フリーダ・カーロの新美術館「ムセオ・カーサ・カーロ」、今秋メキシコ・シティに誕生へ
フリーダ・カーロの人生と創作における“出発点”に光を当てる新たな美術館「ムセオ・カーサ・カーロ」が、この秋メキシコ・シティに誕生する。

メキシコを代表する画家フリーダ・カーロに捧げる新たな美術館「ムセオ・カーサ・カーロ」が9月27日、メキシコ・シティの歴史地区コヨアカンに開館する。
この新施設は、カーロの両親が購入し、フリーダとその姉妹たちに譲渡した住宅「カーサ・ロハ(赤の家)」を活用したもので、現在多くの来館者を集める「フリーダ・カーロ美術館(通称:カーサ・アスール/青の家)」の拡張施設として設立される。カーサ・アスールは、父ギジェルモ・カーロが建設した家であり、長年にわたりフリーダの人生と創作を紹介してきた。新たなムセオ・カーサ・カーロでは、フリーダの初期の芸術的目覚めや家族との関係に光をあてる。
カーサ・ロハは、フリーダの孫であり唯一の直系親族であるマラ・ロメオ・カーロによって既存の美術館に寄贈された。マラは、「フリーダの遺産は世界のものですが、その原点はこの土地、この家、そして彼女を育んだ文化にあります。ムセオ・カーサ・カーロでは、これまで語られることのなかった物語や家族の記憶、新しい声を紹介し、彼女の精神を未来へつなげていく場所になるでしょう」と語っている。
館内では、これまで未公開だった個人資料が多数展示される予定で、幼少期に刺繍した布、5歳のときにつくったとされる人形や装飾品、初めて描いた油彩画、家族との書簡、初期の写真などが含まれる。なかでも注目されるのが、最近発見されたフリーダによるとみられる壁画で、現存する唯一の作品として初公開される予定だ。
新館の館長には、これまでメキシコ市の「記憶と寛容の博物館」で学芸部門を統括していたアダン・ガルシア・ファハルドが就任。また、同時にフリーダのレガシーを広く発信するため、カーロ家主導で新たな非営利団体「フンダシオン・カーロ」が設立された。ニューヨークに本部を置くこの財団は、メキシコおよび先住民文化、ラテンアメリカの芸術の国際的な発信・継承を目的としており、美術館の企画・運営のほか、教育・文化プログラムの展開を予定している。