2025.6.25

Art Collaboration Kyoto 2025、出展ギャラリーと新プログラムを発表

現代アートを通じた国際的な交流と協働をテーマに、京都を舞台に開催されるアートフェア「Art Collaboration Kyoto(ACK)」が、2025年で第5回目を迎える。会期は11月14日〜16日。

2024年のArt Collaboration Kyoto会場俯瞰 Courtesy of ACK, photo by Moriya Yuki
前へ
次へ

 京都府およびArt Collaboration Kyoto実行委員会は、現代美術を通じた国際的な交流を目指すアートフェア「Art Collaboration Kyoto 2025(以下ACK)」の開催概要を発表した。

 今年で5回目を迎えるACKは、11月14日から16日までの3日間、国立京都国際会館にて開催される。「コラボレーション」をテーマに掲げる本フェアは、日本のギャラリーと海外ギャラリーがひとつのブースを共有して展示する「ギャラリーコラボレーション」や、京都にゆかりのある作家を紹介する「キョウトミーティング」といったセクションを通して、国際性と地域性が交差する展示空間を創出してきた。

 今年は、19の国・地域(28都市)から計72のギャラリーが出展予定。ギャラリーコラボレーションでは、国内の29ギャラリーがホストとして参加し、海外の30ギャラリーを迎えて計59ギャラリーが登場する。Arario Gallery(ソウル)、Asia Art Center(台北)、Gladstone Gallery(ニューヨーク)、Kiang Malingue(香港)などの国際的に著名なギャラリーに加え、東京のPARCELspace Unといった新鋭ギャラリーの初出展も注目される。

 キョウトミーティングでは、京都と深い関わりをもつ作家や作品を紹介。国内から7ギャラリー、海外から6ギャラリーが参加し、計13ブースが京都ならではの文化的背景を体現する。

Art Collaboration Kyoto 2025のティーザーフライヤー デザイン=塩谷啓悟

 ACK独自の企画プログラム「ACK Curates」では、フェアディレクター・山下有佳子のもと、毎年異なるテーマに基づいた企画展示やトークセッション、子供向けのワークショップなど、多世代が参加可能なプログラムが展開されている。2025年のテーマは「2050 ─未来へのまなざし─」。このテーマには、「平等性と差異の認識」「長期的な時間認識」「コラボレーティブ・インテリジェンス」という3つの視点が込められており、未来を見据えた協働の在り方を探る試みとなる。

 このテーマに基づき実施される「パブリックプログラム」のキュレーションには、ドイツを拠点に国際的に活動するマーティン・ゲルマンと、日本在住でアジア各地のアーティストやインスティテューションと連携してきた木村こころが参加。「シンビオーシス:アート、そして共に生きる世界」をキュレトリアルテーマとし、多様な視点や知の交差によって共生の可能性を探る。

 両キュレーターは、生態学の概念である「共生(シンビオーシス)」に着目し、現代アートを通じて多様なアイデンティティや記憶、価値観の重なりを提示し、京都という歴史的都市における文化的共創の場を目指す。

 さらに、若手アーティスト支援の取り組みも拡充される。2023年から継続している「Pommery Prize Kyoto」に加え、2024年にタイで設立されたオルタナティブスペース「バンコク・クンストハレ」と連携し、出展アーティストにバンコクでの滞在制作の機会を提供する新プログラム「Bangkok Collaborate Kyoto Fellowship(BCK Fellowship)」が始動する。

 そのほか、トークプログラム「ACK Talks」では、文化芸術を軸にしたコミュニティの形成と、より充実したカンファレンス機能の構築を目指す。また、子供向けプログラム「ACK Kids’ Programs」では、ガイドツアーやワークショップの実施に加え、託児サービスの提供も予定されている。

 紅葉の季節、京都という文化的な土壌と国際性が交差するこのアートフェアは、今年も多くの来場者を迎えることになりそうだ。