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2025.4.26

「国際北斎くらぶ」が発足。葛飾北斎の功績を通じて日本文化の継承・発信を

4月15日、一般社団法人 日本美術アカデミーが葛飾北斎の功績を通じて日本文化を国際的に発信する「国際北斎くらぶ」を発足。その記者会見が25日に実施された。

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 4月15日、一般社団法人 日本美術アカデミーが葛飾北斎の功績を通じて日本文化を国際的に発信する「国際北斎くらぶ」を発足させた。

 一般社団法人 日本美術アカデミーとは、美術分野における強力なネットワークとグローバルな視点を生かし、美術文化全体の振興と発展に貢献することを目指して設立された団体だ。

 今回発足された「国際北斎くらぶ」は、同法人の国際北斎学会がベースとなるもの。江戸時代後期の絵師・葛飾北斎は、卓越した画力を用いて、浮世絵師という枠にとどまらない幅広い活動を行った人物であり、その功績からアメリカの『LIFE』誌による「この1000年でもっとも重要な功績を残した世界の100人」に選ばれた唯一の日本人でもある。

 しかし、フランスの文学者エドモンド・ゴンクールが著書『北斎覚書』のなかで「日本人が一番知らない北斎」と記したように、国内での北斎の認知は「優れた浮世絵師のひとり」に留まり、北斎が後世に与えた影響について十分な認知が国内でなされていない。ひいては、日本における文化行政・文化的教育の不十分さを課題として、設立されたのがこの「国際北斎くらぶ」にあたる。北斎の功績を正しく後世に伝えることを通じて、日本文化を守り、発信していこうというのがこの団体の趣旨となる。

スピーカーとして登壇した遠藤欽久(藤ひさし)氏

 25日に実施された記者会見では、葛飾北斎によって描かれた未発表の初期作(画号:宗理)や、《母子図》(リチャード・ケルトン・コレクション / ハラリー コレクション / パサデナ・パシフィックミュージアム 旧蔵、画号:為一)といった2点の肉筆画や、自画像が描かれた原画がお披露目。また、印刷技術を応用した文化財のデジタルアーカイブを得意とするTOPPAN株式会社(旧:凸版印刷株式会社)によって、これらの肉筆画を高精細デジタルデータとして撮影されたものが参加者向けに公開された。

葛飾北斎による2点の肉筆画
TOPPANによる高精細デジタル撮影の様子

 また、この記者会見の場には、同団体の特別名誉顧問として鶴賀若狭掾(重要無形文化財保持者 / 人間国宝)や、河端照孝(一般社団法人 次世代芸術文化都市研究機構)、鈴木庸一(元フランス共和国駐在全権大使)をはじめ、この取り組みに賛同する応援会として、市村次夫(北斎館 理事長)、浦上満(浦上蒼穹堂 代表)、井田齊(北里大学名誉教授、海洋生物学者)らも出席。世界的に見ても低い日本の文化予算や、それに伴う文化教育の不十分さ、そして現行の都市開発、国立劇場の建て替えの是非についても議論が展開された。

 なお、同団体は現在入会者を受け付けている。イベントやワークショップ、サロンといった様々なプログラムが実施される予定となっているため、関心のある方はぜひチェックしてみてほしい。