「うたう仲條 おどる仲條 ―文字と画と、資生堂と」(資生堂ギャラリー)開幕レポート。資生堂の美意識を伝え続けた仲條正義のクリエイティブを振り返る
東京・銀座の資生堂ギャラリーで、展覧会「うたう仲條 おどる仲條 ―文字と画と、資生堂と」が開幕した。会期は6月28日まで。会場の様子をレポートする。

東京・銀座の資生堂ギャラリーで、長年資生堂のデザインやアートディレクションを手がけてきたグラフィックデザイナー・仲條正義(1933〜2021)のクリエイティビティを紹介する展覧会「うたう仲條 おどる仲條 ―文字と画と、資生堂と」が開幕した。会期は6月28日まで。
仲條は1933年東京生まれ。東京藝術大学図案科(現デザイン科)を卒業し、56年に株式会社資生堂宣伝部に入社した。およそ3年間在籍したのちに独立し、61年に仲條デザイン事務所を設立。66年から2011年までの40年以上にわたり資生堂の企業文化誌『花椿』のアートディレクションを担当したほか、資生堂パーラーのロゴやパッケージ、同社のブランドロゴに至るまで、膨大な数の名作を世に送り出してきた。
本展は、仲條の没後5年という節目に開催される回顧展となる。展覧会タイトルが示すように、今回着目するのは展覧会タイトルにもあるように、仲條のデザインにおける「文字」と「画」の関係性だ。また、仲條は生前「デザインはうたになる方を選ぶ」と語っており、その軽やかで生き生きとした作風がしばしば「おどっている」と評されてきた点も、タイトルに反映されている。
会場では、文字と画が響きあう卓越したイメージや、その大胆な構成力が読み取れる作品を展示。資生堂が収蔵する作品を中心に、化粧品の広告ポスター、資生堂パーラーのパッケージや包装紙、時計などのプロダクト、さらには展覧会では初出品となるイラストの原画など、およそ200点が一堂に会し紹介されている。

また壁面には、仲條と資生堂の関係性を示すものとして「仲條正義展 忘れちゃってEASY思い出してCRAZY」(資生堂ギャラリー、2012)や「春ノ椿」展(HOUSE OF SHISEIDO、2005)に出展された作品も展示。かつて画家を目指していたという仲條の、絵画的なアプローチを見ることができる。

さらに奥の展示スペースには「花椿ライブラリー」が設けられ、1982年から2025年までの『花椿』のアーカイブを公開。時代の潮流を敏感にくみ取りながら、資生堂ならではの価値観を発信し続けてきた軌跡を、仲條のディレクションとともにたどることができるだろう。
なお、会場内ではグラフィックデザイナー・山口崇多(1988〜)が、仲條デザインの造形的なエッセンスを現代的な視点で再解釈して制作した映像作品も上映されている。

長年にわたって資生堂のクリエイティブを支え、リードしてきた仲條正義。没後5年という節目に開催された本展では、改めてその存在の大きさと、色褪せることのないデザインの価値を再発見することができるはずだ。



