デヴィッド・ホーヴィッツ「Is it too confusing?」

　TARO NASUで、デヴィッド・ホーヴィッツによる個展「Is it too confusing?」が開催されている。

　ホーヴィッツは、ロサンゼルスを拠点に国際的に活躍するアメリカ人アーティストだ。写真、言語、本、パフォーマンスなどを制作活動の基盤としながら、従来のホワイト・キューブの枠組みを超えた、多様かつ非定型な表現手法を一貫して探求している。ホーヴィッツの多面的な実践の核心には、現代社会に固有の問題への批評的な眼差しがあり、ホーヴィッツの作品には深い省察と視座をもたらしている。

　バス・ヤン・アデルや河原温などのアーティストから影響を受けながら、ホーヴィッツは「時間」や「記憶」、そしてそれらの不可避的な「消滅」といった本質的にとらえがたいものを、コンセプチュアルかつ物質的なアプローチによって可視化しようとする試みを長年にわたり続けてきた。

　本展では、ホーヴィッツが長年取り組み、現在も継続しているプロジェクト「Nostalgia」シリーズを、スライド・プロジェクションと壁面テキストを用い、完全なかたちで包括的に紹介している。さらに、人間の存在におけるふたつの決定的な瞬間、「誕生」と「死」について省察した新作ネオン作品、そして河原温の重要シリーズ「日付絵画」へのオマージュ作品も展示される。これら一連の作品を通じて、「生きられた時間」、すなわち日常のリズムのなかで知覚し経験している時間の本質について、思索が促されるだろう。