2025.5.15

アーティスト・刀根康尚が90歳で逝去。フルクサスやハイレッド・センターの活動に参加

5月12日、実験的な音楽表現で知られ、音楽と美術の境界を超える活動を行ってきたアーティスト・刀根康尚が90歳で逝去した。

刀根康尚 撮影=丸尾隆一(YCAM)写真提供=山口情報芸術センター[YCAM]

 5月12日、実験的な音楽表現で知られ、音楽と美術の境界を超える活動を行ってきたアーティスト・刀根康尚が90歳で逝去した。

 刀根は1935年東京生まれ。58年頃から即興演奏を始め、小杉武久、塩見允枝子、水野修孝らとともに即興音楽集団「グループ・音楽」を結成した。60年にはアーティスト ジョージ・マチューナスの誘いでフルクサスに参加。ハイレッド・センターやチーム・ランダム、暗黒舞踏派などとのコラボレーションも行うなど、アートの世界でも活躍した。72年に渡米以降は活動拠点をニューヨークへと移し、ジョン・ケージなどとも交流を持つ。CDの盤面を意図的に傷をつけノイズを発生させる作品を発表したほか、AIによって自身の演奏を妨害させるといったパフォーマンスも展開。2002年には、世界的なメディア・アートの祭典「アルス・エレクトロニカ」でデジタル・ミュージック部門の金賞を受賞した。現代美術評論家としての顔もあわせ持ち、数々の評論も残している。