美術館)

 広島市内にある広島県立美術館で、戦後パリを拠点に世界的な活躍を見せた美術家・菅井汲(1919〜96)の回顧展「没後30年 菅井汲」が開催される。会期は10月2日〜12月6日。

菅井汲《準備完了》(1968) 広島県立美術館

 菅井は、阪急電鉄のデザイナーとしてキャリアをスタートさせた後、1952年に渡仏。東洋的な情調を感じさせる抽象絵画で早くからパリの美術界で注目を集め、世界的評価を確立した。その後も「太陽」やイニシャルの「S」をモチーフにしたシリーズ、徹底的にマチエールを排した幾何学的なスタイルなど、画風を果敢に変貌させながら「未来の美術」を追求し続けた。

 本展は、菅井の没後30年という節目を機に、初期のデザイナー時代から晩年の表現、さらにはその手元に残された貴重なプライベート資料までを一堂に集め、その足跡と素顔に迫る回顧展となる。

会期:2026年10月2日〜12月6日(前期 10月2日〜11月8日 / 後期 11月9日〜12月6日)※会期中一部展示替えあり
会場:広島県立美術館
住所:広島県広島市中区上幟町2-22
電話番号:082-221-6246 
開館時間:9:00~17:00(金〜19:00、10月2日は10:00〜) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休 
料金:一般 1500円 / 高・大学生 1000円 / 小・中学生 700円

「禅とジブリ」(京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ)

 京都市の京都市京セラ美術館で、スタジオジブリが企画制作する「禅」の展覧会「禅とジブリ」が開催される。会期は10月3日〜12月6日。

© 2023 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli

 「禅とジブリ」展は、スタジオジブリのプロデューサー・鈴木敏夫と禅僧による対談をまとめた書籍『禅とジブリ』(淡交社、2018)を原点とする、ジブリ作品を通して、「禅的なまなざし」に触れることを目的とした体感型の展覧会だ。スタジオジブリの作品の特徴でもある、「善悪を二分しない多義性」「答えを急がない余白」「分からないままに受け取る」姿勢が、禅の「分けない」「決めつけない」「ありのまま観る」という思想と響き合うことから企画された。

 本展は、あえて明確な答えを示さない世界観を描いた宮﨑駿監督の映画『君たちはどう生きるか』(2023)を中心に据えて空間を構成。劇中のセリフやカット、鈴木の書などを通じて、ジブリ作品全体に通底する禅的な「ものの見方」を立体的に浮かび上がらせる。

会期:2026年10月3日〜12月6日
会場:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ
住所:京都市左京区岡崎円勝寺町124
開館時間:10:00~18:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし10月12日、11月23日は開館)
料金:一般・大学生 1900円 / 中学・高校生 1500円 / 小学生 1100円

「マリメッコ展 模様のちから」(東京都庭園美術館)

 東京・白金台の東京都庭園美術館で、「マリメッコ展 模様のちから」が開催される。会期は10月3日〜12月20日。

京都会場(京都文化博物館)の展示風景 撮影:編集部

 本展は、フィンランドを代表するデザインハウス「マリメッコ」の美学と、創造の背景を紹介する展覧会となる。1951年の創業以来生み出されてきたプリント・デザインや、そのものづくりの精神に着目する。

 会場では、初期の貴重なドレスから現代のコレクションまで、60点を超えるドレスやファブリック、制作過程を伝える資料を展示する。また、アートユニット・plaplaxによるプリント・ファクトリーの映像インスタレーションを展開するほか、ゲストとして参加するデザイナーの皆川明による新作インスタレーションを公開。アール・デコ装飾を基調とする旧朝香宮邸の建築空間と、マリメッコのプリントが響き合う構成となっている。

会期:2026年10月3日~12月20日
会場:東京都庭園美術館
住所:東京都港区白金台5-21-9
電話番号:050-5541-8600 
開館時間:10:00~18:00(11月6日、13日、20日、21日、27日、28日、12月4日、5日は〜20:00)※入場は閉館の30分前まで 
休館日:月(ただし10月12日、11月23日は開館)、10月13日、11月24日 
料金:一般 1400円 / 大学生 1120円 / 高校生 700円 / 中学生以下 無料(本展は事前予約制)

企画展示「アイヌ民族と博覧会 ―150年の経験―」(国立歴史民俗博物館)

 千葉・佐倉の国立歴史民俗博物館で、企画展示「アイヌ民族と博覧会 ―150年の経験―」が開催される。会期は10月6日〜11月29日。本展は北海道・白老の国立アイヌ民族博物館との共同企画であり、同館では6月20日~8月23日の会期で開催された。

「大阪・関西万博で披露されたアイヌ舞踊の様子」(2025) 公益財団法人アイヌ民族文化財団

 1872年の湯島聖堂博覧会にアイヌ資料が初めて出品されてから、2025年の大阪・関西万博に至るまで、およそ150年にわたってアイヌ民族は様々なかたちで「博覧会」に関わってきた。博覧会は知識や文化を広める場であるいっぽうで、人や文化を比較し、序列化してしまう場としての側面ももつ。

 アイヌ民族はこういった場への参加にあたって、差別や偏見、優越感を含むまなざしのもとで展示されることもあった。そこには多様な思いや選択、困難や葛藤があったことは想像に難くない。

 本展は、工芸品、写真、絵はがき、書簡、衣装、映像などの約200点に及ぶ資料を展示するほか、博覧会に関わった一人ひとりの「声」を紹介。その経験や思い、交錯する関係性に目を向け、個人にとって博覧会がいかなる場であったのかを考えるものとなる。これまで開催されてきた博覧会に出展・参加したアイヌ民族やその仲介者、さらには「見る側」と「見られる側」の相関関係に焦点を当て、博覧会におけるアイヌ民族の150年にわたる足跡をたどることを試みる。

会期:2026年10月6日〜11月29日
会場:国立歴史民俗博物館 企画展示室A・B
住所:千葉県佐倉市城内町117 
開館時間:9:30〜16:30 ※入館は16:00まで
休館日:月(ただし月が休日の場合は開館し、翌平日休館)  
料金:一般 1500円 / 大学生 800円 

葛飾応為「吉原格子先之図」夜景の系譜(太田記念美術館)

 東京・原宿の太田記念美術館で、「葛飾応為『吉原格子先之図』夜景の系譜」展が開催される。会期は10月6日〜12月6日。

葛飾応為《吉原格子先之図》(葛飾応為「吉原格子先之図」夜景の系譜展)

 葛飾応為は、北斎の娘であり自らも絵師として活躍した女性。光と影の鮮やかな対比によって遊里の夜を浮かび上がらせた《吉原格子先之図》は、その代表作にして、浮世絵における夜景の傑作として評価されている。

 本展は、この代表作を3年ぶりに公開する展覧会となる。鈴木春信(1725〜1858)、小林清親(1847〜1915)らによる夜景の名品を展示するほか、明治末以降に海外向けに制作された夜景作品も紹介。江戸から明治、大正へと受け継がれた夜景表現の展開をたどりながら、同作の魅力を改めて捉え直す企画だ。

会期:2026年10月6日〜12月6日
会場:太田記念美術館
住所:東京都渋谷区神宮前1-10-10
電話番号:050-5541-8600 
開館時間:10:30〜17:30 ※入場は閉館の30分前まで 
休館日:月、10月13日、19日、26日、11月2日、4日〜6日、9日、16日、24日、30日
料金:一般 1200円 / 大高生 800円 / 中学生以下 無料

「源氏物語 王朝のかがやき」(京都国立博物館 平成知新館)

 京都・東山の京都国立博物館で、特別展「源氏物語 王朝のかがやき」が開催される。会期は10月6日~11月29日。なお、本展は東京・上野の東京国立博物館にて、2027年1月19日~3月14日の会期で開催される。

《源氏物語図扇面貼交屏風》左隻(室町時代、16世紀) 広島・浄土寺

 平安時代に紫式部によって著された『源氏物語』。本作は、平安の貴族文化を象徴するに留まらず、後世の絵画・工芸・芸能へと連なる日本文化の源泉となった。日本文学史を代表するこの王朝物語は、その普遍的な魅力ゆえに、いまなお時代を超えて多くの人々に愛され続けている。

 本展では、『源氏物語』の場面やモチーフを表した絵画や工芸品を一堂に集めるとともに、後世に書き継がれた写本や注釈類、さらには物語から派生した芸能の広がりまでを包括的に紹介。250点に及ぶ作品を通じて、日本文化に豊かな「かがやき」を与え続けた、名作の魅力を再発見する機会となる。

会期:2026年10月6日~11月29日
会場:京都国立博物館 平成知新館
住所:京都府京都市東山区茶屋町527
電話番号:075-525-247 
開館時間:9:30~17:00(金は~20:00)※入場は閉館の30分前まで 
休館日:月(ただし、10月12日、11月23日は開館)、10月13日、11月24日 
料金:一般 2200円 / 大学生 1200円 / 高校生 700円

「デザイン・クロニクル展 なにが生まれて、なにが変わった?」(国立工芸館)

 石川県金沢市の国立工芸館で、「デザイン・クロニクル展 なにが生まれて、なにが変わった?」が開催される。会期は10月9日〜2027年1月11日。

トム・ディクソン《鉄塔の椅子》(1994) 国立工芸館 撮影:エス・アンド・ティ フォト

 本展は、19世紀後半のアーツ&クラフツ運動から、アール・ヌーヴォーとアール・デコ、バウハウスに代表されるモダニズム・デザイン、第二次大戦後の展開までの100年あまりのデザインの流れをたどる展覧会だ。

 会場では、近代化によって生じた様々な課題に対応するために、工芸から派生して生まれた新しいものづくりの考え方である「デザイン」の確立と変遷に着目。同館のデザインコレクションを中心に、19世紀の工業化による素材や、生産方式の転換、工芸家たちの試行錯誤の歴史を紹介する。

会期:2026年10月9日〜2027年1月11日
会場:国立工芸館
住所:石川県金沢市出羽町3-2
電話番号:050-5541-8600 
開館時間:9:30〜17:30 ※入館は閉館30分前まで 
休館日:月(ただし10月12日、11月23日、1月11日は開館)、10月13日、11月24日、年末年始(12月29日〜1月1日) 
料金:一般 1200円 / 大学生 800円 / 高校生以下および18歳未満 無料

「シンシナティ美術館展〜アメリカに渡ったヨーロッパの至宝〜」(上野の森美術館)

 東京・上野の森美術館で、「シンシナティ美術館展〜アメリカに渡ったヨーロッパの至宝〜」が開催される。会期は10月10日〜2027年1月10日。

メインビジュアル

 本展は、アメリカ屈指の美術館が所蔵するヨーロッパ美術を紹介する展覧会だ。過去145年にわたり、シンシナティ美術館が収集してきた膨大なコレクションから、コロー、セザンヌ、モネをはじめとする選りすぐりの84点の来日が実現。そのうち81点が初来日となる。

 なお、これらの作品の多くは、20世紀半ば、シンシナティの地域社会に貢献した女性美術収集家たちによって寄贈されたものとなっている。

会期:2026年10月10日〜2027年1月10日
会場:上野の森美術館
住所:東京都台東区上野公園1-2
開館時間:10:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで 
休館日:会期中無休(12月31日、1月1日も開館)
料金:一般 2400円 / 高校・専門・大学生 1500円 / 小・中学生 800円

開館60周年記念特別展3「ザ・ベスト・オブ・山種コレクションⅠ―横山大観、竹内栖鳳から上村松園、速水御舟へ―」(山種美術館)

 東京・広尾の山種美術館で、開館60周年を記念した特別展の第3弾「ザ・ベスト・オブ・山種コレクションⅠ―横山大観、竹内栖鳳から上村松園、速水御舟へ―」が開催される。会期は10月10日~12月6日。

 本展では、重要文化財に指定されている竹内栖鳳《班猫》と村上華岳《裸婦図》を筆頭に、上村松園《蛍》、川端龍子《鳴門》、土田麦僊《大原女》、福田平八郎《筍》をはじめ、コレクションのなかでも名品中の名品を厳選して展示する。また、同館の創設者である山崎種二が長年の夢であった美術館設立を決意した際、特別に購入を許されたという横山大観《心神》や小林古径《清姫》など、同館の歴史を物語る名画もあわせて鑑賞することができる。

会期:2026年10月10日~12月6日
会場:山種美術館
住所:東京都渋谷区広尾3-12-36
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル、9:00〜20:00) 
開館時間:10:00〜17:00 ※入館は16:30まで 
休館日:月曜日(ただし10月12日、11月23日は開館)、10月13日、11月24日
料金:一般 1500円 / 大学生・高校生 1200円 / 中学生以下無料(付添者の同伴が必要) / 障がい者手帳、被爆者健康手帳をご提示の方、およびその介助者(1名)は一般 1300円
※きもの・ゆかたでご来館のお客様は、一般料金より200円引き。

あざみ野コンテンポラリーvol.17「ニュータウン、インターフェアレンス 都市とわたしたちの関係」(横浜市民ギャラリーあざみ野)

 横浜市民ギャラリーあざみ野で、「あざみ野コンテンポラリーvol.17」として企画展「ニュータウン、インターフェアレンス 都市とわたしたちの関係」が開催される。会期は10月10日〜11月3日。

中島晴矢《バーリ・トゥード in ニュータウン》(2014)

 本展は「都市」や「土地」のイメージをめぐり、人と場所との関係がどのように結ばれ、揺らいできたのかを多様な表現から検証する企画展だ。「乱入する」「なぞる」「連れる」といったキーワードとともに、7組のアーティストによる映像、インスタレーション、絵画、写真など約100点の作品を展示。あざみ野でのリサーチをもとに生まれた新作大型インスタレーションや、街を歩きながら描いた新作絵画など、多彩なアプローチが揃う。

 参加アーティストは石﨑朝子、川(Kawa)、谷山恭子、トランスフィールドスタジオ(山川陸+武田侑子)、中島晴矢、松田修、山口幸士ら。多様なメディアを通して、各地の都市空間やそこに潜む身体的・記憶的な痕跡をたどる。

会期:2026年10月10日〜11月3日
会場:横浜市民ギャラリーあざみ野 展示室1・2
住所:神奈川県横浜市青葉区江田町298-1
開館時間:10:00〜18:00 
休館日:10月26日 
料金:一般 500円 / 学生・65歳以上 300円 / 中学生以下無料(10月24日、25日は開館記念日のため無料)

「松元悠 イメージのあなた」(黒部市美術館)

 富山県の黒部市美術館で「松元悠 イメージのあなた」展が開催される。会期は10月10日〜12月20日。

松元悠《イメージのあなた(野洲)》(2026)BFK紙にリトグラフ

 松元悠は、1993年京都府生まれ。たまたま見知ったニュースや法廷画家としての活動で出会った事件をもとに現地取材を行い、当事者を自身の姿に置き換えたリトグラフ作品を制作する。真実をめぐる理解が困難な他者の出来事との、オルタナティブな関係性を模索してきた作家であり、作品が発表された後に生まれる「後日談」にも注目している。

 本展は、初期から新作までのほぼ全作品を展示し、作品を通して立ち現れる、作家の視点の広がりを捉える展覧会となる。会場では、版画史におけるリトグラフの報道性をベースにしつつ、ニュースと受け手のあいだを揺らぐ画面構成をもつ作品を紹介。当事者の聞こえない声や見えないものへの想像力を促す試みとして、アルミ版や石版によるリトグラフ合計60点程度を展示する。

会期:2026年10月10日~12月20日
会場:黒部市美術館
住所:富山県黒部市堀切1035 黒部市総合公園内
電話番号:0765-52-5011 
開館時間:9:30~16:30 
休館日:月(ただし10月12日、11月23日は開館)、10月13日〜14日、11月4日、24日〜25日
料金:一般 800円 / 高校・大学生 600円 / 中学生以下 無料

開創700年記念 特別展「大徳寺 本朝無双之禅苑」(東京国立博物館)

 東京・上野の東京国立博物館で、特別展「大徳寺 本朝無双之禅苑」が開催される。会期は10月14日〜12月6日。

重要文化財 伝牧谿筆《龍虎図(左)》中国 南宋時代(1269)大徳寺蔵 後期展示:11/10~12/6

 本展は、京都・紫野にある大徳寺の開創700年の節目を記念するもの。塔頭や大徳寺派寺院を含む山内の寺宝を一堂に集め、その歴史と文化を紹介する。

 大徳寺は、1326年の開山以来、各時代を代表する名僧を輩出し、後醍醐天皇から「本朝無双の禅苑」と讃えられた巨刹とされる。会場では、宗峰妙超(大燈国師)の法灯を受け継いだ一休宗純、沢庵宗彭、江月宗玩ら禅僧の足跡を紹介。あわせて、織田信長や豊臣秀吉ら戦国武将の信仰が生んだ壮麗な障壁画、千利休をはじめとする茶人との関わりを示す寺宝なども展示する。

会期:2026年10月14日〜12月6日
会場:東京国立博物館
住所:東京都台東区上野公園13-9
電話番号:050-5541-8600 
開館時間:9:30〜17:00(金土、11月1日、2日、22日は〜20:00)※入場は閉館の30分前まで 
休館日:月(ただし11月2日、23日、30日は開館)、11月24日 
料金:一般 2300円 / 大学生 1300円 / 高校生 900円

「吉田璋也のデザイン―新作民藝運動がめざした未来」(パナソニック汐留美術館)

 東京・汐留のパナソニック汐留美術館で、民藝運動に深く関わった吉田璋也の仕事を再検証する展覧会「吉田璋也のデザイン―新作民藝運動がめざした未来」が開催される。会期は10月14日〜12月6日。

吉田璋也デザイン《患者用診察椅子》(1952)個人蔵

 吉田は民藝の生産・流通・販売の体制を確立し「民藝のプロデューサー」として民藝運動に生涯を捧げた人物だ。吉田は1931年に地元の鳥取で医院を開業すると、陶芸・木工・染織・和紙・金工などの職人を集め、柳宗悦が見出した民藝の美を標準として「現代の生活にふさわしい日用品」づくりを行う。戦後は1949年に鳥取民藝美術館を開設するとともに、民藝運動を鳥取砂丘など地域の自然や文化財の保護にまで射程を拡げ、社会改革運動として展開していった。

 本展では、吉田璋也が伝統的な手仕事を現代の生活に根付かせるためにデザインした「新作民藝運動」の軌跡を、関連する作品や資料総計約300点により紹介。最新の研究も反映せた過去最大級の吉田璋也展となる。

会期:2026年10月14日〜12月6日
会場:パナソニック汐留美術館
住所:東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4階
電話番号:050-5541-8600 
開館時間:10:00〜18:00(11月6日、12月4日、18日、19日は〜20:00)※入館は閉館の30分前まで 
休館日:水(ただし12月16日は開館) 
料金:一般 1200円 / 大学生・高校生 700円 / 中学生以下 無料

「種と根っこ ─ 都市の耕し方」(東京オペラシティ アートギャラリー)

 東京・初台の東京オペラシティ アートギャラリーで、企画展「種と根っこ ─ 都市の耕し方」が開催される。会期は10月17日〜12月20日。

浅野友理子《綯い交ぜの庭》(2021) 撮影:嵯峨倫寛

 人間の活動そのものが自然環境を変化させる主な要因となっている現在、生態系には不安定さが生じ、自然と人工の境界はますます曖昧になりつつある。本展は、そうした状況下で都市に生きる私たちが、いかにして自然とのつながりを取り戻すことができるかを問うものだ。

 出品作家は、浅野友理子、今村文、岩名泰岳、加藤美佳、西條茜、鈴木初音、䑓原蓉子、保良雄ほか。会場では、浅野友理子《綯い交ぜの庭》(2021)をはじめとする多様な作品群を通し、都市における自然と人間の関わりが提示される。

会期:2026年10月17日〜12月20日
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2
電話番号:050-5541-8600 
開館時間:11:00〜19:00 ※入場は閉館の30分前まで 
休館日:月(ただし11月23日は開館)、11月24日
料金:一般 1800円 / 大・高生 1100円 / 中学生以下無料・障害者手帳等をお持ちの方および付添1名無料

大友良英+YCAM 新作展「即興!」(山口情報芸術センター[YCAM])

 山口県山口市の山口情報芸術センター[YCAM]で、音楽家・大友良英(1959〜)とYCAMによる大規模な新作展「即興!」が開催される。会期は10月17日~2027年3月1日。

2012年にYCAMで開催されたコンサート「2050年を想像する音楽 ―ドビュッシーとケージからの発想」リハーサルの様子。左から、大友良英、坂本龍一 撮影:田邊るみ

 本展は、大友の創作の基軸であり、アンサンブルの根底にある「即興」をテーマに、大友とYCAM、そして様々なジャンルのアーティスト5名とのコラボレーションによる新作展となる。制作にあたっては、YCAMの研究開発チーム「YCAM InterLab」が共同で参画。建築家・磯崎新が設計したYCAMの建物や周囲の環境に呼応するように、多彩な音や存在が響き合う、即興の豊かな世界が展開される。

会期:2026年10月17日~2027年3月1日
会場:山口情報芸術センター[YCAM]スタジオA、スタジオB、中庭、山口市中央公園ほか 
住所:山口県山口市中園町7-7 
開館時間:10:00〜19:00 
休館日:火(ただし祝日の場合は翌日休館)、年末年始(12月29日~1月3日)
料金:一般 1000円 / 山口市民、29歳以下 500円 / any会員、18歳以下 無料 / 障がい者手帳をお持ちの方と介助者1名 無料 
※ホワイエ、中庭、山口市中央公園は無料で鑑賞可能

「竹久夢二 時代を創る表現者」(東京国立近代美術館)

 東京・竹橋の東京国立近代美術館で画家、詩人、ジャーナリスト、デザイナー、イラストレーターなど、多彩な顔をもつ表現者として活躍した竹久夢二(1884〜1934)の回顧展「竹久夢二 時代を創る表現者」が開催される。会期は10月23日〜2027年1月11日。

 田舎への郷愁と都会の洗練を行き来しながら、江戸の面影や異国への憧れを織り込みつつ、同時代の風俗を描き出した夢二の作品は、雑誌や絵葉書、展覧会などを通して大衆に広く流布し、一世を風靡した。さらに、暮らしを彩る日用品のデザイン、子供のための本や雑誌の制作、流行歌「宵待草」の作詞、関東大震災を記録したスケッチや言葉など、その活動は分野を越え、同時代から後世に至るまで大きな影響を及ぼしている。

 本展では、代表作《黒船屋》をはじめ、日本画、油彩画、スケッチ、多様なデザイン、スクラップブックなど、全国各地の夢二コレクションから作品を一堂に集め、その多岐にわたる仕事の全貌に迫る。「美術」という枠を超え、時代を捉え、流行を生み、人々に愛され続けた表現者・竹久夢二の姿をあらためて紹介する。

会期:2026年10月23日〜2027年1月11日
会場:東京国立近代美術館
住所:東京都千代田区北の丸公園3-1
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル) 
開館時間:10:00〜17:00(金土〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで 
休館日:月(ただし11月23日、1月11日は開館)、11月24日、年末年始(12月28日~1月1日) 
料金:一般 2100円 / 大学生 1200円 / 高校生 700円 / 中学生以下、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。

「テート美術館 ターナー展──崇高の絵画、現代美術との対話」(国立西洋美術館)

 東京・上野の国立西洋美術館で、「テート美術館 ターナー展──崇高の絵画、現代美術との対話」が開催される。会期は10月24日〜2027年2月21日。なお、本展は大阪中之島美術館(2027年3月13日〜6月27日)にも巡回予定となっている。

J.M.W. ターナー《月光、ミルバンクでの習作》(展示:1797) 板(マホガニー)に油彩 テート美術館 Photo by Tate

 ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(1775〜1851)は、1802年に史上最年少でロイヤル・アカデミーの正会員となるなど、イギリス絵画史上もっとも偉大な画家のひとりとされる人物だ。移ろう光や大気、荒れ狂う海や空、あるいは産業革命期に人間が排出しはじめた蒸気や煤煙など、この世界の一定ではない諸相を時に克明に、時に抽象化して描き出した。その取り組みは絵画の可能性を拡張し、絵画史における新地平を切り拓いたとも言えるだろう。

 本展は、世界最大のターナー・コレクションを誇るロンドンのテート美術館の所蔵品から、油彩画や水彩画など、80点以上を紹介する大回顧展となる。序章と全7章の構成で作品をテーマごとに再編し、ゆるやかな時系列に沿って展示。さらに、ターナーの絵画と現代美術を併置して対話させ、その問題意識が後世のアーティストたちの関心とも響きあうことを提示するという。

会期:2026年10月24日〜2027年2月21日
会場:国立西洋美術館
住所:東京都台東区上野公園7-7 
開館時間:9:30〜17:30(金土〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで 
休館日:月(ただし11月23日、2027年1月11日は開館)、11月24日、年末年始(12月28日〜2027年1月1日)、1月12日 ※2027年1月12日〜2月21日の期間、常設展は閉室
料金:一般 2400円 / 大学生 1500円 / 高校生 1100円

「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×藤井光 WHOSE LIGHT? ─だれのひかりか」(アーティゾン美術館)

 アーティゾン美術館の開館以来、毎年開催されている、石橋財団コレクションと現代作家による共演企画「ジャム・セッション」。その第7回となる「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×藤井光 Whose Light? —だれのひかりか」は、芸術と社会、歴史との関係性を、綿密なリサーチとフィールドワークを通じて探究してきたアーティスト、藤井光を迎える。会期は10月24日〜2027年1月31日。

アーティゾン美術館ウェブサイト(https://www.artizon.museum/exhibition/detail/608)より Photo by Hikaru Fujii

 藤井が本展で着目するのは、プラトン『国家』第7巻に登場する「洞窟の比喩」における中心的概念、「光=真理」である。何が照らされているのかではなく、「その光を誰が、どのように照らしているのか」という視点へと問いを反転させることで、真理が成立する構造そのものを批評的に捉え直そうとする。

 この問いに応答するかたちで、会場では古代から中世、近代、そして戦後へと至る時間軸に沿い、石橋財団コレクションと新作を含む藤井の作品を展示。異なる時代の作品が交差するなかで、「光」と「真理」をめぐる価値観がいかに形成され、更新されてきたのかを浮かび上がらせる構成となりそうだ。

会期:2026年10月24日〜2027年1月31日
会場:アーティゾン美術館
住所:東京都中央区京橋1-7-2
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00–18:00(金〜20:00)※入館は閉館の30分前まで 
休館日:月(ただし11月23日、1月11日は開館)、11月24日、12月28日〜1月4日、1月12日 
料金:一般 1500円 / 学生 無料(要ウェブ予約)※中学生以下の方はウェブ予約不要。

「少女漫画・インフィニティ 萩尾望都×山岸凉子×大和和紀 三人展」(国立新美術館)

 東京・六本木の国立新美術館で、同館開館20周年を記念し、少女マンガ界を代表する3人の巨匠、萩尾望都、山岸凉子、大和和紀の画業をたどる「少女漫画・インフィニティ 萩尾望都×山岸凉子×大和和紀 三人展」が開催される。会期は10月28日〜2027年2月8日。

左から ©萩尾望都/小学館、©山岸凉子、©大和和紀/講談社

 萩尾、山岸、大和はいずれも1960年代後半にデビューし、1970年代に「少女漫画黄金期」を牽引した存在である。物語構造や心理描写、画面構成において革新的な表現を次々と打ち出し、少女マンガの表現領域を飛躍的に拡張してきた。以後も長年にわたり第一線で創作を続け、表現の多様性と可能性を体現してきた点で、3人はまさに時代の証言者とも言えるだろう。

 本展では、代表作の原画や貴重な関連資料を通じて、3作家それぞれの創作の軌跡をたどるとともに、その表現を支えてきた思想や創作の源泉に迫る。少女マンガというジャンルを超え、日本の視覚文化に大きな影響を与えてきた3人の仕事を、あらためて見つめ直す機会となりそうだ。

会期:2026年10月28日〜2027年2月8日
会場:国立新美術館
住所:東京都港区六本木7-22-2
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル) 
開館時間:10:00~18:00(金〜20:00) ※入場は閉館の30分前まで
休館日:火(ただし11月3日、12月8日は開館)、11月4日、年末年始(12月28日~2027年1月5日) 
料金:一般 2200円 / 大学生 1000円 / 高校生 500円

「森万里子:燦燦」(森美術館)

 東京・六本木の森美術館で、アーティスト・森万里子の個展「森万里子:燦燦」が開催される。会期は10月31日〜2027年3月28日。

森万里子《Wave UFO》(1999-2002)脳波インターフェース、ビジョンドーム、プロジェクター、コンピュータシステム、グラスファイバー、テクノジェル®、アクリル、カーボンファイバー、アルミニウム、マグネシウム 528×1134×493cm 展示風景「森万里子:Wave UFO」(ブレゲンツ美術館、オーストリア、2003) 撮影:リチャード・リーロイド

 森は1967年東京生まれ。近未来的な世界観と日本のアニメ文化などを融合させたのち、日本の自然信仰、仏教といった古代思想や精神世界、さらには縄文、ケルトなどの古代文化へとその表現を拡張していった。また、量子論、宇宙物理学、神経物理学にも接点を求めて、第一線の科学者やエンジニアともコラボレーション。2000年以降は没入型の空間体験を促す大型インスタレーションも制作している。仏教的な宇宙観を起点に、あらゆる物事の相互関連性を希求する「Oneness(万物の一体性)」を表現。10年には自然環境と人類のつながりを考えるパブリックアートを六大陸に恒久的に設置することを目指しファウ公益財団を設立。ブラジルと宮古島で実現している。

 本展は、02年に東京都現代美術館で開催された「森万里子 ピュアランド」展以来、国内では24年ぶりの美術館での個展となる。インタラクティブなインスタレーション、彫刻、ビデオ、写真、ドローイング、パフォーマンスなど30年以上にわたる実践から約80点の作品が一堂に会する大規模個展。初期から最新作まで、代表作が緩やかに時代を追って展示され、作品資料やアーカイブも初公開される予定だ。

会期:2026年10月31日〜2027年3月28日
会場:森美術館
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00~22:00(火、11月27日〜17:00、11月3日〜18:00、2月23日〜22:00)※入館は閉館時間の30分前まで
休館日:会期中無休 
料金:[平日]一般 2800円 / 学生(高校・大学生)1700円 / 中学生以下 無料 / シニア(65歳以上)2400円、[土日祝]一般 3000円 / 学生(高校・大学生)1800円 / 中学生以下 無料 / シニア(65歳以上)2600円 ※12月30日、12月31日は土日祝料金

青森県立美術館開館20周年 / 東日本大震災15年「志賀理江子 なぬもかぬも」展(青森県立美術館)

 青森県立美術館で、身体の感覚に根ざした光と色、演劇性のある写真や映像作品で国際的に知られる宮城在住のアーティスト・志賀理江子の個展「なぬもかぬも」が開催される。会期は10月31日〜2027年3月14日。

 展示タイトルの「なぬもかぬも」は三陸沿岸部に伝わる方言であり、「お手上げだ!」「深い海の底のため息」「一切合切」など、使う人や環境により意味がひらく、不思議な奥行きのあるものだ。この言葉を冠する本展は、震災前から志賀がその身でたどってきた宮城、福島、山形、秋田、岩手、青森の土地とその歴史、耳を澄ませてきた様々な声、出遭ってきた風景への深い洞察から生まれた写真や映像、テキスト、インスタレーション作品を新旧織りまぜて紹介する、作家にとって過去最大規模の個展となる。

 会場では、青森をはじめとする「東北」の各地で撮影された写真や映像の新作が登場するほか、近作群からとくに志賀が架空の人物「褜男(えなお)」に託したイメージと物語からなる《なぬもかぬも》(2025)が再構成して展示されるという。

会期:2026年10月31日〜2027年3月14日
会場:青森県立美術館
住所:青森県青森市安田近野185
開館時間:9:30〜17:00(11月14日、12月19日、1月16日〜20:00)※入館は閉館の30分前まで
休館日:11月9日、24日、12月14日、24日〜31日、2027年1月1日、12日、25日、2月8日、13日〜25日、3月8日
料金:一般 1700円 / 大学生 1200円 / 18歳以下および高校生 無料 / 心身に障がいのある方と付添者1名は無料