2025.4.18

今週末に見たい展覧会ベスト10。猪熊弦一郎博覧会から瀬戸内国際芸術祭、「超 国宝」展まで

今週閉幕する/開幕した展覧会のなかから、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。なお、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

「LOVEファッション―私を着がえるとき」展の展示風景より、コム デ ギャルソンの2020春夏のコレクション
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今週開幕

「猪熊弦一郎博覧会」(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館

展示風景より

 香川・丸亀の丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)で、企画展「猪熊弦一郎博覧会」が4月12日から開催されている。

 画家として知られる猪熊弦一郎(1902~1993)は、著名なアーティストや建築家、デザイナーなどの重要人物と関わりを持ち、自身の絵画世界に止まらない様々な仕事を手がけた。本展は、そういった猪熊の絵画以外の活動を取り上げながらその足跡をたどるものだ。

 会場は「プロローグ 新制作派協会設立」「1章 生活造型/建築」「2章 生活造型/デザイン、パブリックアート」「3章 ニューヨークへ」「4章 『アート県かがわ』の礎」「5章 MIMOCA」「エピローグ MoMA」の構成。猪熊の多面的な活動を知る貴重な機会をお見逃しなく。

会期:2025年4月12日~7月6日
会場:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 3階展示室C
住所:香川県丸亀市浜町80-1
開館時間:10:00~18:00 ※入館は17:30まで
休館日:月(ただし、5月5日は開館)、5月7日
料金:[企画展]一般 1500円 / 大学生 1000円、[常設展]一般 300円 / 大学生 200円

「WHO ARE WE, WHERE ARE WE GOING? 〜どうぶつ展 わたしたちはだれ? どこへむかうの?〜」(PLAY! MUSEUM

展示風景より、「WHO ARE WE 観察と発見の生物学」

 東京・立川のPLAY! MUSEUMで、国立科学博物館とコラボレーションした展覧会「WHO ARE WE, WHERE ARE WE GOING? 〜どうぶつ展 わたしたちはだれ? どこへむかうの?〜」が4⽉16⽇に開幕した。レポート記事はこちら

 本展はPLAY! MUSEUMと国⽴科学博物館の初のコラボレーション企画。国⽴科学博物館の巡回展「WHO ARE WE 観察と発⾒の⽣物学」を展⽰するとともに、哺乳類や⼈間を知る体験型のインスタレーションを展開している。

 展覧会は、世界屈指の動物標本コレクションとして知られる「ヨシモトコレクション」を中⼼に、貴重な標本の数々より選び抜いて制作。「観察の眼、発⾒の芽」をテーマに、哺乳類の持つ特有の⽣態や特徴を「ちがいの整列」「はえている道具」「かもしれない模様」といった11のテーマを通じて展示。哺乳類の多様性やヒトとの異同を知ることができるだろう。

会期:2025年4⽉16⽇〜7⽉6⽇
会場:PLAY! MUSEUM
住所:東京都⽴川市緑町3-1 GREEN SPRINGS W3棟 2F
電話番号:042-518-9625
開館時間:10:00〜17:00(⼟⽇祝〜18:00)※⼊場は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
料金:⼀般 1800円 / ⼤学⽣ 1200円 / ⾼校⽣ 1000円 / 中・⼩学⽣ 600円(立川市民は⼀般 1200円 / ⼤学⽣700円 / ⾼校⽣ 600円 / 中・⼩学⽣400円)

「LOVEファッション―私を着がえるとき」展(東京オペラシティ アートギャラリー

展示風景より、左がロエベ(ジョナサン・アンダーソン)2022秋冬のドレス、右がノワール・ケイ・ニノミヤ(二宮啓)2023秋冬のドレス

 昨年、京都国立近代美術館開催された「LOVE ファッション 私を着がえるとき」展が、東京・初台の東京オペラシティ アートギャラリーに巡回、開幕した。レポート記事はこちら

 本展は、18世紀から現代までの衣装コレクションを、人間あるいは生物の根源的な欲望や本能を映し出すアート作品とともに展示することで、装いにみられる様々な「LOVE」のかたちを取り上げる試みだ。

 展覧会は全5章構成。京都服飾文化研究財団(KCI)の豊かなコレクションより選ばれた、18世紀から現代までの衣服74点と装飾品15点を中心に、笠原恵実子、澤田知子、シルヴィ・フルーリー、原田裕規、横山奈美らによる現代美術作品約40点を加えた約130点の作品が展示されている。

会期:2025年4月16日〜6月22日
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティビル3F
電話番号:03-5353-0756
開館時間:11:00〜19:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(4月28日、5月5日は開館)、5月7日
料金:一般 1600円 / 大学・高校生 1000円 / 中学生以下無料  

「第18回shiseido art egg」展第2期(資生堂ギャラリー

展示風景より

 東京・銀座の資生堂ギャラリーで「第18回 shiseido art egg」展が3期にわたって開催中。その第2期となるすずえりの個展「Any girl can be glamorous」が4月16日にスタートした。レポート記事はこちら

 すずえりは、ピアノや自作の電子回路などを連動させた装置を用いてインスタレーションや即興演奏を手がけ、音やそれを媒介する通信技術の表象に物語性を見出そうとする作家だ。同展では、Wi-FiやGPSといった現代の通信技術の基礎を生み出した発明家でハリウッド女優のヘディ・ラマー(1914〜2000)の生涯にフォーカス。「通信」というテーマを通じて、社会の在り方や女性の生き方について考えるものとなる。 

 展示空間は「ヘディ・ラマーの人生の部屋」と「ヘディ・ラマーの発明の部屋」の大きく2つに分かれている。メインスペースで展開される「ヘディ・ラマーの人生の部屋」には、高い天井空間を生かして数多くの電球が吊り下げられており、上階にはトイピアノや、吹き抜けの壁面にラマーの詩による《逆説の十戒》などが設置。すずえりとへディ・ラマーの時代を超えたセッションが展開されている。

会期:[第1期展 大東忍]2025年3月5日~4月6日(終了) /[第2期展 すずえり]4月16日~5月18日 /[第3期展 平田 尚也]5月28日~6月29日
会場:資生堂ギャラリー
住所:東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
開館時間:11:00~19:00(日祝〜18:00) 
休館日:月(月が祝祭日にあたる場合も休館)
料金:無料

「SATELLITES」(プラダ 青山店)

展示風景より

 デンマークの映画監督ニコラス・ウィンディング・レフンと日本のゲームクリエイター小島秀夫が考案した展覧会「Satellites」が、プラダ 青山店で開幕した。

 国際的な批評家からも高く評価されているニコラス・ウィンディング・レフンと、世界的に著名なゲームクリエイター・映像作家である小島秀夫。この両者が出会うこのプロジェクトは、プラダ財団の支援を受け、クリエイティブスタジオ byNWRによって構想されたもので、ふたりによる新たなコラボレーション作品《Satellites》が会場で展示される。

 同作は、存在と不在、物質と非物質、アナログとデジタルが探求の軸となり、来場者は展覧会そのものを体験するために、この探求のプロセスに参加することを求められるという。 

会期:2025年4月18日〜8月25日
会場:プラダ青山店 5階
住所:東京都港区南青山5-2-6
開館時間:プラダ青山店に準ずる
休館日:プラダ青山店に準ずる
料金:無料

「デザインあ展neo」(TOKYO NODE)

展示風景より

 TOKYO NODEで「デザインあ展neo」が4月18日に始まる。本展は、NHK Eテレで放送中の番組「デザインあneo」のコンセプトを、体験の場に展開する展覧会だ。「デザインあ展」は、これまで2013年に21_21 DESIGN SIGHTで、2018年~2021年には日本科学未来館富山県美術館など全国6つの美術館で開催されてきた。

 3回目となる「デザインあ展neo」では、作品を新たに制作し、子供たちにデザインについて様々な思考・発見を楽しんでもらう展示が行われる。「みる(観察)」「かんがえる(考察)」「つくる・あそぶ(体験)」のステップでデザインを体感していく作品や、360度のスクリーンに囲まれて映像と音楽を身体で感じる作品など、「あ展」ならではの作品群をパワーアップして展開していく。

会期:2025年4月18日~9月23日
会場:TOKYO NODE
住所:東京都港区虎ノ門2-6-2 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー45階
電話番号:03-6433-8200(10:00~18:00)
開館時間:10:00~19:00(ただし4月23日および各月第一 ・ 第三水曜日は〜17:00、9月17日は〜19:00) ※入場は閉館の30分前まで
料金:一般 2500円 / 高校生 ・ 中学生 1200円 / 小学生 1000円 / 2歳以上 500円

「瀬戸内国際芸術祭2025」(直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島ほか)

展示風景より

 瀬戸内海の直島をはじめとする複数会場で展開される「瀬戸内国際芸術祭」。その第6回となる「瀬戸内国際芸術祭2025」が4月18日からスタートする。

 今年の芸術祭、これまで同様、春(4月18日〜5月25日)・夏(8月1日〜8月31日)・秋(10月3日〜11月9日)の3会期(計107日間)にわけて開催。直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島、高松港、宇野港に加え、春会期に瀬戸大橋、夏会期に志度・津田、引田、秋会期に本島、高見島、粟島、伊吹島、宇多津を合わせた計17のエリアが会場となる。なお、宇多津エリア、志度・津田エリア、引田エリアは新たに加わるエリアとなり、また直島では今春開館の直島新美術館も会場となる。

 参加アーティストには、「ヴェネチア・ビエンナーレ2024」の金獅子賞を受賞したサラ・ハドソン(ニュージーランド)や、消費社会を照射するヤコブ・ダルグレン(スウェーデン)、月のオブジェを各土地で撮影するレオニート・チシコフ&マリーナ・モスクヴィナ(ロシア)らが含まれている。なお、今回は広域連携事業「瀬戸芸美術館連携プロジェクト」として、会期中に地域の8つの美術館での連携プロジェクトも開催される予定となっている。

春会期:4月18日〜5月25日
夏会期:8月1日〜8月31日
秋会期:10月3日〜11月9日
会場:直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島、高松港、宇野港、瀬戸大橋、志度・津田、引田、本島、高見島、粟島、伊吹島、宇多津
住所:香川県香川県高松市サンポート1-1-3F(高松港)
電話:087-813-2244(瀬戸内国際芸術祭総合案内所)
開館時間:会場によって異なる
休館日:会場によって異なる
観覧料:
3シーズンパスポート 一般 5500円 / 16〜18歳 2500円(要身分証) / 15歳以下 無料
1シーズン(春・夏・秋)パスポート 一般 4500円

「石田尚志 絵と窓の間」(アーツ前橋 ギャラリー)

石田尚志 絵と窓の間 2018 © Ishida Takashi

 アーツ前橋 ギャラリーで、企画展「石田尚志 絵と窓の間」が4月19日から行われる。

 石田尚志は、自らが描く絵画を連続的に撮影する手法で制作した映像作品により1990年代から国内外で評価されてきた。時間芸術への窓ともいえる「映像」、その画面には、生成と変容を続ける絵画、場の光や闇がもたらす空間の質的な変化、そして画家の思考の軌跡が残されている。映像と空間、あるいは立体造形とともに構成されるインスタレーションへの展開を経て、近年の石田は10代以来となるキャンバスに絵筆を走らせ、空間と時間を"静止した平面"に描き表すことに再び取り組んでいる。

 2015年以来の大規模な個展となる本展では、代表作と新作を中心に、初公開の作品も含め約80点の作品を紹介し、石田尚志の仕事を再考する。

会期:2025年4月19日〜6月22日
会場:アーツ前橋 ギャラリー
住所:群馬県前橋市千代田町5-1-16
電話番号:027-230-1144
開館時間:10:00~18:00 ※最終入場は17:30まで
休館日:水
料金:一般 800円 / 学生・65歳以上・団体(10名以上) 600円 / 高校生以下無料

「超 国宝-祈りのかがやき-」(奈良国立博物館

国宝 菩薩半跏像(伝如意輪観音) 飛鳥時代・7世紀 奈良・中宮寺
展示期間:5月20日~6月15日

 2025年をもって130周年を迎える奈良国立博物館。これを記念して同館にとって初めての大規模な国宝展「奈良国立博物館開館130年記念特別展 超 国宝-祈りのかがやき-」が4月19日にスタートする。 

 神仏にまつわる祈りの造形にはそれらを生み出し、守り伝えてきた先人たちの深い思いが込められている。なかでも「国宝」は日本の歴史・文化を代表する国民の宝として広く知られている。「超 国宝」という言葉には、そうしたとびきり優れた宝という意味とともに、時代を超え先人たちから伝えられた祈りやこの国の文化を継承する人々の心もまた、かけがえのない宝であるという思いが込められている。

 この特別展では、奈良博や奈良の歴史に関わりの深い国宝を中心に、未来の国宝ともいうべき重要作品など、日本が世界に誇る名品の数々を紹介。国宝約110件、重要文化財約20件を含む約140件の仏教・神道美術を展示する。

会期:[前期]2025年4月19日~5月18日、[後期]2025年5月20日~6月15日
会場:奈良国立博物館
住所:奈良県奈良市登大路町50番地(奈良公園内)
電話番号:050-5542-8600(ハローダイヤル)
開館時間:09:30~17:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月、5月7日(4月28日、5月5日は開館)
料金:一般 2200円 / 高大生 1500円 / 中学生以下 無料

「日本、美のるつぼ―異文化交流の軌跡―」(京都国立博物館 平成知新館

富嶽三十六景 神奈川沖浪裏 葛飾北斎画 江戸時代 1831頃 山口県立萩美術館・浦上記念館所蔵
前期展示 ※後期は和泉市久保惣記念美術館所蔵品を展示

 京都国立博物館で、大阪・関西万博開催記念 特別展「日本、美のるつぼ―異文化交流の軌跡―」が4月19日から開催される。

 古くから、日本列島では海を介した往来によって異文化がもたらされ、その出会いのなかで様々な美術品がつくり出されてきた。その作品の一つひとつが、豊かな交流の果実であり、いうなれば日本という「るつぼ」のなかで多様な文化が溶けあって生まれたと言える。

 本展は、弥生・古墳時代から明治期までの絵画、彫刻、書跡、工芸品など、国宝18件、重要文化財53件を含む約200件の文化財を厳選し、日本美術に秘められた異文化交流の軌跡をたどる。日本美術の多様性に出会う機会をお見逃しなく。

会期:2025年4月19日~6月15日
会場:京都国立博物館 平成知新館
住所:京都府京都市東山区茶屋町527
電話番号:075-525-2473(テレホンサービス)
開館時間:09:00~17:30(金~20:00) ※入館は各閉館時間の30分前まで
休館日:月、5月7日(5月5日は開館)
料金:一般 2000円 / 大学生 1200円 / 高校生 700円 / 中学生以下 無料