2026.4.7

「風間サチコ展:方丈ルームの1000里眼」が弘前れんが倉庫美術館で開催へ。東北初となる個展

青森県弘前市の弘前れんが倉庫美術館で、「風間サチコ展:方丈ルームの1000里眼」が開催される。会期は6⽉5⽇〜11⽉15⽇。

風間サチコ ありがとう、我が愛する白鳥よ! 2026 作家蔵 ©︎Sachiko Kazama Courtesy of the artist and MUJIN-TO Production Photo by Kei Miyajima
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 青森県弘前市の弘前れんが倉庫美術館で、東京を拠点に活動する風間サチコの東北初となる個展「風間サチコ展:方丈ルームの1000里眼」が開催される。会期は6⽉5⽇〜11⽉15⽇。

 ⾵間は1972年東京都生まれ、在住。96年武蔵野美術学園版画研究科修了。黒⼀⾊で刷られた⽊版画を主な表現⼿法として制作活動を行う作家だ。近代化によって変化した⽇本社会に関⼼を寄せ、国家、資本主義、科学技術を象徴するモチーフを軸に、それらがもたらした進歩の裏側にある犠牲や⽭盾を鋭い視点で描いてきた。オリンピック、東⽇本⼤震災後の原発事故などの時事的なトピックから学校などの⾝近な場所まで、近現代の社会的事象を題材に、⽂学、神話、個⼈的記憶を⼤胆に交差させた作品で知られている。

 本展のタイトルは、鎌倉時代初期の随筆家・鴨⻑明が記した『⽅丈記』から着想を得ている。鴨長明は同書で、四畳半ほどの部屋で必要最小限の品々に囲まれながら生活を送る様子を綴った。風間にとっても自宅の四畳半の居間は、読書や作品の構想を練るための思索の場所であり、外界から距離を置いたこの空間は、千里眼のように過去・現在・未来へと思考を巡らせ、世界を見つめ、想像力を膨らませるための場となっている。

風間サチコ 噫!怒涛の閉塞艦 2012 東京都現代美術館蔵 Photo by Kei Miyajima
風間サチコ ディスリンピック2680 2018 作家蔵(A.P.) Photo by Kei Miyajima
風間サチコ 第一次幻惑大戦 2017 横浜美術館蔵 Photo by Kei Miyajima

青森の風景に着想した新作も

 本展は、風間の1990年代の初期作から近年の代表的な木版画、そして弘前での展示にあわせた最新作の絵画まで、約60点を紹介するものとなる。新作の油彩画では、弘前で出会った一冊の本がきっかけとなって生まれた「白鳥」を描いたシリーズを展示。作品内には、本展に向けたリサーチで目にした平内町の浅所海岸や青森市の合浦公園などの風景が登場し、歴史や文学、伝説のイメージと重ね合わされているのもポイントだ。

風間サチコ 白鳥の聲が聞こえる 2026 作家蔵 ©︎Sachiko Kazama Courtesy of the artist and MUJIN-TO Production Photo by Kei Miyajima

 また、青森や岩手の旧南部藩で遊ばれていたとされるカルタの一種「黒札」の図案を巨大化させたアクリル画も公開。あわせて、風間の「方丈ルーム」での作品の思索の軌跡をたどることができる、部屋型のインスタレーションも展示される。

 なお、会期中は関連イベントとして、オープニングトークや学芸スタッフによる解説ツアーが実施される。さらに、同館のスタジオでは展示作家による推薦映画作品を上映しており、今回は風間による推薦作品として『カリガリ博⼠』が上映される予定だ。こちらもぜひチェックしてほしい。