2026.2.16

アート・バーゼル香港2026、フェアの全貌を発表。新セクター「Zero 10」の展開や都市規模の協働プログラムを予定

3月27日〜29日に開催される「アート・バーゼル香港」が、今年のハイライトを発表した。41の国・地域から240のギャラリーが参加し、様々な規模のプログラムを予定している。

「アート・バーゼル香港2025」の様子 Courtesy of Art Basel
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 アジアを代表する国際的アートフェア「アート・バーゼル香港」が、今年の主なハイライトを発表した。

 今年のフェアは3月27日〜29日(プレビューは25日・26日)、香港コンベンション&エキシビション・センター(HKCEC)で開催される。41の国・地域から240のギャラリーが参加し、その半数以上がアジア太平洋地域に拠点を置くものとなる。新セクターの展開やキュラトリアル体制の刷新、都市全体を巻き込む協働プログラムを通じ、アジアにおける芸術交流の中核的プラットフォームとしての役割を一段と強化する構えだ。

「アート・バーゼル香港2025」の様子 Courtesy of Art Basel

 なかでも注目されるのが、大規模インスタレーションや彫刻、パフォーマンスを紹介するセクター「エンカウンターズ」である。今年は、片岡真実をリーダーに、イザベラ・タム、アリア・スワスティカ、徳山拓一が加わる国際的キュラトリアル・チームが担当する。

 スキ・カン・ソギョンによるテキスタイルを用いた空間的インスタレーション、パラグ・タンデルの海と祖先の記憶をめぐる糸の作品、安永正臣の釉薬陶による造形、ジェラルディン・ハビエルの植物を想起させる巨大な布作品など、計12点のプロジェクトが予定されている。

ジェラルディン・ハビエルによるインスタレーション Courtesy of the artist and Silverlens

 さらに「エンカウンターズ」は会場外にも拡張され、パシフィック・プレイスでは、クリスティーン・サン・キムがデジタル・アニメーション作品《A String of Echo Traps》(2022–26)を発表。スワイヤ・プロパティーズの支援のもと、音や翻訳、エコーをテーマにしたサイトスペシフィックな試みが都市空間に展開される。

 ギャラリーブース内でテーマ性の高い展示を行う「キャビネット」には35プロジェクトが集結し、そのうち23件がアジア太平洋地域の歴史的・同時代的実践に焦点を当てる。加えて、デジタル時代の芸術に特化したアート・バーゼルのグローバル・プロジェクト「Zero 10」が、昨年末のマイアミ・ビーチでの初披露に続き、アジアで初めて香港に登場。デジタル・アートの展示、文脈化、コレクションのあり方を再考する試みとして位置づけられる。

草野絵美 Ornament Survival - Nursing the Machine 2026
Courtesy of √K Contemporary

 公共プログラムも拡充され、上映、トークなどが引き続き無料で一般公開される。映画プログラムは、香港のメディア・アートを牽引してきたアーティストのエレン・パウが初めてキュレーションを担当し、「In Between Magic and Reality」をテーマに、想像力を抵抗や記憶、生存の戦略として捉える映像作品を紹介する。トーク・プログラム「カンバセーションズ」は4日間に拡大され、視覚芸術と社会、テクノロジーの交差点を多角的に議論する場となる。

 このほか、3年連続となる香港の文化複合施設・大館(タイクン)との協働による「Artists’ Night」や、香港バレエとのコラボレーションによるダンス・プログラム「State of Wonder」、さらにアジアの美術館との関係強化を目的とした新イニシアチブ「Friends of Art Basel Hong Kong」の始動など、フェアの射程は展示空間を超えて広がる。

「アート・バーゼル香港2025」の様子 Courtesy of Art Basel

 拡張するセクター構成と都市規模の連携を通じ、2026年のアート・バーゼル香港は、香港を起点にアジア太平洋の芸術実践を世界へと接続する場として、その存在感を改めて示そうとしている。