2026.4.1

4月にみたい展覧会ベスト25

2026年4月に開幕する展覧会のなかから、とくに注目したいものを編集部がピックアップしてお届けする。

「ロン・ミュエク」(森美術館、4月29日〜9月23日)で展示予定のロン・ミュエク《マスクⅡ》(2002) 個人蔵(ロンドン) 韓国国立現代美術館ソウル館での展示風景(2025)
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「葛飾北斎・渓斎英泉 艶くらべ ー歌舞伎町花盛りー 新宿歌舞伎町春画展WA」(新宿歌舞伎町能舞台、BOND)

 新宿歌舞伎町能舞台およびBONDで「葛飾北斎・渓斎英泉 艶くらべ ー歌舞伎町花盛りー 新宿歌舞伎町春画展WA」が開催される。

 本展は、浮世絵師の葛飾北斎(1760〜1849)と、その画風を慕いながら独自の美意識を切り拓いた渓斎英泉(1791〜1848)に焦点をあてた企画。浦上蒼穹堂代表・浦上満のコレクションより、約100点の名品を公開する。

 北斎・英泉の春画を軸に、その系譜を受け継ぐ絵師たちの作品もあわせて紹介。また北斎の春画の名品《喜能会之故真通》より《蛸と海女》が期間限定で特別公開される。

会期:2026年4月4日~5月31日
会場:新宿歌舞伎町能舞台、BOND
住所:東京都新宿区歌舞伎町2-9-18 ライオンズプラザ新宿2F/新宿区歌舞伎町1-2-15 歌舞伎町ソシアルビル9F
開館時間:11:00~19:00(金土は〜21:00、5月31日は〜17:00) ※18歳未満入場不可 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
観覧料:一般 2200円 / 学生 1500円

「櫃田伸也-通り過ぎた風景」(豊田市美術館

櫃田伸也「罪なき理性」(KAYOKOYUKI、2019) courtesy of KAYOKOYUKI [photo: OKANO KEI] ©Hitsuda Nobuya,2026

 愛知県豊田市豊田市美術館で「櫃田伸也-通り過ぎた風景」が開催される。会期は4月4日~6月21日。

 櫃田伸也は1941年東京生まれ。75年に愛知県立芸術大学へ赴任し、長く教育にも携わった。西洋絵画の技法にやまと絵や山水画などの東洋的エッセンスを取り入れた独自の絵画を「通り過ぎた風景」と呼び、継続して制作を行っている。

 本展は、60年代から最新作まで約120点の作品に初出の資料を交えた、櫃田にとって過去最大の回顧展となる。展示はふたつのセクションで構成され、いっぽうでは制作の手がかりとなった資料とともに手法を紹介し、もういっぽうでは60年代以降の作品を時代順に展示。また、NHK美術部に勤務していた時期の図面など、60年代から70年代の資料もあわせて公開される。

会期:2026年4月4日~6月21日
会場:豊田市美術館
住所:愛知県豊田市小坂本町8-5-1
開館時間:10:00~17:30  ※入場は閉館30分前まで
休館日:月(5月4日は開館)
料金:一般 1300円 / 高校・大学生 900円 / 中学生以下無料

「美を味わう―懐石のうつわと茶の湯」(静嘉堂文庫美術館、4月7日〜6月14日)

大名物 唐物茄子茶入 付藻茄子 13~14世紀 静嘉堂文庫美術館蔵

 東京・丸の内の静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)で「懐石」をテーマとした企画展「美を味わう―懐石のうつわと茶の湯」が開催される。

 懐石とは、正式な茶会である茶事の中で、抹茶を喫する前に出される、もてなしの料理だ。本展では、塗物、向付、鉢など静嘉堂所蔵の懐石の器を一堂に展示。茶道具の優品と併せ、茶事を演出する器の趣おもむき、洗練されたデザインを楽しむことができる。

会期:2026年4月7日~6月14日
会場:静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)
住所:東京都千代田区丸の内2-1−1 明治生命館1階
電話:050-5541-8600
開館時間:10:00~17:00(第4水曜日の4月22日、5月27日は〜20:00、6月12日、13日は〜19:00) (入館は閉館30分前まで)
休館日:月、5月7日(ただし 5月4日は開館)
観覧料:一般 1500円 / 大高生 1000円 / 中学生以下 無料

「熊本城 ―守り継がれた名城400年の軌跡―」(永青文庫、4月11日〜6月7日)

赤星閑意 熊本城之図 19世紀 永青文庫蔵(熊本大学附属図書館寄託)

 東京・目白台の永青文庫で「熊本城―守り継がれた名城400年の軌跡―」が開催される。

 永青文庫は、肥後熊本54万石を治めた大名細川家に伝来する美術工芸品や歴史資料などを保存・展示している美術館。2016年の熊本地震から10年を迎える時期にあわせ、2025年に重要文化財に追加指定された「細川家文書」やゆかりの美術工芸品を通じ、細川家の視点から熊本城の歴史をたどる。

 本展では、加藤清正による築城から、細川家が居城とした約240年間の記録、さらに西南戦争に関する近代細川家文書などを展示。クラウドファンディングによる支援で修理された初代藩主・細川忠利と二代藩主・細川光尚の甲冑2領を修理後初めて公開するほか、熊本城の本丸御殿を飾った可能性がある《老松牡丹図屏風》や、加藤清正所用と伝わる工芸品なども紹介する。また、熊本城調査研究センターの協力により、熊本地震からのこの10年間の復旧状況についてもあわせて紹介する。

会期:2026年4月11日~6月7日
会場:永青文庫
住所:東京都文京区目白台1-1-1
電話:03-3941-0850
開館時間:10:00~16:30(※入館は閉館の30分前まで)
休館日:月、5月7日(ただし5月4日は開館)
観覧料:一般 1000円 / シニア(70歳以上) 800円 / 大学・高校生 500円 / 中学生以下 無料

「ジョルジュ・ルオー アトリエの記憶」(パナソニック汐留美術館、4月11日〜6月21日)

 東京・汐留のパナソニック汐留美術館で、同館のルオーコレクションを紹介する展覧会で開館以来、20世紀のフランスを代表する画家ジョルジュ・ルオーの作品を中心に収集し、現在では約270点のルオー作品を所蔵している。

 本展は、近年新たに迎えた新収蔵作品を中心に、当館のルオーコレクションを紹介する展覧会です。ルオー作品が生まれた場である「アトリエ」に焦点を当て、作品がどのような環境で、どのような画材を用いて描かれたのか、初期から晩年までの代表作とともにたどる。

 また、展示スペースの一角にルオーが晩年、自身最後のアトリエで実際に使用していた画材道具や机などを用いて、アトリエの一部再現を試みる。身近な家族でさえも立ち入りを制限されている聖域であった画家のアトリエの記憶を作品とともに紐解く。

会期:2026年4月11日~6月21日
会場:パナソニック汐留美術館
住所:東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4階
電話:050-5541-8600
開館時間:10:00~18:00(5月1日、6月5日、6月19日、6月20日は〜20:00)(※入館は閉館の30分前まで)
休館日:水(ただし4月29日、5月6日、6月17日は開館)
観覧料:一般 1200円 / 65歳以上 1100円 / 大学生・高校生 700円 / 中学生以下 無料

「ウジェーヌ・ブーダン展」(SOMPO美術館、4月11日〜6月21日)

ウジェーヌ・ブーダン ベルク、出航 1890 ランス美術館 ©C. DEVLEESCHAUWER

 東京・新宿のSOMPO美術館で「印象派の先駆者」と呼ばれる画家ウジェーヌ・ブーダン(1824〜98)の、日本では約30年ぶりとなる展覧会が開催される。

 ブーダンは空や雲、海景、牛の群れなどをみずみずしい色彩と軽快な筆致で描き出したその作品は、故郷ノルマンディーをはじめとする各地の光と大気をとらえ、戸外制作を重視する態度は印象派の登場を準備した。人物や建築モチーフなどにも焦点を当てつつ、近代風景画の発展に大きく寄与したブーダンの魅力を新たな視点で問い直す。

 なお、本展は山梨県立美術館(9月12日〜11月3日)に巡回する。

会期:2026年4月11日〜6月21日
会場:SOMPO美術館
住所:東京都新宿区西新宿1-26-1
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00〜18:00(金〜20:00)※入場は閉館の30分前まで
休館日:月、5月7日(ただし5月4日は開館)
料金:一般(26歳以上)[事前購入券]1800円[当日券]2000円  / 25歳以下[事前購入券]1100円[当日券]1200円 / 高校生以下無料

「建物公開2026 アニマルズ in 朝香宮邸」(東京都庭園美術館

東京都庭園美術館 本館 大客室

 東京・白金台の東京都庭園美術館で、毎年恒例の建物公開展として「建物公開2026 アニマルズ in 朝香宮邸」が開催される。

 東京都庭園美術館の建築は、当時のフランスで流行したアール・デコ様式の精華をいまに伝える重要文化財だ。その華麗な装飾のなかには、多くの動物たちが潜んでいる。

 本展では、建物の室内装飾に表現された「動物」のモチーフに注目。鳥や魚、ライオンなど、当時のデザイナーたちがどのように動物をデザインとして取り入れ、モダンな空間を彩ったのか。その造形美とともに、朝香宮邸という建築の細部をじっくりと観察する機会となるだろう。

会期:2026年4月11日〜6月14日
会場:東京都庭園美術館
住所:東京都港区白金台5–21–9
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00~18:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(5月4日は開館)、5月7日
料金:一般 1000円 / 大学・専門学校生 800円 / 高校生および65歳以上 500円 ※日時指定予約制

北斎館50周年記念特別展「北斎VS 福⽥美蘭 ⼩布施へのメッセージ」(北斎館

 長野県小布施町の北斎館で、北斎館50周年記念特別展「北斎VS 福⽥美蘭 ⼩布施へのメッセージ」が開催される。

 福田美蘭は1963年東京都生まれのアーティスト。87年、東京芸術大学大学院美術研究科を修了した。89年安井賞、94年VOCA賞、2013年芸術選奨文部科学大臣賞などを受賞。現代における美術に対して洞察の目を向ける作品を制作している。

 本展では、現代アーティストの福田美蘭が北斎館の所蔵作品をモチーフに制作した新作を公開する。「冨嶽三十六景」シリーズをはじめ、北斎が小布施町で描いた晩年の「上町祭屋台天井絵男浪・女浪」、岩松院天井絵鳳凰図などを題材とした作品を展示。福田美蘭独自の解釈と表現による北斎アート作品を紹介する。

会期:2026年4月11日~6月7日
会場:北斎館
住所:長野県上高井郡小布施町大字小布施485
電話:026-247-5206
開館時間:9:00~17:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日:会期中無休
観覧料:大人 1500円 / 高校生・大学生 700円 / 小中学生 500円

特別展「小泉八雲―怪談とフォークロリストのまなざし―」(大阪歴史博物館、2026年4月11日〜6月8日)

 大阪・大手町の大阪歴史博物館の6階特別展示室で、特別展「小泉八雲―怪談とフォークロリストのまなざし―」を開催される。

 『怪談』に代表される幻想的な作品を生み出した作家・小泉八雲は、日本を「小さな妖精の国」や「神々の国」と表現し、異邦人としてその文化を見つめ続けた。八雲の作品には、怪異譚や民間信仰、自然観にもとづくものが少なくなく、それは、八雲がフォークロリスト(民俗学者)としての視点も持ち合わせていたためだと考える根拠となる。

 本展では、八雲が、自身の目と耳をとおして触れた日本の民俗・文化の魅力やその豊かさを、数々の作品から読み解く。

会期:2026年4月11日~6月8日
会場:大阪歴史博物館住所大阪府大阪市中央区大手前4-1-32
開館時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日:火(ただし、5月5日は開館)
観覧料:一般 1600円 / 大人高校生・大学生 1000円

前田育徳会創立百周年記念 特別展「百万石!加賀前田家」(東京国立博物館 平成館、4月14日〜6月7日)

 東京・上野の東京国立博物館 平成館で、加賀前田家を特集した展覧会、特別展「百万石!加賀前田家」が開催される。会期は4月14日〜6月7日。

 初代・前田利家は北陸に領地を得て以来、金沢を本拠に、江戸時代を通じて加賀・越中・能登の三か国、百万石以上の規模を誇る大名家として、明治維新に至るまで領国統治を行った。近代に入って東京に本拠を移し侯爵となった後も、前田家伝来の文化財の保全に努め、16代・利為としなりは、大正15年(1926)に育徳財団(現在の前田育徳会)を設立している。

 今年、前田育徳会は創立百周年を迎える。本展はこれを記念し、加賀前田家歴代当主の事績を振り返るとともに、旧蔵品を含めた「加賀前田家伝来」文化財の全貌を紹介するものとなる。

会期:2026年4月14日~6月7日
会場:東京国立博物館 平成館
住所:東京都台東区上野公園13-9
電話:050-5541-8600
開館時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月(ただし、4月27日、5月4日は開館)
観覧料:一般 2300円 / 大学生 1300円 / 高校生 900円

「生誕100年 森英恵 ヴァイタル・タイプ」(国立新美術館、4月15日~7月6日)

「生誕100年 森英恵 ヴァイタル・タイプ」(島根県立石見美術館)展示風景 撮影=小川真輝

 アジア人で初めてパリ・オートクチュール正会員となり、日本のファッションを牽引した森英恵の没後初となる回顧展「生誕100年 森英恵 ヴァイタル・タイプ」。本展が東京・六本木の国立新美術館に、島根県立石見美術館より巡回する。

 森英恵は、1950年代にキャリアを開始し、映画衣装の制作を通じて頭角を現すようになる。戦後の高度経済成長期の日本において、家庭を持ちながらデザイナーとして社会的にも大きな仕事を成し遂げる姿は、新しい女性像の先駆けとして注目されるようになった。そんななか、森が1961年に雑誌『装苑』にて新たに提唱したのが「ヴァイタル・タイプ」という人物像である。快活で努力を惜しまないその姿は、森のその後の生き方とも大きく重なるものであった。1965年にはニューヨークコレクションにデビューし、以降、晩年まで世界中で活動を続けた。

 本展は、全5章にエピローグを加えた構成で、オートクチュールのドレス、資料、初公開となる作品を含む約400点を通じて、森のものづくりの全貌を明らかにするものとなる。

会期:2026年4月15日~7月6日
会場:国立新美術館
住所:東京都港区六本木7-22-2
電話:050-5541-8600
開館時間:10:00~18:00(金土~20:00)(※入館は閉館の30分前まで)
休館日:火(ただし、5月5日は開館)
観覧料:一般 2200円 / 大学生 1800円 / 高校生 1400円 / 中学生以下 無料

「拡大するシュルレアリスム 視覚芸術から広告、ファッション、インテリアへ」(東京オペラシティ アートギャラリー、4月16日〜6月24日)

「拡大するシュルレアリスム 視覚芸術から広告、ファッション、インテリアへ」(大阪中之島美術館)展示風景より、アンドレ・ブルトン『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』の初版本(1924)

 大阪中之島美術館で26年3月8日まで開催中の「拡⼤するシュルレアリスム 視覚芸術から広告、ファッション、インテリアへ」が、東京・初台の東京オペラシティ アートギャラリーに巡回する。

 シュルレアリスム(超現実主義)は、1924年にアンドレ・ブルトンが定義づけた動向で、無意識や夢に着⽬した、フロイトの精神分析学に影響を受けて発⽣したものである。⽂学を基点に、オブジェや絵画、写真・映像といった視覚芸術をはじめ、広告やファッション、インテリアへと幅広く展開した。

 シュルレアリスムの起こりから約100年が経過したいま。本展は、サルバドール・ダリマックス・エルンストルネ・マグリットをはじめとするシュルレアリスムの代表的な作家たちの作品を含め、⽇本国内に所蔵されている優品が集結。シュルレアリスムの本質に迫ることを目指すとともに、表現媒体をキーワードに章立てすることで、シュルレアリスム像の再構築を試みる。

会期:2026年4月16日~6月24日
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2
電話:050-5541-8600
開館時間:11:00~19:00(※入館は閉館の30分前まで)
休館日:月、5月7日(ただし5月4日は開館)
観覧料:一般 1800円 / 大・高生 1100円 / 中学生以下 無料

特別展「北野天神」(京都国立博物館、4月18日〜6月14日)

 京都国立博物館で京都の北西、天門の地にある北野天満宮は、菅原道真を祭神としてまつる御社だ。令和9年(2027)に道真薨去から1125年目の式年大祭「半萬燈祭」が執り行われることを機に、京都国立博物館では北野天満宮に伝わる国宝・重要文化財17件を中心とした全国の天神信仰ゆかりの品々を一挙公開する特別展を開催する。

 史上初となる国宝「北野天神縁起絵巻(承久本)」全巻全場面公開のほか、重要文化財の「弘安本」「光信本」「光起本」など多くの北野天神縁起絵巻を展観し、説話上の北野天神誕生の場面を見ることができる。また、京都国立博物館と北野文化研究所の調査によって発見された作品や、日本各地の天満宮・天神社、社寺に伝わる名品の数々から、これまであまり語られてこなかった天神信仰の多様な側面と、これらが日本文化の中で果たしてきた重要な役割をひもとく。 

会期:2026年4月18日~6月14日
会場:京都国立博物館 平成知新館
住所:京都府京都市東山区茶屋町527
電話:075-525-2473
開館時間:9:00~17:30(金~20:00)※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし5月4日は開館)
観覧料:一般 2000円 / 大学生 1400円 / 高校生 900円

「スイス絵画の異才 カール・ヴァルザー 世紀末の昏き残照」(東京ステーションギャラリー、4月18日~6月21日)

 東京・丸の内の東京ステーションギャラリーで、20世紀前半のスイスで活躍した異才カール・ヴァルザー(1877〜1943)の回顧展が開催される。

 ヴァルザーはベルン近郊のビールに生まれた。1歳下の弟ローベルトは作家になり、後にその著作にカールが挿絵を描いている。20代でベルリンに出たヴァルザーは、革新的な表現を目指したベルリン分離派に加わり、象徴主義的な絵画作品をいくつも残している。ヴァルザーの生涯で特筆すべきことは、日本を訪れて制作をしていることだ。1908年にドイツの小説家、ベルンハルト・ケラーマンとともに来日したヴァルザーは、横浜や宮津などに滞在して、熱心に日本の風景や風俗を描いた。

 本展は、これらの仕事に加えて、挿絵や舞台美術、壁画でも活躍したヴァルザーの全貌を伝える試み。全作品が日本初公開となる。

会期:2026年4月18日~6月21日
会場:東京ステーションギャラリー
住所:東京都千代田区丸の内1-9-1
電話:03-3212-2485
開館時間:10:00 - 18:00(金~20:00)※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(5月4日、6月15日は開館)
観覧料:一般 1800円 / 大学・高校生 1300円

「KYOTOGRAPHIE 2026」(京都市内各所)

森山大道 Stray Dog, Misawa 1971 From A Hunter © Daido Moriyama/Daido Moriyama Photo Foundation.

 日本を代表する写真祭として定着した「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」が、2026年4月18日〜5月17日に第14回を迎える。今回のテーマは「EDGE(エッジ)」。境界、分断、接触、移ろい、葛藤、未知へ踏み出す瞬間など、多義的な“縁”をめぐる動的な思考を促すキーワードだ。

 今回は、日本、南アフリカ、フランス、バングラデシュ、ボリビアなど、8ヶ国13組のアーティストによるプログラムを展開。京都市内の歴史的建造物や文化拠点が会場となり、街そのものが写真祭として立ち上がる。多様な思想と美学が交錯する「エッジ」の現場が、春の京都に広がることとなるだろう。

会期:2026年4月18日~5月17日
会場:京都市内各所

「ゴールドマン コレクション 河鍋暁斎の世界」(サントリー美術館、4月22日〜6月21日)

河鍋暁斎 地獄太夫と一休 明治4年-22年(1871-89) イスラエル・ゴールドマン・コレクション Photo: Ken Adlard

 東京・六本木のサントリー美術館で、幕末から明治にかけて活躍した絵師・河鍋暁斎(1831〜89)の多彩な画業を紹介する展覧会「ゴールドマン コレクション 河鍋暁斎の世界」が開催される。

 本展は、イギリス在住の美術商、イスラエル・ゴールドマンが蒐集した暁斎作品を中心に構成。世界最大級の暁斎コレクションとして知られる同コレクションから、日本初出品を含む67件を含む選りすぐりの作品が出品される。掛軸や巻物、屛風絵などの肉筆作品に加え、摺の鮮やかな版本・版画、下絵や絵日記など、暁斎の幅広い創作活動を一望する機会となる。

 暁斎は、神仏画や戯画、動物画、妖怪画など多岐にわたる主題を手がけ、その卓越した筆致と機知に富んだ発想で、時代を超えて高く評価されている。本展では《地獄太夫と一休》《百鬼夜行図屛風》《蛙の学校》など代表作のほか、保存状態の良い版画群も展示予定だ。

会期:2026年4月22日~6月21日
会場:サントリー美術館
住所:東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア 3階
開館時間:10:00~18:00(金~20:00)
休館日:火(5月5日は20時まで開館)
料金:一般 1800円 / 大学生 1200円 / 高校生 1000円 / 中学生以下無料

「驚異の部屋の私たち、消滅せよ。 ─ 森村泰昌・ヤノベケンジ・やなぎみわ ─」(大阪中之島美術館、4月25日〜6月28日)

大阪中之島美術館とヤノベケンジ《シップス・キャット(ミューズ)》(2021)

 大阪中之島美術館で、関西を拠点とする現代美術家3人による展覧会「驚異の部屋の私たち、消滅せよ。 — 森村泰昌・ヤノベケンジ・やなぎみわ —」 が開催される。

 同館では、2023年末より森村泰昌ヤノベケンジやなぎみわの3人がひとつの展覧会をつくりあげるという初の試みに伴走してきた。

 ポスト万博年となる2026年春、「驚異の部屋の私たち、消滅せよ。」と題し、森村泰昌、ヤノベケンジ、やなぎみわの3人展を開催する。 

会期:2026年4月25日〜7月20日
会場:大阪中之島美術館
住所:大阪府大阪市北区中之島4丁目3−1 大阪中之島美術館
開館時間:10:00〜17:00(入場は閉館の30分前まで)
休館日:月(4月27日、5月4日、7月20日は開館)
料金:一般 1900円 / 大学・高校生1300円 / 小中学生 500円

「Mr.の個展:いつかある晴れた日に、きっとまた会えるでしょう。」(福岡アジア美術館、4月24日~6月21日)

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 福岡市の福岡アジア美術館で、「Mr.の個展:いつかある晴れた日に、きっとまた会えるでしょう。」が開催される。会期は4月24日~6月21日。担当は田川市美術館館長の工藤健志。

 Mr.(ミスター)は1969年生まれ。カイカイキキ所属アーティスト。96年のデビュー以降、日本のアニメ、マンガ、ゲーム、オタク文化といったサブカルチャーを取り込み、日本固有のポップカルチャーを現代アートの文脈で昇華させた独自の表現を展開してきた。村上隆が提唱した「スーパーフラット」(*)の重要な担い手として知られ、幼少期の記憶やアニメ的キャラクター、元ヤンキーとしてのストリート的な感性を用いて、現代日本のカオス的な状況を再構築している。

 本展は、Mr.による11年ぶりとなる国内個展であり、日本の公立美術館では初となる大規模個展となる。会場には、新作を含む平面作品、巨大立体作品、大規模インスタレーション、映像など80点以上の作品を展示。これらを通じて、Mr.の本質と魅力にせまる内容となる。

会期:2026年4月24日~6月21日
会場:福岡アジア美術館 企画ギャラリー
住所:福岡県福岡市博多区下川端町3-1 リバレインセンタービル7階
開館時間:9:30〜18:00(金土〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:水(ただし、休日の場合はその翌平日休館) 
料金:一般 1600円 / 大学・高校生 1000円 / 中学生以下無料

「若冲にトリハダ!野菜もウリ!」(福田美術館、4月25日~7月5日)

 京都・嵐山の福田美術館で、同館コレクションの伊藤若冲(1716-1800)作品を中心に紹介する展覧会「若冲にトリハダ!野菜もウリ!」が開催される。

 江戸時代から現代に至るまでの美術品を幅広く収蔵するコレクションで知られている。なかでも近年大きな注目を集めているのが、2023年にその存在が確認された伊藤若冲の《果蔬図巻》だ。

 本展では、福田コレクションに加わった後、約1年にわたる修理を経て公開される《果蔬図巻》と、同じく若冲によって制作された重要文化財《菜蟲譜》(佐野市立吉澤記念美術館蔵)を初めて並べて展示。さらに、《蕪に双鶏図》や新たにコレクションに加わった伊藤若冲《花卉雄鶏図》、《老松白鶴図》をはじめ、《蛇図》(個人蔵)、《果蔬涅槃図(かそねはんず)》(個人蔵)などの新出作品10点を含む若冲作品約40点を展観する。

会期:2026年4月25日~7月5日
会場:福田美術館
住所:京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16
開館時間:10:00~17:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:5月12日、6月2日、16日
料金:一般 1500円 / 高校生 900円 / 中学・小学生 500円 

「田中信太郎―意味から遠く離れて」(世田谷美術館、4月25日〜6月28日)

田中信太郎 風景は垂直にやってくる 1985 日立市郷土博物館 撮影=田村融市郎

 東京の世田谷美術館で「田中信太郎―意味から遠く離れて」が開催される。会期は4月25日〜6月28日。

 田中信太郎は1940年東京生まれ。太平洋戦争末期に茨城県日立市に疎開し、高校卒業まで暮らす。上京後は、現代美術家の篠原有司男の影響もあり、反芸術と称されていたネオ・ダダの活動に参加。前衛美術家として活動するも、60年代の後半よりミニマル・アートを彷彿とさせる作品へと転換する。その後70年の「人間と物質」、72年のヴェネチア・ビエンナーレなど主要な国際展に参加するようになる。85年以降は、平面と立体を組み合わせた作品を発表し、2019年に亡くなるまで、独自の思想に裏打ちされた作品を発表し続けた。

 本展は、つねに新たな作品の在り方を提示し続けた田中の、東京では初となる回顧展だ。日本未発表の70年の絵画作品から、晩年に探求し続けていた平面作品、そして亡くなるまで継続して制作した金属によるドローイングまで、アトリエに遺された作品を中心に40点弱で構成される。さらに60〜70年代にかけて、世田谷の祖師谷にアトリエを構えていたときの作品図面や資料もあわせて展示される貴重な機会となる。

会期:2026年4月25日〜6月28日
会場:世田谷美術館
住所:東京都世田谷区砧公園1-2
電話番号:03-3415-6011
開館時間:10:00~18:00 ※入館は閉館の30分前まで 
休館日:月、5月7日(ただし、5月4日は開館)
料金:一般 1400円 / 65歳以上 1200円 / 大高生 800円 / 中小生 500円 / 未就学児 無料

「没後110年 日本画の革命児 今村紫紅」(横浜美術館、4月25日〜6月28日)

今村紫紅 護花鈴 六曲屏風一双〔図は部分〕 1911 170.2×364.4cm(各隻) 霊友会妙一コレクション所蔵) ※会期中展示替えあり

 明治の末から大正初期に活躍した画家・今村紫紅(1880〜1916)の40余年ぶり、かつ公立美術館では初の大回顧展が横浜美術館で開催される。

 平安時代から続く伝統的なやまと絵を学び、若くして歴史画において高い技量を示した紫紅は、やがて、日本画の革新を志す。琳派の俵屋宗達などの自由闊達な絵に刺激を受け、さらに南画(中国・江南地方の絵画に影響を受けて江戸後期に栄えた山水画)や、西欧の印象派などの新しい表現を取り入れて、風景画に強烈な個性を発揮した。《熱国之巻》や《近江八景》(いずれも国指定重要文化財、本展出品予定)に代表される綿密かつ大胆な筆づかいと構図、明るい色がその特徴となっている。

 紫紅の創作の軌跡を、初公開作品を数多く含む約150点でたどる展覧会となる。

会期:2026年4月25日〜6月28日
会場:横浜美術館
住所:神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1
開館時間:10:00〜18:00(入場は閉館の30分前まで)
休館日:木(4月30日、5月7日は開館)
料金:一般 2200円 / 大学生 1600円 / 高校・中学生 1000円 / 小学生以下無料

「エリック・カール展 はじまりは、はらぺこあおむし」(東京都現代美術館、4月25日〜7月26日)

『はらぺこあおむし』 表紙最終原画 1987 エリック・カール絵本美術館 Collection of the Eric and Barbara Carle Foundation © 1969, 1987 Penguin Random House LLC.

 東京都現代美術館で、アメリカを代表する絵本作家エリック・カール(1929〜2021)の回顧展「エリック・カール展 はじまりは、はらぺこあおむし」が開催される。会期は4月25日~7月26日。

 エリック・カールは、1952年にグラフィック・デザイナーとしてキャリアをはじめ、67年には、詩人のビル・マーチンの絵本『くまさん くまさん なに みてるの?』にイラストレーションを描いたことから絵本作家を志すようになった。その作風は、ページの開き方や形への工夫、さらには光や音などの仕掛けを加えた「遊べる本であり、読めるおもちゃ」を目指した点に特徴がある。2021年、マサチューセッツ州ノーサンプトンにて91歳で没。

 本展は、カールの功績を振り返る回顧展であり、『はらぺこあおむし』日本語版50周年を記念して、米国・マサチューセッツ州にあるエリック・カール絵本美術館と共催されるものとなる。代表作である『はらぺこあおむし』(1969)や『パパ、お月さまとって!』(1986)、『10このちいさな おもちゃのあひる』(2005)など27冊の絵本の原画にあわせ、グラフィックデザイナー時代の作品、アイデアの最初の構想段階でつくられるダミーブック、コラージュに使用する素材(色や模様をつけた紙)など、約180点を展示する。

会期:4月25日〜7月26日
会場:東京都現代美術館 
住所:東京都江東区三好4-1-1
開館時間:10:00~18:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月(5月4日、7月20日は開館)、5月7日、7月21日
料金:一般 2300円 / 大学生・専門学校生・65歳以上 1600円 / 高校・中学生 1000円

「路上、お邪魔ですか?」(金沢21世紀美術館、4月25日〜9月6日)

迫川尚子 お面をかぶっておどける新城さん。沖縄出身。右翼の街宣車だろうか。君が代が流れると頭をかかえてうずくまった。 1996年8月 ©迫川尚子

 石川・金沢の金沢21世紀美術館で、「路上観察学会」の誕生から2026年で40周年になることを記念し、「路上」を考える展覧会「路上、お邪魔ですか?」(金沢21世紀美術館、4月25日〜9月6日)が開催される。なお、同展は渋谷区立松濤美術館(9月19日〜11月23日)にも巡回する。

 1986年、赤瀬川原平、藤森照信、南伸坊、林丈二、松田哲夫、杉浦日向子らによって発足した「路上観察学会」は、路上に隠れ潜む、景観・美観とみなされない建物や看板を「物件」として採集し、博物誌的視点や見立てによって解読する活動だ。その観察対象は、建物、建築装飾、壁、塀、階段、雨どい、郵便受け、看板、貼り紙など多岐にわたる。

 本展の開催は、1986年に発足した「路上観察学会」の創設40周年も契機としている。代美術から歴史的資料、テレビゲームや銭湯、大道芸までをも紹介しながら、路上は誰のものか?をキーワードに、過去の実践から現代の都市に対する批評的なアプローチまでをたどりながら路上の公共性を探る。

会期:2026年4月25日〜9月6日
会場:金沢21世紀美術館
住所:石川県金沢市広坂1-2-1
開館時間:10:00~18:00(金土〜20:00) ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月(5月4日、7月20日は開場)、5月7日、7月21日
料金:一般 1200円 / 大学生 800円 / 小中高生 400円 / 65歳以上 1000円

東京都美術館開館100周年記念「アンドリュー・ワイエス」展(東京都美術館、4月28日〜7月5日)

 アンドリュー・ワイエス(1917〜2009)の没後日本初となる回顧展「東京都美術館開館100周年記念 アンドリュー・ワイエス展」が2026年4月28日~7月5日に開催される。なお、本展は豊田市美術館(7月18日〜9月23日)、あべのハルカス美術館(10月3日〜12月6日)に巡回する。

 ワイエスは、20世紀アメリカ具象絵画を代表する画家だ。二次世界大戦後に脚光を浴びたアメリカ抽象表現主義、ネオ・ダダ、ポップアートといった動向から距離を置き、ひたすら自分の身近な人々と風景を描き続けた。その作品は眼前にある情景のたんなる再現描写にとどまるものではなく、作家自身の精神世界が反映されたものとなっている。

 同展は、その「境界」の表現に着目して、ワイエスが描いた世界を見つめることを試みるものとなる。ホイットニー美術館(ニューヨーク)の《冬の野》(1942)、フィラデルフィア美術館の《冷却小屋》(1953)、フィルブルック美術館(オクラホマ)の《乗船の一行》(1984)をはじめ、10点以上が日本初公開。あらためてワイエスの魅力に触れる機会となるだろう。

会期:2026年4月28日~7月5日
会場:東京都美術館
住所:東京都台東区上野公園8-36
開館時間:9:30〜17:30(金〜20:00) ※入場は閉館の30分前まで
料金:一般 2300円 / 大学生 1300円 / 65歳以上 1600円 / 高校生以下無料

「ロン・ミュエク」(森美術館、4月29日〜9月23日)

イン・ベッド 2005 カルティエ現代美術財団 「ロン・ミュエク」韓国国立現代美術館ソウル館  2025

 オーストラリア出身の現代美術家、ロン・ミュエク(1958〜)。その大規模個展「ロン・ミュエク」展が森美術館で開催される。会期は4月29日〜9月23日。

 ロン・ミュエクはオーストラリア・メルボルンに生まれ、革新的な素材や技法、表現方法を用いて具象彫刻の可能性を押し広げてきた。1986年よりイギリスに在住し、映画・広告業界で20年以上のキャリアを積んだ後、90年代半ばに彫刻の制作を開始。97年、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツでの「センセーション:サーチ・コレクションのヤング・ブリティッシュ・アーティスト」展に出品した《死んだ父》(1996〜97)が注目を集め、一躍国際的な評価を得た。以来、ミュエクは世界各地の名だたる美術館で作品を発表しており、日本では十和田市現代美術館に《スタンディング・ウーマン》(2007)が常設展示されている。

 カルティエ現代美術財団との共同企画による本展は、2023年にパリで幕を開け、ミラノ、ソウルを巡回した国際展の日本会場となるもので、日本では2008年の金沢21世紀美術館での回顧展以来、2度目の個展開催となる。会場では、巨大インスタレーション《マス》(2016〜17)を中心に、初期の代表作から近作までの11点を展示。うち6点は日本で初めて紹介されるという。

会期:2026年4月29日〜9月23日
会場:森美術館
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 53階 
開館時間:10:00〜22:00(火〜17:00。ただし、 5月5日、8月11日、9月22日は〜22:00) ※入館は閉館の30分まで
休館日:会期中無休
当日料金:[平日]一般 2300円 / 高校・大学生 1400円 / 中学生以下 無料 / 65歳以上 2000円[土日祝]一般 2500円 / 高校・大学生 1500円 / 中学生以下 無料 / 65歳以上 2200円