2026.3.13

今週末に見たい展覧会ベスト10。中村宏、SIDE CORE、中西夏之に長沢蘆雪まで

今週閉幕する/開幕した展覧会のなかから、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。なお、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

「中村宏展 アナクロニズム(時代錯誤)のその先へ」(静岡県立美術館)展示風景より、中村宏《円環列車・A一望遠鏡列車》(1968)
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今週閉幕

「中村宏展 アナクロニズム(時代錯誤)のその先へ」(静岡県立美術館

展示風景より、中村宏《4半面の反復(1)~(3)(5)(6)(8)~(12)》(2019)静岡県立美術館蔵

 静岡県立美術館で「中村宏展 アナクロニズム(時代錯誤)のその先へ」が3月15日まで開催されている。会場レポートはこちら

 中村宏は1932年生まれ、浜松市出身の画家で、日本の戦後美術を代表する作家のひとり。1950年代半ばのルポルタージュ絵画以降、70年以上にわたり描くことに取り組み、絵画やイラストレーションなど幅広い表現を行ってきた。

 本展では、1950年代半ばのルポルタージュ絵画、1960~70年代に制作されたセーラー服姿の女学生や機関車をモチーフとする作品など、代表的な作品を展示。また、映画や漫画からの影響、同時代の芸術家との交流といった視点を示しつつ、1970年代以降の絵画表現についても紹介する。

会期:2026年1月20日~3月15日
会場:静岡県立美術館
住所:静岡県静岡市駿河区谷田53-2
電話:054-263-5755
開館時間:10:00~17:30(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月(祝日の場合は翌平日)
観覧料:一般 1400円 / 70歳以上 700円 / 大学生以下 無料

「SIDE CORE Living road, Living space | 生きている道、生きるための場所」(金沢21世紀美術館

展示風景より、スティーブン・ESPO・パワーズのグラフィティ

 石川県の金沢21世紀美術館SIDE COREの個展「SIDE CORE Living road, Living space /生きている道、生きるための場所」が3月15日まで開催されている。会場レポートはこちら

 SIDE COREは2012年に発足したアートチーム。高須咲恵、松下徹、西広太志のメンバーを中心に、ストリート・カルチャーを切り口として「公共空間における表現の拡張」をテーマに活動してきた。都市や路上で生まれる表現の可能性を探求し、公共空間を舞台としたプロジェクトベースの作品を多数発表してきた。

 展覧会タイトルの「Living road, Living space(生きている道、生きるための場所)」には、SIDE COREが考える、ストリートカルチャーの在り方が込められており、これは異なる目的や背景を持つ人々が、ひとつの力や目的に縛られず、それぞれの考えや価値観を交換する営為そのものを示したものだ。本展では「異なる場所をつなぐ表現」や「道や移動」をテーマにした作品展示に加え、展覧会ゾーンに期間限定で開設される無料のスペースなどを通して、美術館という空間に「別の道」を開く。

会期:2025年10月18日〜2026年3月15日
会場:金沢21世紀美術館
住所:石川県金沢市広坂1-2-1
電話番号:076-220-2800
開館時間:10:00~18:00(金土〜20:00)
料金:一般 1200円 / 大学生 800円 / 小中高生 400円 /  65歳以上 1000円

「没後50年 髙島野十郎展」(豊田市美術館

髙島野十郎 蝋燭 大正期 福岡県立美術館蔵

 愛知県豊田市の豊田市美術館で「没後50年 髙島野十郎展」が3月15日まで開催されている。

 髙島野十郎(1890〜1975)は福岡県久留米市生まれ。旧制第八高校(現・名古屋大学)を経て東京帝国大学(現・東京大学)を卒業後、画家の道を選んだ。「蝋燭」や「月」を主題とする写実的な絵画で知られる。

 本展では、初公開作品を含む約170点を、岸田劉生など関連作家の作品とともに4章構成で展示。青年期や滞欧期の作品、福岡県立美術館所蔵の書簡、日記、メモなどの関連資料を紹介し、制作の歩みや画業の背景を示す。

会期:2026年1月6日~3月15日
会場:豊田市美術館
住所:愛知県豊田市小坂本町8-5-1
電話:0565-34-6610
開館時間:10:00~17:30(入館は閉館の30分前まで)
観覧料:一般 1500円 / 高校・大学生 1000円 / 中学生以下 無料

今週開幕

「中西夏之 緩やかにみつめるためにいつまでも佇む、装置」(国立国際美術館

中西夏之 紫・むらさき XVIII 1983 国立国際美術館蔵 ©NATSUYUKI NAKANISHI

 大阪・中之島も国立国際美術館で、特別展「中西夏之 緩やかにみつめるためにいつまでも佇む、装置」が開催される。

 中西夏之(1935〜2016)は、絵画という営みを根底から問い直し、具象や抽象といった既存の枠組みに収まらない作品を生み出した。1960年代前半には前衛美術家集団「ハイレッド・センター」の一員として数々のイベントを繰り広げ、その後、舞踏家・土方巽との出会いをきっかけに本格的な絵画への回帰を果たした経歴を持つ。オレンジや黄緑、紫の色を多用し、異様に柄の長い筆を用いて描く手法など、独自の絵画理念を実践した。

 本展では、中西の半世紀以上にわたる制作の軌跡を振り返り、その絵画理念と実践を紹介する。没後10年の節目に開催される本展では、中西が残した「緩やかにみつめるためにいつまでも佇む、装置」という言葉を軸に、作品が投げかけた問いを提示する。

会期:2026年3月14日~6月14日
会場:国立国際美術館
住所:大阪府大阪市北区中之島4-2-55
電話:06-6447-4680
開館時間:10:00~17:00(金~20:00)※入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし5月4日は開館)、5月7日
料金:一般 1500円 / 大学生 900円 / 高校生以下・18歳未満 無料

「吉田璋也のデザイン - 新作民藝運動がめざした未来」(茨城県陶芸美術館

吉田璋也 緑釉白釉黒釉三方掛分皿 1957 鳥取民藝美術館蔵

 茨城県笠間市の茨城県陶芸美術館で、企画展「吉田璋也のデザイン - 新作民藝運動がめざした未来」が開催される。

 吉田璋也(1898〜1972)は医師でありながら、民藝のプロデューサーとして日常の暮らしに用いられる品を自らデザインして、生産・流通・販売の体制を確立し、民藝運動に生涯を捧げた。

 本展では、吉田が伝統的な手仕事を現代の生活に根づかせるためにデザインした「新作民藝」の軌跡を、関連する作品や資料を展示して紹介する。

会期:2026年3月14日~6月21日
会場:茨城県陶芸美術館
住所:茨城県笠間市笠間2345
電話:0296-70-0011
開館時間:9:30~17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月(ただし5月4日は開館)、5月7日
観覧料:一般 950円 / 満70歳以上 470円 / 高校生等 710円 / 小学・中学生 360円

「春の江戸絵画まつり 長沢蘆雪」(府中市美術館

長沢蘆雪 菊花子犬図 個人蔵 前期・後期展示

 東京・府中の府中市美術館で「春の江戸絵画まつり 長沢蘆雪」が開催される。

 長沢蘆雪は江戸時代中期の画家であり、円山応挙の弟子のひとり。明治時代の美術史において、アイディアと構成力は応挙を上回ると評されるいっぽうで、落ち着きや深みに欠けるとの記述もあったが、後にその覇気が「奇想」として注目された。

 本展では、子犬や動物、子供を描いた作品にみられる「かわいい」表現や、風景、人物、ファンタスティックな世界など、蘆雪の多彩な創作を紹介。作品の根底にある禅の思想や仏教の教えにも着目する。なお、会期中には作品の展示替えが行われる。

会期:[前期]2026年3月14日~4月12日、[後期]2026年4月14日~5月10日
会場:府中市美術館
住所:東京都府中市浅間町1-3(都立府中の森公園内)
電話:050-5541-8600
開館時間:10:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(5月4日は開館)
観覧料:一般 800円 / 高校・大学生 400円 / 小学・中学生 200円 / 未就学児、障害者手帳(ミライロID可)等をお持ちの方と付添の方1名 無料

「-モンスーンに吹かれたように- 大移動と交流のアフリカ‐アジアの現代美術」(岐阜県美術館

 岐阜県岐阜市の岐阜県美術館で「-モンスーンに吹かれたように- 大移動と交流のアフリカ‐アジアの現代美術」が開催される。

 アフリカに由来する現代の作品には、ダイナミックな移動をテーマにした作品が多くある。移動と交流によって生まれる現代美術の視点の転換は、自らのアイデンティティを見つめ直し、人類の持つ創造性の豊かさをとらえ直す機会を与えると言える。

 かつて織田信長にモザンビーク出身の弥助という家臣がいたように、アフリカとアジアには、季節風に乗りインド洋を超えて、古くから交流があった。そして現代では、移動が活性化したことで新たな作品も生まれている。本展では、かつての交流の証とともに、現代のアフリカーアジアの現代作家を紹介する。出品作家は、石川真生、エリアス・シメ、ジョエル・アンドリアノメアリソア、ワンゲシ・ムトゥ、長谷川愛、吉國元、なみちえほか。

会期:2026年3月13日~6月14日
会場:岐阜県美術館
住所:岐阜県岐阜市宇佐4‐1‐22
電話:058-271-1313
開館時間:10:00~18:00(3月20日・4月17日・5月15日は〜20:00)※展示室の入場は閉館の30分前まで
休館日:月(祝休日の場合は翌平日)
観覧料:一般 1000円 / 大学生 800円 / 高校生以下 無料

資生堂アートハウス所蔵作品展「小村雪岱 -江戸を夢見る-/工藝を我らにセレクション 2026 -美しく暮らす、四季のしつらえ-」(資生堂アートハウス

「資生堂アートハウス所蔵作品展 小村雪岱 -江戸を夢見る-」の展示風景より

 静岡県掛川市の資生堂アートハウスで「資生堂アートハウス所蔵作品展 小村雪岱 -江戸を夢見る- 工藝を我らにセレクション 2026 -美しく暮らす、四季のしつらえ-」が開幕した。会期は6月27日まで。今年6月に閉館する同館最後の展覧会となる。会場レポートはこちら

 小村雪岱は1887年、現在の埼玉県川越市生まれ。本名は安並泰助。東京美術学校(現東京藝術大学)日本画選科にて下村観山らに師事し、卒業後は伝統絵画の研究や模写に従事。泉鏡花の小説『日本橋』の装幀で脚光を浴び、日本画や挿絵、舞台美術など多彩なジャンルで才能を発揮した。1918年から23年にかけては資生堂意匠部にも在籍。現在も同社で使われている「資生堂書体」の基礎をつくったひとりとしても知られ、資生堂のデザイン文化に深い足跡を残している。

 本展では、雪岱の代名詞とも言える挿絵原画をはじめ、版画、装幀本、舞台装置の下図、そして資生堂時代の貴重な作品など、約140点を展示。江戸の風俗や抒情を独自のモノクロームの世界で描き出した雪岱の画業の全貌を紹介する。

会期:2026年3月12日~6月27日
会場:資生堂アートハウス
住所:静岡県掛川市下俣751-1
電話:0537-23-6122
開館時間:10:00~16:30 ※入館は閉館30分前まで
休館日:日、月、火、水
観覧料:無料

「VOCA 展 2026 現代美術の展望-新しい平面の作家たち」(上野の森美術館

戸田沙也加 語られざる者の残響 2025

 上野の森美術館で「VOCA 展 2026 現代美術の展望-新しい平面の作家たち」が開催される。

 VOCA展は、現代アートにおける平面の領域で、将来性のある若い作家の支援を目的に1994年より毎年開催している美術展。全国の美術館学芸員や研究者などの推薦委員が選出した40歳以下の作家に出品を依頼し、全国で活躍する作家たちにスポットをあてる。

 本展には新進気鋭の作家24名が出品。グランプリとなるVOCA賞には戸田沙也加の《語られざる者の残響》が決定したほか、VOCA奨励賞にソー・ソウエン、寺田健人、VOCA佳作賞に加藤千晶、倉敷安耶の作品が選出された。本展は、若い世代の作家が平面という条件と向き合い、新しい可能性を探る動向を反映している。

会期:2026年3月14日~3月29日
会場:上野の森美術館
住所:東京都台東区上野公園1-2
電話:03-3833-4191
開館時間:10:00~17:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日:無休
観覧料:一般 800円 / 大学生 400円 / 高校生以下無料

特別展「奈良のモダン〜美術をめぐる人々」(奈良県立美術館

志賀直哉邸 サンルームにて 昭和10年代 撮影提供=飛鳥園

 奈良県立美術館で「特別展 奈良のモダン〜美術をめぐる人々」が3月15日まで開催されている。

 本展では、明治時代以降、大正時代から昭和戦前期にかけて奈良に関わった美術家、研究者、文学者、美術行政家など、美術をめぐる人々の活動を紹介。奈良の自然や歴史的景観を背景に、文化人たちが往来し、交流を重ねながら地域文化の形成に関わってきた動向を取り上げる。

会期:2026年1月17日~3月15日
会場:奈良県立美術館
住所:奈良県奈良市登大路町10-6
電話:0742-23-3968
開館時間:9:00~17:00(入館は閉館30分前まで)
観覧料:一般 1200円 / 大学生 1000円 / 小中高生および18歳未満 無料