2026.4.18

日本初公開の伊藤若冲作品も登場。日本モンキーセンターで特別企画「鶏ッキーなご猿」展が開催

愛知県犬山市の日本モンキーセンターで、江戸中期の絵師・伊藤若冲の未公開作品を中心とした特別企画「鶏ッキーなご猿(トリッキーなごえん)」展が開催されている。本邦初公開となる水墨画《比翼双鶏雛図》をはじめ、若冲の絵画をモチーフにした立体造形など、若冲が描いた「鶏」と「猿」の魅力に迫る。会期は4月18日~5月17日。

古田悟郎による伊藤若冲「動植綵絵」の《南天雄鶏図》(1765以前)をモチーフとした立体造形作品
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 愛知県犬山市の日本モンキーセンターで、江戸中期の絵師・伊藤若冲(1716〜1700)の未公開作品を中心とした特別企画「鶏ッキーなご猿(トリッキーなごえん)」展が開催されている。会期は4月18日~5月17日。

 京都が生んだ「奇想の絵師」として絶大な人気を誇る伊藤若冲(1716〜1800)。写実的かつ鮮やかな着色画で知られるいっぽう、水墨画においても独自の技法「筋目描き」を駆使し、ユーモアあふれる動植物を描き出していた。世界有数のサル類動物園として知られる日本モンキーセンターでは、大型連休に合わせて開催する本展で、若冲作品のなかでもとくに象徴的なモチーフである「鶏」と「猿」に焦点を当てる特別企画を実施する。

モンキーセンターでの若冲作品の展示はなぜ実現したのか

 本展の開催は、作品の所蔵者である伊藤謙(大阪大学総合学術博物館・招へい准教授)と立体造形作家の古田悟郎、そして同園の下村実附属動物園長が長年の友人であったことから実現した。三者は生物好きが集まる会合の場で出会い、その後、絶滅したマチカネワニなどの古生物や、龍、人魚といった伝説上の生物に関するプロジェクトをともに実施する、「博物学」を共通項とした交流を続けてきた 。こうした関係のなかで、伊藤と古田両名による「モンキーセンターを応援したい」という厚意から作品の借用が決まった。

 本展の最大の見どころは、日本初公開となる水墨画《比翼双鶏雛図(ひよくそうけいすうず)》だ。本作は、比翼のごとく寄り添う二羽の鶏と雛を描いたもの。若冲の水墨表現の真骨頂ともいえる鶏の羽毛の繊細な描写が際立っており、夫婦和合や子孫繁栄を象徴する吉祥図として、祝いの場で大切に伝えられてきたと考えられる貴重な一幅だ。

若冲の絵画世界を立体で表現

 また、若冲の絵画世界を立体で表現する試みも見どころのひとつだ。フィギュア制作で知られる海洋堂所属の造形作家・古田悟郎が、若冲の名画をモチーフに制作した立体作品が展示される。

古田悟郎による伊藤若冲《猿猴捕月図》(1770)をモチーフとした立体造形作品

 若冲の代表作、国宝《動植綵絵》のうち、赤い実をつけた南天と力強い雄鶏が印象的な《南天雄鶏図》(1765以前)や、水面に映る月を捕まえようとする親子の猿を描いた《猿猴捕月図》(1770)が、精巧な立体造形として登場。平面から抜け出したかのような雄鶏の勇壮さや、サルの愛らしくもユーモアあふれる姿を、360度の視点から体感できる。

 さらに会場では、同園所蔵の「猿二郎コレクション」より、鶏と猿に関する民俗資料も併せて紹介される。実物のサルたちが暮らす動物園という環境で、江戸の奇想が捉えた生命の躍動を味わう機会となるだろう。