EXHIBITIONS

足立智美「古い未来の楽器と新しい昔の楽器(と文字)((人工知能による))」

2025.03.29 - 04.26
 MISA SHIN GALLERYで、足立智美による個展「古い未来の楽器と新しい昔の楽器(と文字)((人工知能による))」が開催されている。

 足立智美は1972年石川県金沢市生まれ。声、身体、コンピュータ、自作楽器によるソロ演奏などを発表するほか、パフォーマー、音響詩人、楽器製作者、視覚芸術家として幅広い領域で世界的に活動するアーティストだ。

 本展において足立は、生成AI(人工知能)がデザインした楽器を彫刻家・大村大悟と協働で制作し、それらを実際に演奏する映像を加えたインスタレーションを発表。昨年、金沢アートグミにおいて発表された本作品は、生成AIの知性を尊重した共同制作であり、人間の限界を超えた音楽表現や身体性を新たに開拓しようとする試みである。

 生成AIは、これまでの人類の叡智を大量に学習し、その似姿を素早く生成。歴史と文脈が欠如していると思われるそのかたちを、足立は「人工知能には人工知能の文脈があり、我々がそれを理解できないだけではないか」という仮説を立てた。そして、生成AIによってデザインされた楽器を実際に製作し、そのインターフェイスを理解するために、演奏技法を開拓、練習し、演奏することで、身体と音楽の可能性を広げようと考えているという。それは人工知能を既に独立した知性として尊重し、これまでほとんど考えられてこなかった人工知能にとっての「身体」を追求することでもあるとのこと。

 また、本展では、楽器と対応するかたちで、3Dプリンターによる立体の文字作品も展示。二次元の印刷技術が言葉の環境を劇的に変えたことと同様に、3Dプリンターの出現は文字の三次元化をもたらすと考えた足立は、三次元文字をAIに生成させる。私たちはそれをどう読み、その能力を得ることができるのか問いかける。