2025.8.29

今週末に見たい展覧会ベスト17。藤田嗣治、日本美術の鉱脈、ゴッホに坂本龍一まで

今週閉幕する/開幕した展覧会のなかから、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。なお、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

「日本美術の鉱脈展 未来の国宝を探せ!」(大阪中之島美術館)展示風景より、西尾康之《アルファ・オメガ》(2025)
前へ
次へ

もうすぐ閉幕

「藤田嗣治 絵画と写真」(東京ステーションギャラリー

展示風景より、ドラ・カルムス(マダム・ドラ)《猫を肩にのせる藤田嗣治》(1927/2025)東京藝術大学蔵

 東京ステーションギャラリーで「藤田嗣治 絵画と写真」が8月31日まで開催されている。会場レポートはこちら

 藤田嗣治(1886〜1968)は、乳白色の下地に描いた絵画で世界的に知られた、エコール・ド・パリを代表する画家だ。本展は、そんな藤田の芸術を「写真」をキーワードに再考。画家と写真の関係を「絵画と写真につくられた画家」「写真がつくる絵画」「画家がつくる写真」の3つの視点から紐解く。

 藤田のアイコニックな風貌を世に知らしめたのは、幾度も描かれた自画像や繰り返し複製され流通した自身の肖像写真であった。藤田が自分自身を描写した絵画と写真を通して、「見られたい自分」をつくり出し、セルフブランディングしていくプロセスを跡付ける。また、藤田は写真を絵画制作に活用した。旅先でスケッチの代わりに写真を使い、世界のあらゆる風景や人々の姿を記録した。そして写り込んだ様々な細部は、必要に応じて写真から切り出され、絵画作品へと転用されていった。本展では、絵画に現れた写真の断片を探りあて、藤田の写真活用のプロセスを検証する。

会期:2025年7月5日~ 8月31日
会場:東京ステーションギャラリー
住所:東京都千代田区丸の内1-9-1
電話番号:03-3212-2485
開館時間:10:00~18:00(金~20:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(7月21日、8月11日、8月25日は開館)、7月22日、8月12日
料金:一般 1500円 / 大学・高校生 1300円 / 中学生以下無料 / 障がい者手帳等持参の方 入館料から200円引き(介添者1名は無料)

「日本美術の鉱脈展 未来の国宝を探せ!」(大阪中之島美術館

展示風景より、左から伊藤若冲《竹鶏図屏風》(寛政2年以前)、円山応挙《梅鯉図屏風》(天明7年)

 大阪中之島美術館で「日本美術の鉱脈展 未来の国宝を探せ!」が8月31日まで開催されている。会場レポートはこちら

 かつては、西洋美術に比べて人気がなかった日本美術。しかし、世紀の変わり目あたりから状況は徐々に変わってきた。そんな「日本美術ブーム」を牽引したひとりとして、江戸時代の画家・伊藤若冲(1716~1800)が挙げられる。2000年に京都国立博物館で開催された「没後200年 特別展 若冲」をきっかけとして、空前の伊藤若冲(1716~1800)ブームが巻き起こり、2016年に東京都美術館で開催された「生誕300年記念 若冲」展には、46万人もの観客が詰めかけた。しかし、そんな若冲も、2000年以前には一般の人々にとっては日本美術の「知られざる鉱脈」だった。

 本展では、これまでほとんど注目されていないもの、一部の研究者は熱心に研究しているものの、一般の方々にはほとんど知られていないものなど「知られざる鉱脈」としての日本美術を紹介。縄文から現代まで、出品作の時代、ジャンルは多岐に及ぶ。その鉱脈を掘り起こし、展覧することで、鑑賞者の目で「未来の国宝」を探してもらいたいという思いで、この展覧会は企画されている。

会期:[前期]2025年6月21日~7月6日、7月8日〜27日[後期]7月29日〜8月17日、8月19日〜31日
会場:大阪中之島美術館
住所:大阪府大阪市北区中之島4-3-1
開館時間:10:00~17:00(7月18日~8月30日までの金土祝前日は~19:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし7月21日、8月11日は開館)、7月22日、8月12日
料金:一般 1800円 / 高大生 1500円 / 小中生 500円

「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(大阪市立美術館

展示風景より

 大阪市立美術館で開催されている「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」は8月31日まで。会場レポートはこちら。フィンセント・ファン・ゴッホ(1853〜1890)の作品は、いかにして今日まで伝えられてきたのか、家族が受け継いできたコレクションに焦点をあてる展覧会だ。

 ゴッホの画業を支え、大部分の作品を保管していた弟テオは、兄の死の半年後に生涯を閉じ、テオの妻ヨーが膨大なコレクションを管理することとなる。ヨーは、義兄の名声を高めることに人生を捧げ、作品を展覧会に貸し出し、販売し、膨大な手紙を整理して出版した。その息子フィンセント・ウィレムは、コレクションを散逸させないため、フィンセント・ファン・ゴッホ財団をつくり、美術館の設立に尽力する。

 アムステルダムのファン・ゴッホ美術館には、ゴッホの約200点の油彩や500点にのぼる素描をはじめ、手紙や関連作品、浮世絵版画などが所蔵されている。そのほとんどは1973年の開館時に、フィンセント・ファン・ゴッホ財団が永久貸与したものだ。

会期:2025年7月5日〜8月31日 
会場:大阪市立美術館(天王寺公園内)
住所:大阪府大阪市天王寺区茶臼山町1-82
開館時間:9:30~17:00(土〜19:00) ※入館は閉館の30分前まで
料金:一般 2200円 / 高大生 1300円 / 小中生 500円
※土日祝は日時指定予約優先制。平日は日時指定予約不要。

「加藤泉 何者かへの道」(島根県立石見美術館

展示風景より

 島根県立石見美術館で開催されている、同県安来市出身のアーティスト・加藤泉の過去最大規模の個展「加藤泉 何者かへの道」は9月1日まで。会場レポートはこちら

 1990年代末より画家としての活動を始めた加藤は、シンプルな顔かたちの「人がた」を使って表現してきた。2000年代からは木彫作品にも取り組み、現在は石、布、ソフトビニール、プラモデルなど幅広い素材を取り入れた作品を発表している。

 本展は、初公開となる学生時代の油絵から最新作まで200点以上を一堂に展示。加藤のこれまでの歩みと最新の取り組みを振り返るもの。あわせて新作を含むインスタレーションや音楽活動、プロダクトなど、様々な角度から幅広い活動が紹介されている。

会期:2025年7月5日~9月1日
会場:島根県立石見美術館
住所:島根県益田市有明町5-15
開館時間:9:30~18:00 ※入館は閉館の30分前まで
料金:一般 1300円 / 大学生 600円 / 高校生以下無料 

「ヤノベケンジ 宇宙猫の秘密の島」(ハイパーミュージアム飯能)

宮沢湖の上に浮かぶ《宇宙猫の島》

 埼玉県飯能市宮沢湖のほとりにある、北欧のライフスタイルを体験できる「メッツァビレッジ」に誕生した新たな現代美術館「ハイパーミュージアム飯能」。そのこけら落としとなる「宇宙猫の秘密の島」は8月31日まで。会場レポートはこちら

 1990年代から「タンキング・マシーン」や「トらやん」「ラッキードラゴン」などのキャラクターの巨大彫刻をつくり続けているヤノベ。今回の展覧会では、「地球に生命をもたらした宇宙猫の物語」をテーマにした《BIG CAT BANG》の続編として、メッツァ敷地内の宮沢湖に眠り猫の巨大な浮島を出現させている。また、室内の展示は、「宇宙猫」のバックストーリーからスタートし、ヤノベが1990年の作家デビューから最近のAIを使った作品まで、立体や原画、特別映像など約80点で構成されている。

 ヤノベはプレス内覧会で、「この森の豊かな自然のなかで、何を見せようと考えたときに、宮沢湖の存在が気になってじっと見ていると、幻影のように巨大な猫が島の上に眠っているイマジネーションが降りてきた」と語っている。

会期:2025年3月1日~8月31日
会場:ハイパーミュージアム飯能
住所:埼玉県飯能市宮沢327-6
開館時間:10:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
観覧料:大人 1200円 / 子供(4歳〜高校生)700円 / 3歳以下 無料

「ジャン=リュック・ゴダール《感情、表徴、情念 ゴダールの『イメージの本』について》」(王城ビル)

展示風景より

 歌舞伎町の王城ビルで開催されている、映画監督ジャン=リュック・ゴダールの最後の長編映画『イメージの本』(2018)に着想を得た展覧会「感情、表徴、情念 ゴダールの『イメージの本』について」は8月31日まで。会場レポートはこちら

 『イメージの本』は、歴史、戦争、宗教、芸術といった主題を軸に、過去の映画、音楽、文学、美術作品からの引用を織り交ぜて構成された映像詩である。全体は2部構成で、とくに第1部は5章に分かれ、それぞれが独立したテーマと形式をもつ。2018年のカンヌ国際映画祭では、映画祭史上初の「スペシャル・パルムドール」が本作に授与された。

 本展のアーティスト兼キュレーターを務めるのは、ゴダールの晩年の創作を支えたスイスの映画作家ファブリス・アラーニョ。『ゴダール・ソシアリスム』(2010)や『イメージの本』において撮影・音響・編集を担った人物である。展覧会は2020年にスイス・ニヨンで初めて開催され、その後ベルリンではゴダール本人との共同制作のもとで再構成され、日本では今回が初の開催となっている。

会期:2025年7月4日~8月31日
会場:王城ビル
住所:東京都新宿区歌舞伎町1-13-2
開館時間:12:00~20:00 ※入場は閉館30分前まで
休館日:会期中無休
観覧料:一般 2200円 / 大学生、障がい者の方(介護者1名まで同料金)1500円 / 中学・高校生 1000円 / 小学生以下 無料

「具体美術協会と芦屋、その後」(芦屋市立美術博物館

 兵庫・芦屋の芦屋市立美術博物館で「具体美術協会と芦屋、その後」が8月31日まで開催されている。会場レポートはこちら

 本展では、1954年に芦屋で結成された「具体美術協会」(具体)が72年に解散するまでの18年間の活動を振り返り、なかでも70年の日本万国博覧会(大阪万博)の参加に向けて準備を進めていた60年代後半からの「具体」の動向を紹介。

 また、72年と74年に芦屋のルナ・ホールや滴翠美術館で開催された「芦屋川国際ビエンナーレ」、73年から75年にルナ・ホールで開催された「ルナ・フェスティバル」を資料などから紹介し、芦屋の美術の時間をたどっている。

会期:2025年7月5日~8月31日
会場:芦屋市立美術博物館
住所:兵庫県芦屋市伊勢町12-25
電話:0797-38-5432
開館時間:10:00~17:00 ※入館は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、7月21日、8月11日は開館)、7月22日、8月12日
観覧料:一般 900円 / 大学・高校生 500円 / 中学生以下 無料

「戦後80年―戦争とハンセン病」(国立ハンセン病資料館)

展示風景より、「義足」

 東京・東村山の国立ハンセン病資料館で、ギャラリー展「戦後80年―戦争とハンセン病」が8月31日まで開催されている。会場レポートはこちら

 本展では「戦時下の療養所」「日本植民地下の療養所」「沖縄戦」などに関連する資料を展示。さらに、従軍中にハンセン病を発症し、ハンセン病療養所への入所を余儀なくされたハンセン病回復者の経験をたどる。

 本展は戦争をめぐる記憶に触れ、それを継承することによって、人権が尊重され、病いと障がいを理由とした差別が繰り返されない社会の実現を願って企画されている。

会期:2025年7月19日~8月31日
会場:国立ハンセン病資料館1階ギャラリー
住所:東京都東村山市青葉町4-1-13
開館時間:9:30~16:30 ※入場は16:00まで
休館日:月(ただし、月が祝日の場合は開館し、翌平日休館)、年末年始、館内整理日
料金:無料

「未知なる世界と出会う ー英国アール・ブリュット作家の現在(いま)」(東京都渋谷公園通りギャラリー

 東京都渋谷公園通りギャラリーで、アール・ブリュット ゼン&ナウ Vol.4「未知なる世界と出会う ー英国アール・ブリュット作家の現在(いま)」が、8月31日まで開催されている。

 「アール・ブリュット ゼン&ナウ」は、国内外のアール・ブリュットの動向において、長く活躍を続ける作家と、近年発表の場を広げつつある作家を様々な角度から紹介する展覧会シリーズである。4回目となる今回は、英国の作家を取り上げる。1940年代にフランスで提唱された言葉である「アール・ブリュット」は、1970年代にはイギリスで英語訳され「アウトサイダー・アート」という呼称が生まれた。

 本展では、英国を拠点にアール・ブリュット/アウトサイダー・アート分野のキュレーター、プロデューサーやギャラリストとして活躍するジェニファー・ギルバートをゲスト・キュレーターに迎えた。マッジ・ギルやスコッティ・ウィルソンら、長きにわたり知られてきたアーティストから今後の活躍が期待される日本初紹介のアーティストまで、幅広い世代の11名のイギリスのアーティストを紹介している。

会期:2025年6月21日~8月31日
会場:東京都渋谷公園通りギャラリー
住所:東京都渋谷区神南1-19-8 渋谷区立勤労福祉会館1階
電話:03-5422-3151
開館時間:11:00~19:00(8月15日、8月22日、8月29日は〜21:00)
休館日:月(ただし、7月21日、8月11日は開館)、7月22日、8月12日
観覧料:無料

「大正イマジュリィの世界 デザインとイラストレーションの青春 1900s-1930s」(SOMPO美術館

 新宿にあるSOMPO美術館で、印刷技術の革新が進んだ大正時代の独特なデザインやイラストレーションに焦点を当てた「大正イマジュリィの世界 デザインとイラストレーションの青春 1900s-1930s」が8月31日まで開催されている。会場レポートはこちら

 「イマジュリィ」とはフランス語で、ある時代やジャンルに特徴的なイメージ群のこと。1900年代から30年代の日本には、西洋から新しい複製技術が次々に到来し、雑誌や絵葉書、ポスター、写真などに新鮮で魅力的なイメージがあふれた。これらの大衆的複製物は「大正イマジュリィ」と総称され、2004年に学会が結成された。

 その大正イマジュリィ学会の創立会員・役員を務め、近代文学や出版文化の収集・研究を行った山田俊幸が監修した本展。山田の収集品のなかでもとくに大正時代を中心とする約330点が展示されている。

会期:2025年7月12日〜8月31日
会場:SOMPO美術館
住所:東京都新宿区西新宿1-26-1
電話番号:050-5541-8600 
開館時間:10:00〜18:00(金〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで
料金:一般1500円 / 25歳以下 1100円 / 小中高生・障がい者手帳をお持ちの方は無料

「野町和嘉―人間の大地」(世田谷美術館

野町和嘉 カイラス山を巡礼する娘。西チベット 1990 ©Kazuyoshi Nomachi

 世田谷美術館で、企画展「野町和嘉―人間の大地」が8月31日まで開催されている。写真家・野町和嘉は、1972年、25歳の時にサハラ砂漠を訪れ、大きな転機を迎えた。辺境に関する情報が乏しい時代、出会った旅人と地図を分けあうような行程のなかで、野町は蒼穹の下に開けた地平線と、古来より連綿と続く人々の営みに魅せられていく。

 サハラの写真が認められ各国のグラフ誌に掲載されるようになり、野町はさらにエチオピア、チベット、サウジアラビアと、深い信仰が人々の暮らしをかたちづくっている、しかし外部の者が容易には近づくことのできない土地を目指した。旅を続ける野町の写真には、過酷な風土のなかで暮らす人々の息遣いと生き抜く意志が宿っている。その作品群は、デジタル・テクノロジーにより急速度で画一化されつつある現在ではもはや見ることのできない、貴重な人と大地のドキュメントとなっている。

 本展では、「サハラ」「ナイル」「エチオピア」「グレート・リフト・ヴァレー」「チベット」「メッカとメディナ」「アンデス」の7つのテーマで代表作品を紹介し、野町和嘉の50年にわたる活動の足跡をたどる。

会期:2025年7月5日~8月31日
会場:世田谷美術館
住所:東京都世田谷区砧公園1-2
電話:03-3415-6011
開館時間:10:00~18:00 ※入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、7月21日、8月11日は開館)、7月22日、8月12日
観覧料:一般 1400円 / 65歳以上 1200円 / 大学・高校生 800円 / 中学・小学生 500円 / 未就学児 無料

今週開幕

「ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ」(東京都写真美術館

 東京・恵比寿の東京都写真美術館で、総合開館30周年記念「ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ」が開幕した。会期は12月7日まで。会場レポートはこちら。

 ペドロ・コスタは、1959年ポルトガル・リスボン生まれ。リスボン大学で歴史と文学を学び、映画学校では詩人・映画監督アントニオ・レイスに師事する。1989年の長編デビュー作『血』がヴェネチア国際映画祭で注目を集め、その後『骨』(1997)や『ヴァンダの部屋』(2000)で国際的評価を確立。カンヌ国際映画祭や山形国際ドキュメンタリー映画祭など受賞歴多数。ペドロは、2018年にポルトのセラルヴェス美術館で開催された「Companhia(コンパニア)」(ポルトガル語で「寄り添う」および「仲間」の意)展や、2022年から23年にかけてスペイン各地を巡回した「The Song of Pedro Costa」展など、映画だけでなく展覧会という形式においても国際的に高い評価を受けてきた。

 本展は、コスタが10代の頃に出会い深い影響を受けた、スティーヴィー・ワンダーのアルバム『インナーヴィジョンズ(Innervisions)』(1973)と同名のタイトルを掲げている。音楽を通して社会と個人の関係に迫ろうとしたこのアルバムの精神は、コスタの映像制作の方法論とも深く響きあっている。今回の展示では、ポルトガルで暮らすアフリカ系移民の歴史を照らし出した『ホース・マネー』(2014)など、コスタ作品において重要な役割を担う、ヴェントゥーラをはじめとする登場人物たちや、彼らが生きる場所に関わる映像作品に加え、東京都写真美術館のコレクションも紹介。コスタの映像表現とその背景にある歴史的・社会的文脈に触れることで「インナーヴィジョンズ」という主題を考察していく。

会期:2025年8月28日~12月7日
会場:東京都写真美術館
住所:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
電話:03-3280-0099
開館時間:10:00~18:00(木金〜20:00) (8月28日〜9月26日の木金は〜21:00) ※入館は閉館30分前まで
休館日:月(祝休日の場合は翌平日)
観覧料:一般 800円 / 学生 640円 / 高校生・65歳以上 400円 / 中学生以下 無料

アレックス・カッツ「Four Seasons」(SCAI PIRAMIDE)

アレックス・カッツ Summer 17 2023 麻に油彩 121.9 × 182.9 cm Alex Katz is represented by GRAY Chicago/New York

 東京・六本木のSCAI PIRAMIDEで、今年98歳を迎えるペインター、アレックス・カッツの個展「Four Seasons」が開催される。会期は8月29日〜10月18日。

 アレックス・カッツは、1927年ニューヨーク・ブルックリン出身。54年に作品を発表し始め、以来、絵画、ドローイング、彫刻、版画など、様々な作品を生み出してきた。初期の作品は、テレビ、映画、広告など、ミッドセンチュリー期のアメリカの文化や社会の様々な側面からインスピレーションを得ており、過去半世紀において、確固たる画家としての地位を確立した。特徴的なストローク、多様な色彩、洗練された構図を駆使し、抽象と具象の両方の側面を併せ持つ、独特なリアリズムを生み出している。

 カッツが2022年に始めた最新シリーズ「 Seasons」は、四季の移ろいを即興的な手法でとらえ、iPhoneで撮影したスナップショットと簡単なスケッチから、広いキャンバスへと変換されるもの。東京で90年代以来の公式個展である本展では、同シリーズより、春夏秋冬の四季を描いた作品を展示。特有の色彩とストローク、リアリズムを見ることができそうだ。

会期:2025年8月29日〜10月18日
会場:SCAI PIRAMIDE
住所:東京都港区六本木6-6-9
電話番号:03-6447-4817
開館時間:12:00〜18:00
休館日:日、月、火、水、祝日
料金:無料

「sakamotocommon OSAKA 1970/2025/大阪/坂本龍一」(VS.(ヴイエス)

 うめきた・グラングリーン大阪にある文化装置「VS.(ヴイエス)」で、坂本龍一の大阪初となる企画展「sakamotocommon OSAKA 1970/2025/大阪/坂本龍一」が開催される。

 本展のテーマは「1970年の坂本龍一」。坂本は2016年以降、1970年の大阪万博で展示されたバシェの音響彫刻を演奏・録音する機会を得て、その音を自身の作品に取り入れている。本プロジェクトでは、1970年の大阪万博のために制作されたバシェの音響彫刻を展示するほか、東京藝術大学のバシェ修復プロジェクトチームが坂本のために制作した新たな音響彫刻の展示も紹介。

 また坂本の演奏データを愛用のグランドピアノで再生するプログラムや、東京都現代美術館でも展示された坂本龍一 + 高谷史郎《LIFEーfluid, invisible, inaudible...》や坂本龍一 + Zakkubalan《async–volume》、坂本龍一 + アピチャッポン・ウィーラセタクン《async–first light》なども展示される。

会期:2025年8月30日~9月27日
会場:VS.(ヴイエス)
住所:大阪府大阪市北区大深町6-86
開館時間:10:00~20:00 ※入場は19:30まで
休館日:会期中無休
観覧料(事前オンライン予約制):一般 2200円 / 18歳以下 1100円 / 大学生・専門学校生 1800円 / 未就学児無料

「蔦屋重三郎と版元列伝」(太田記念美術館

 東京・原宿の太田記念美術館で「蔦屋重三郎と版元列伝」が開催される。会期は8月30日から11月3日。

 江戸時代、浮世絵師や職人たちを統括し、企画や制作、販売を指揮したのが版元であった。とりわけ蔦屋重三郎(蔦重)は、その才覚で喜多川歌麿や東洲斎写楽をプロデュースし、浮世絵の黄金時代を演出するなど、浮世絵史においても大きな役割を果たした。蔦重が2025年のNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の主役となり江戸時代の出版界が注目を集めるいま、浮世絵専門館である太田記念美術館は、版元という視点から浮世絵を紹介する展覧会が開催。

 本展で注目するのは、蔦重にとどまらず、浮世絵草創期から明治時代にいたる約230年のあいだに活躍した12の版元たち。彼らの企画力や出版戦略により、浮世絵がいかに発展してきたのかを選りすぐりの作品とともに見ることができる。版元の眼差しを通して浮世絵の歴史を振り返る展示は、同館ならではの企画となる。名品の背景にある版元と絵師たちの人間ドラマにも触れてみてほしい。

会期:[前期]2025年8月30日~9月28日、[後期]2025年10月3日~11月3日
会場:太田記念美術館
住所:東京都渋谷区神宮前1-10-10
電話:050-5541-8600
開館時間:10:30~17:30 ※入館は閉館30分前まで
休館日:9月1日、9月8日、9月16日、9月22日、9月29日〜10月2日、10月6日、10月14日、10月20日、10月27日
観覧料:一般 1200円 / 大学・高校生 800円 / 中学生(15歳)以下 無料

「髙田安規子・政子 Perspectives この世界の捉え方」(資生堂ギャラリー

展示風景より、《Relation of the parts to the whole》(2025) 写真提供=資生堂ギャラリー

 東京・銀座の資生堂ギャラリーで「髙田安規子・政子 Perspectives この世界の捉え方」が開幕した。会期は12月7日まで。会場レポートはこちら

 髙田安規子・政子は、一卵性双子のユニットで活動するアーティストである。身近な素材を用い、空間や時間の「スケール(尺度)」をテーマに制作してきた。作品は、数学や物理学的アイデアを背景に細かな手仕事や緻密な構成で生み出され、アートと科学を融合させた独自の感性により表現される。また、展示する場所をリサーチし、その特性を生かした展示を行なっている。

 2人は2024年、資生堂の文化施設である資生堂企業資料館、資生堂アートハウスの両施設(静岡県掛川市)を訪れ、資生堂の社名の由来である易経(えききょう)の一節「至哉坤元 万物資生(いたれるかなこんげん ばんぶつとりてしょうず)」(大地の徳はなんと素晴らしいものであろうか。すべてのものは、ここから生まれる)に出会った。自分たちの自然観と重なり合うことから、本展では、「万物資生」の考えを起点に、生命やその成り立ち、進化の歴史を時間の層として描き出しながら、自然の法則で宇宙までつながる時空間を、スケールとともに巨視的・微視的にとらえ可視化することを試みる。

会期:2025年8月26日~12月7日
会場:資生堂ギャラリー
住所:東京都中央区銀座 8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
電話番号:03-3572-390 
開館時間:11:00~19:00(日祝〜18:00) 
休館日:月(祝日にあたる場合も休館)
料金:無料

「表現者は街に潜伏している そして、ショッピングセンターは街そのものである」(パープルームギャラリー ダイエー海老名店

展示風景より

 神奈川・相模原を拠点に活動していた、アーティスト・梅津庸一が主催する共同体・パープルームが、8月25日に神奈川・海老名のダイエー海老名店にギャラリーをテナント出店した。そのこけら落としとなる展覧会が「表現者は街に潜伏している そして、ショッピングセンターは街そのものである」だ。会場レポートはこちら

 出展作家は兼田なか、續橋仁子、百頭たけし、平山昌尚、だつお、星川あさこ、藤江愛、林康夫、上田勇児、伊藤昭人、中ザワヒデキ、梅沢和木、梅沢和雄、浦川大志、二艘木洋行、福士千裕、qp、ジェイソン・トンプソン、西村有未、影島晋平、俵萌子、たんぱく質、金中高貴、ユ、六萠、西島大介、桑原正彦、新関創之介、佐藤遥加、笹原郁斗 ex.、スカちゃん、ユササビ、卜部鈴木、オイリさん、高島周造、アラン、吉田十七歳、シエニーチュアン、わきもとさき、智輝、あま、田辺賢都、梅津庸一、安藤裕美。

 店長を務める梅津は、オープンに際して次のようにコメントしている。「日々の暮らしと美術が文字通り地続きであることを体現したい。それこそ『海老名になんか変なお店ができたね』と言ってもらえるよう、ここダイエー海老名店で地道に活動していきたいと思います」(プレスリリースより)。

会期:2025年8月25日~9月28日
会場:パープルームギャラリー ダイエー海老名店
住所:神奈川県海老名市中央3-2-5
開館時間:12:00~20:00 
休館日:月、火(8月25日、8月26日は開館) 
料金:無料