「MINGEI ALIVE -いま、生きている民藝-」が兵庫陶芸美術館で開幕。民藝を現代の視点で再考
兵庫陶芸美術館で、開館20周年を記念する特別展「MINGEI ALIVE -いま、生きている民藝-」がスタートした。

いまからおよそ100年前に、宗教哲学者・柳宗悦(1889〜1961)によって提唱された「民藝(民衆的工藝の略)」。これを現代の視点から再考する展覧会、兵庫陶芸美術館開館20周年記念特別展「MINGEI ALIVE -いま、生きている民藝-」がスタートした。

民藝は、日々の暮らしに寄り添うものに美を見いだすという、新しい価値観であり、提案だった。対象となったのは、近代化にともない失われつつあった、用途に即してつくられた「手仕事」による生活道具だ。しかし民藝はそれらをただ保護するのではなく、その精神を正しく受け取り、新しい生活スタイルに合ったものづくりへと導くことを目指した。また私たちが心豊かに生きていくうえで欠かせないものを手放さないという、「生活の芸術(アート)」も、民藝を語るうえでは欠かせない重要な哲学だ。
本展は、富本憲吉(1886〜1963)、バーナード・リーチ(1887〜1979)、濱田庄司(1894~1978)をはじめとする同館の現代陶芸コレクションの核となっている個人作家の器作品を展観しながら、当時、先鋭的なモダニストでもあった柳が見つめた民藝の本質について、現代の視点から再考することを試るもの。
また、柳宗悦が民藝という新しい美の価値観を見いだすきっかけとなった李氏朝鮮時代(14 世紀末~19 世紀末)の朝鮮陶磁も、日本民藝館所蔵の朝鮮陶磁コレクションを通して見ることができる。



さらに見どころとなるのが、現代の作家たちの作品だ。唯一無二の作家性を確立した個人作家たちがつくる器は、「いま、生きている民藝」を体現するものではないか、との問いを、多方面にわたって活躍中の気鋭作家8名の作品を通して検証。本展のために新たに制作された作品も多く、各作家のコーナーは器を用いた美しいインスタレーション空間にもなっており、現代における手仕事の在り方や民藝の未来について考えるきっかけを提示している。
民藝という言葉が誕生してから100年が経ったいま、本展は私たちが豊かで幸せであると思える暮らしと、そこに息づく「生活の芸術(アート)」について、あらためて考える契機となるだろう。





