2026.6.12

今週末に見たい展覧会ベスト10。中西夏之から「ピカソ meets ポール・スミス」、LABUBUまで

今週閉幕する/開幕した展覧会のなかから、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。なお、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

「MONSTERS BY MONSTERS: NOW AND THEN」展の展示風景より
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もうすぐ閉幕

「チュルリョーニス展 内なる星図」(国立西洋美術館

ミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス《祭壇》(1909)国立M. K. チュルリョーニス美術館(カウナス)
M. K. Čiurlionis National Museum of Art, Kaunas, Lithuania.

 国立西洋美術館で、企画展「チュルリョーニス展 内なる星図」が6月14日まで開催されている。

 ミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス(1875〜1911)は、リトアニアを代表する芸術家。絵画と音楽のふたつの領域で才能を示し、35歳で亡くなるまでのわずか6年ほどの画業で、300点以上の作品を世に送り出した。アール・ヌーヴォーや象徴主義、ジャポニスムといった国際的な芸術動向に呼応しつつ、作曲家ならではの感性とリトアニア固有のアイデンティティに根差した作品で知られている。

 本展は、チュルリョーニスの生誕150周年にあわせて開催される、日本における34年ぶりの大回顧展であり、国立M. K. チュルリョーニス美術館が所蔵する主要な絵画やグラフィック作品約80点を紹介。独創的な象徴に満ちた《祭壇》や代表作《レックス(王)》を日本初公開するほか、音楽形式を取り入れた連作や自筆の楽譜なども展示している。

会期:2026年3月28日~6月14日
会場:国立西洋美術館
住所:東京都台東区上野公園7-7
電話番号:050-5541-8600
開館時間:09:30~17:30(金土~20:00)※入館は閉館30分前まで
料金:一般 2200円 / 大学生 1300円 / 高校生 1000円

「北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより」(国立西洋美術館

葛飾北斎 『冨嶽三十六景』より 神奈川沖浪裏 1830-33年頃 井内コレクション(国立西洋美術館に寄託)

 国立西洋美術館で、企画展「北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより」が6月14日まで行われている。

 葛飾北斎(1760〜1849)は、斬新な構図と自然や人物を捉える表現力によって、日本国内のみならず西洋美術にも影響を与えた。本展は、2024年に井内コレクションより国立西洋美術館に寄託された北斎の『冨嶽三十六景』を初披露するものだ。

 シリーズ全46図を一挙に公開するほか、《神奈川沖浪裏》と《凱風快晴》については、それぞれ異なる摺りをもう1点ずつあわせて紹介。《神奈川沖浪裏》は、摺り・保存状態に優れた一枚が加わり、通称「赤富士」として知られる《凱風快晴》は、色変わり版の通称「青富士」も展示されている。

会期:2026年3月28日~6月14日
会場:国立西洋美術館
住所:東京都台東区上野公園7-7
電話番号:050-5541-8600
開館時間09:30~17:30(金土~20:00)※入館は閉館30分前まで
料金:一般 2200円 / 大学生 1300円 / 高校生 1000円 / 中学生以下 無料

「建物公開2026 アニマルズ in 朝香宮邸」(東京都庭園美術館

3階に位置する、市松模様の床が印象的なウインターガーデンも特別公開

 東京都庭園美術館で「建物公開2026 アニマルズ in 朝香宮邸」が6月14日に終了する。レポート記事はこちら

 本展は、旧朝香宮邸である東京都庭園美術館本館の魅力を紹介する年に一度の建物公開展だ。2026年は「アニマルズ」をテーマに掲げ、朝香宮邸にゆかりのある動物たちに注目。1933年に竣工した同邸宅の室内装飾に登場する動物や、宮邸時代に実際に生活していた白孔雀、鶴、犬、鶏、ウサギなどを、様々な作品や資料を通して鑑賞することができる。

 会場では、宮邸時代の家具や調度品を展示し、建物自体の魅力を紹介。このほか、3階ウインターガーデンの特別公開や、庭園を臨めるしつらえも実施されており、建築空間や室内装飾とともに、朝香宮邸とゆかりのある動物たちの姿を堪能してほしい。

会期:2026年4月11日〜6月14日
会場:東京都庭園美術館
住所:東京都港区白金台5–21–9
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00~18:00 ※入館は閉館の30分前まで
料金:一般 1000円 / 大学・専門学校生 800円 / 高校生および65歳以上 500円 ※日時指定予約制

「中央アジアの手仕事 ―華麗なる刺繍とジュエリー 広島県立美術館コレクションより―」(渋谷区立松濤美術館

女性用被衣(チルピ) テケ族、トルクメン人 19世紀 広島県立美術館蔵

 渋谷区立松濤美術館で「中央アジアの手仕事 ―華麗なる刺繍とジュエリー 広島県立美術館コレクションより―」が6月14日に閉幕する。

 シルクロード上に位置する中央アジアでは、多様な文化が生み出された。ウズベク人などに伝わる刺繍布「スザニ」や衣装は、文様と色づかいに特徴があるいっぽうで、遊牧生活を送っていた人が多いトルクメンは、重量感のある銀製の装身具で身を飾る習慣をつくり出した。本展は、広島県立美術館のコレクションより、中央アジア諸国の伝統的な生活や工芸品を楽しめる機会だ。

会期:2026年4月11日~6月14日
会場:渋谷区立松濤美術館
住所:東京都渋谷区松濤2-14-14
電話番号:03-3465-9421
開館時間10:00~18:00(金~20:00)※入館は閉館30分前まで
料金:一般 1000円 / 大学生 800円 / 高校生、60歳以上 500円 / 小学・中学生 100円

「歌川広重『名所江戸百景』最後の挑戦」(太田記念美術館

歌川広重 名所江戸百景 深川洲崎十万坪 (前期)

 太田記念美術館で、「歌川広重『名所江戸百景』 最後の挑戦」が6月14日まで開催されている。

 歌川広重(1797〜1859)は、江戸時代後期に名所絵で一世を風靡し、生涯にわたって第一線で活躍し続けた絵師として知られている。とくに還暦を迎えてから62歳で没するまでの3年間に手がけられた「名所江戸百景」は、広重の最晩年に描かれ、生涯最大の作品数を誇るシリーズとして知られている。

 本展では、「名所江戸百景」シリーズ全120点を約8年ぶりに一挙公開。初代広重が手掛けた118図に、二代広重が描いた1図、および目録を加えた全120点を前後期に分けて展示する。手前に極端に大きなモチーフを配した「近像型構図」をはじめ、トリミングや俯瞰視点を駆使した革新的でデザイン性の高い画面に注目。また、王子や目黒、郊外などの新たな名所の開拓や、黒船来航後の御台場建設の影響を受けた御殿山の姿など、幕末の社会状況を反映させた表現についても紹介されている。

会期:2026年4月15日~6月14日
会場:太田記念美術館
住所:東京都渋谷区神宮前1-10-10
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:30~17:30※入館は閉館の30分前まで
料金:一般 1200円 / 大高生 800円 / 中学生以下 無料

「中西夏之 緩やかにみつめるためにいつまでも佇む、装置」(国立国際美術館

イーゼルに載せられて展示された絵画。左から《4ツの始まり-2001-Ⅲ》(2001)、《R・R・W―4ツの始まり-2001-Ⅱ》(2002)、《4ツの始まり-2001-Ⅳ》(2001)、《4ツの始まり-2001-Ⅰ》(2001)

 国立国際美術館で、特別展「中西夏之 緩やかにみつめるためにいつまでも佇む、装置」が6月14日に閉幕する。レポート記事はこちら

 中西夏之(1935〜2016)は、絵画という営みを根底から問い直し、具象や抽象といった既存の枠組みに収まらない作品を生み出した。1960年代前半には前衛美術家集団「ハイレッド・センター」の一員として数々のイベントを繰り広げ、その後、舞踏家・土方巽との出会いをきっかけに本格的な絵画への回帰を果たした経歴を持つ。オレンジや黄緑、紫の色を多用し、異様に柄の長い筆を用いて描く手法など、独自の絵画理念を実践した。

 本展では、中西の半世紀以上にわたる制作の軌跡を振り返り、その絵画理念と実践を紹介。没後10年の節目に開催される本展では、中西が残した「緩やかにみつめるためにいつまでも佇む、装置」という言葉を軸に、作品が投げかけた問いを知る機会だ。

会期:2026年3月14日〜6月14日
会場:国立国際美術館 地下3階展示室
住所:大阪市北区中之島4-2-55
電話番号:06-6447-4680
開館時間:10:00〜17:00(金〜20:00) ※入場は閉館の30 分前まで
料金:一般 1500 円 / 大学生900円 / 高校生以下・18 歳未満・心身に障がいのある方とその付添者1名無料

今週開幕

「ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ」(国立新美術館

 国立新美術館で「ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ」展が始まっている。

 本展は、20世紀を代表する芸術家パブロ・ピカソと、英国を代表するファッションデザイナーのポール・スミスによる異色のコラボレーションから生まれた展覧会だ。パリ国立ピカソ美術館の所蔵作品を中心に約80点を紹介するとともに、ポール・スミスが会場デザインを手がけ、ピカソの創造性を新たな視点から体験できる空間を創出する。

 会場は「青の憂鬱」「キュビスムの実験室」「闘牛」「戦時中」「晩年」など15のセクションで構成され、初期から最晩年までの創作の軌跡をたどる。なかでも注目したいのは、作品そのものだけでなく、それらを取り巻く展示空間だ。自転車のサドルとハンドルを組み合わせた《牡牛の頭部》に着想を得たインスタレーションや、展覧会ポスターを思わせるグラフィカルな空間演出など、ポール・スミスはピカソの「遊び心」や自由な発想を視覚的に翻訳。芸術とファッション、歴史と現代が交差する展示を通して、ピカソという巨大な存在をより身近に、そして新鮮なかたちで体験する機会となるだろう。

会期:2026年6月10日~9月21日
会場:国立新美術館
住所:東京都港区六本木7-22-2
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00~18:00(金土~20:00)(入場は閉館の30分前まで)
休館日:火、8月12日(ただし8月11日は開館)
料金:一般 2400円 / 大学生 1400円 / 高校生 1000円

「MONSTERS BY MONSTERS: NOW AND THEN」(麻布台ヒルズギャラリー

展示風景より

 麻布台ヒルズギャラリーで、THE MONSTERS 10周年記念展 東京「MONSTERS BY MONSTERS: NOW AND THEN」が開幕した。レポート記事はこちら

 本展は、アートトイブランド・POP MARTが、アーティスト カシン・ロンが手がけるLABUBU(ラブブ)と「THE MONSTERS」の10年の軌跡を紹介するもの。上海、台北、香港、パリを巡ったグローバルツアーの東京展として、各地で話題となった展示内容に加え、描き下ろし作品が集まる。

 展示室では、5面に映し出される映像プロジェクションと立体的なサラウンド音響によって『The Story of Puca』の物語に没入できる世界初公開アニメーションエリアや、LABUBUが並ぶぬいぐるみハウス、ミラールーム、カシン・ロンの創作のプロセスと軌跡をたどるスケッチ、絵画、立体作品など、8つの展示・体験ゾーンで構成された「魔法の森」を創出する。

会期:2026年6⽉11⽇〜7⽉5⽇
会場:⿇布台ヒルズギャラリー
住所:東京都港区⻁ノ⾨5-8-1
開館時間:10:00〜19:00 ※入場は18:00まで
料金:2500円(特典つき)

「“カフェ”に集う芸術家 —印象派からゴッホ、ロートレック、ピカソまで」(三菱一号館美術館

ラモン・カザス《マドレーヌ》(1892)カンヴァス ムンサラット美術館 Museu de Montserrat. Donated by J. Sala Ardiz.

 三菱一号館美術館で「“カフェ”に集う芸術家 —印象派からゴッホ、ロートレック、ピカソまで」が6月13日に開幕する。

 19世紀後半のパリ、マネや後に印象派と呼ばれることになる芸術家たちはカフェに集い、議論を戦わせた。カフェやキャバレー、ダンスホールは、飲食や娯楽を楽しむだけではなく、新たな芸術が生まれる場所となっていく。それは、サロンからの脱却とともに、芸術が群衆に溶け込む新しい時代の始まりでもあった。

 1897年、カタルーニャ出身の画家カザスはモンマルトルの有名店「シャ・ノワール(黒猫)」に倣って、バルセロナに「クアトラ・ガッツ(4匹の猫)」を開店。若きピカソも通った。そして、ピカソは“カフェ”を舞台にロートレックやカザスが描いた悦楽や孤独に多大な影響を受けて、「青の時代」へと向かう。

 本展では、マネ、ゴッホ、ロートレック、ピカソによる名作の数々、そしてバルセロナが誇る35年ぶりの来日となるカザス作《マドレーヌ》を加えた約130点から、“カフェ”で生まれた芸術の広がりを紹介する。

会期:2026年6月13日~9月23日
会場:三菱一号館美術館
住所:東京都千代田区丸の内2-6-2
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00~18:00(金、第2水曜日、7月25日、9月19日~23日は〜20:00)(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月(ただし、祝日、6月29日、7月27日、8月31日は開館)
料金:一般 2300円 / 大学生 1300円 / 高校生 1000円 / 中学生以下 無料

「もはやない国のかつてない光 東ドイツの女性写真家たち」(神奈川県立近代美術館 葉山

ジビレ・ベルゲマン《アネッテとアンゲラ、ルストガルテン、ベルリン》(1982) © Estate Sibylle Bergemann. Courtesy Loock Galerie, Berlin

 神奈川県立近代美術館 葉山にて、企画展「もはやない国のかつてない光 東ドイツの女性写真家たち」が6月13日から開催される。

 第二次世界大戦後に東西に分断され、1990年の再統一によって姿を消したドイツ民主共和国(東ドイツ)。同国において女性が写真家としてのキャリアを形成し、独自の芸術表現を開拓していた事実は、近年までドイツ写真史において見過ごされてきた領域だ。本展は、現在も主要な作家として活動する人物を含む15人の女性写真家に焦点を当て、社会や日常に向けられた視線と技術から、彼女たちの作品が果たした役割を検証する企画となっている。

 展示の中心となるのは、ベルリンの現代美術コレクター、スヴェン・ヘアマンが所蔵するヴィンテージ・プリントのコレクションだ。現在、旧東ベルリンのシュプレー河畔にある元工場を拠点とするラインベックハレン財団が管理するこれらの作品群が、日本国内で公開されるのは今回が初となる。

 本展では、ライプツィヒの美術大学で修業した作家などを中心に取り上げることで、ドイツ写真史における多様な実践を提示する。会場では旧東ドイツ時代の写真のみならず、再統一後の近作や最新の映像作品、当時の刊行物などの資料もあわせて紹介される。

会期:2026年6月13日~8月30日
会場:神奈川県立近代美術館 葉山
住所:神奈川県三浦郡葉山町一色2208-1 神奈川県立近代美術館 葉山
電話番号:046-875-2800
開館時間:09:30~17:00 ※入館は閉館30分前まで
休館日:月(7月20日は開館)
料金:一般 1200円 / 20歳未満・学生 1050円 / 65歳以上 600円 / 高校生 100円 / 中学生以下、障害者手帳等・ミライロIDをご提示の方および介助者原則1名 無料