2026.6.8

直島新美術館で夏の展示替え。サニタス・プラディッタスニーと岡﨑乾二郎の新展示がスタート

香川県・直島の直島新美術館で展示替えが実施。新たにタイのアーティスト、サニタス・プラディッタスニーによる屋外インスタレーション《The Sound of Naoshima》と、岡﨑乾二郎による展示「端しき、ことの葉」が公開された。

岡﨑乾二郎「端しき、ことの葉」(2026)の展示風景 撮影:来田猛
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 2025年5月31日に開館した直島新美術館で展示替えが行われ、サニタス・プラディッタスニーと岡﨑乾二郎による新展示が6月7日にスタートした。

仏塔《SILENCE》を中心に構成

 サニタス・プラディッタスニーは1980年バンコク生まれ、同地を拠点に活動。美術作品のみならず、ランドスケープ・アーキテクチャー・デザインも手がけるアーティスト。信仰や宗教に関連する建築の中の形、質感、空虚な空間に興味を持ち、鑑賞者との相互作用を促すような建築・彫刻的作品で知られる。

サニタス・プラディッタスニー《The Sound of Naoshima》(2026) 撮影:来⽥猛
サニタス・プラディッタスニー《The Sound of Naoshima》(2026) 撮影:来⽥猛

 屋外インスタレーション《The Sound of Naoshima》(2026)は、島内に点在する「直島八十八箇所」や、禅の公案である「隻手の声―片手で鳴らす音を心耳をもって聞く」(経験を通じてのみ理解できる状態)に着想を得たもので、仏塔《SILENCE》を中心に構成。タイの伝統技法と直島由来の素材を組み合わせ、周囲の自然環境へ溶け込むように設置されている。鑑賞者に静寂のなかで感覚を研ぎ澄まし、自然の循環や無常に思いを巡らせる場を提供する。

直島との関係のなかで生まれた作品を中心に構成

 いっぽう地下2階のギャラリー3では、岡﨑乾二郎による「端しき、ことの葉」が展開されている。

岡﨑乾二郎「端しき、ことの葉」(2026)の展示風景 撮影:来田猛

 岡﨑は1955年東京都生まれ。 絵画、彫刻、風景、建築などの作品を手がけるとともに、評論活動でも知られる。25年には東京で初めての大規模個展「而今而後 ジコンジゴ Time Unfolding Here」(東京都現代美術館)を開催。今年に入ってからは第76回芸術選奨文部科学大臣賞と、第67回毎日芸術賞(美術Ⅰ部門 (絵画・彫刻・工芸・グラフィック))を受賞した。

 本展は90年代から現在に至るまで直島との関係のなかで生まれた作品を中心に構成され、「岡﨑乾二郎と直島」という時間軸、「言葉と絵画の関係」、そして「Reserve, Remember, Renew」といったテーマを手がかりに展開。日常の断片や記憶がどのように新たな認識へと結びつくのかを問いかける内容となっている。

サテライト展示なども展開

 また館内では、瀬戸内海地域の景観、風土、民俗、歴史などの調査、収集、展示を通してアーカイブ空間を創出する、下道基行による瀬戸内「   」資料館のサテライト展示も実施。岡山の写真家・緑川洋一が1950年代に撮影した直島の製錬所で働く人々の写真を再構成し、急速な近代化のなかで変化した瀬戸内地域の歴史や暮らしを振り返る機会を提供する。

下道基行 瀬戸内「緑川洋一」資料館の展示風景 撮影:来田猛
ライブラリープロジェクトの風景 撮影:来田猛

 さらに、インドネシアのアーティスト・デュオ、インディゲリラによる《ゴトン・ロヨン/相互協力》を活用したライブラリープロジェクトも展開。ベネッセアートサイト直島に関する書籍や資料を閲覧できる場として機能し、展示鑑賞とあわせて地域やプロジェクトの歴史への理解を深めることができる。

 なお、同館では今後も展示替えを継続し、冬には今津景とバグース・パンデガによる展覧会「Currents without Anchors(錨なき流れ)」を開催予定。海をめぐる資源の移動や環境、記憶をテーマにした大型インスタレーションが計画されている。