蓮井幹生の個展「十七の海の肖像」が開催へ。日本国内の原発をすべて訪れ撮影した海景を公開
YUGEN Galleryで、写真家・蓮井幹生の個展「十七の海の肖像」が開催される。会期は6月7日〜23日。

東京・南青山のYUGEN Galleryで、写真家・蓮井幹生の個展「十七の海の肖像」が開催される。会期は6月7日〜23日。
蓮井は1955年東京都生まれ。1984年から独学で写真を始め、88年の個展を機にアートディレクターから写真家へ転向。新潮社の雑誌『03』を始めとするカルチャー系エディトリアルシーンで著名人のポートレイト作品を発表し注目を集める。90年代から撮影が続く『PEACE LAND』は作家の世界観の中核を成す作品群であり、作品集の出版を通して継続的な発表が行われ、2009年にフランス国立図書館へ収蔵される。現在は、長野県茅野市を拠点に作品制作を行う。
2023年末から25年の約1年半、建設中の青森県大間原発を除く日本国内の原子力発電所をすべて訪れたという蓮井。会場では、そこで撮影された海景作品17点が本邦初公開される。
海に立地する原発は画面外に置かれ、写真には写っていない。また、作品はフィルムで撮影したものをスキャンし、人間の気配が感じられるものすべてを画像処理によって消失させている。こうした作為性に「果たして写真といえるのか」と葛藤もあったという蓮井は、これらに込めた思いを次のように語っている。
「どんなに時代が進んでも海は変わらず、いつだって美しい。でも、海はすでに目に見えないリスクをはらんでいて、一線を越えてしまったと感じる。(リスクを)生み出しているのは人間。写真としてのあるべき姿を壊してでも、人間がいない架空の世界の海を表現してみたいと思った」
(プレスリリースより引用)
なお、会期中の6月8日、14日、15日、21日、22日にはギャラリートークも予定されているため、ぜひあわせて参加してみてほしい。