2026.2.9

「前橋国際芸術祭2026」が参加アーティスト/プロジェクトの第一弾を発表。蜷川実花 with EiM、渋谷慶一郎らが参加

群馬県前橋市で開催される新たなアートの祭典「前橋国際芸術祭2026」。その参加アーティストとプロジェクトの第一弾が発表された。

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 群馬県前橋市で開催される新たなアートの祭典「前橋国際芸術祭2026」(9月19日〜12月20日)。その参加アーティストとプロジェクトの第一弾が発表された。

 中心市街地の衰退が続いていた前橋は、2016年に未来に向けたまちづくりビジョン「めぶく。Where good things grow.」を策定。民間主導による都市再生が進められてきた。本芸術祭は、そのプロセスと呼応し、アートを通じて前橋の現在地と未来像を描き出す、2年に一度の国際芸術祭となる。

 この芸術祭では、現代アートを中心としながら、詩・音楽・映画・建築・リサーチなど多様な表現領域で活躍するアーティストを招聘。ミュージアムという展示空間に加え、商店街や路地、空きビル、公共空間など、前橋の日常風景そのものを舞台に、ウォーカブルなアート体験が創出される。

 参加アーティスト/プロジェクトの第一弾として発表されたのは、アレクサ・ハタナカ、和田彩花、ナイトウカツ、渋谷慶一郎、尾花賢一+石倉敏明、レア・エンベリ、蜷川実花、マイク・エーブルソン、石川直樹、吉開菜央、サム・フォールズ、S.プロスキー、山田紗子、最果タヒ+佐々木俊、海老原イェニ、山縣良和、白川昌生(駅家の木馬祭り)、田所淳(グーチョキパークラブ)、八木隆行(ya-gins)、前橋映像祭、STREET FURNITURE EXHIBITION、Bentena SHOP+SNARK Inc.、白井屋ホテル アートイルミネーション(残る20企画[予定]は5月下旬に発表)。

⽩井屋ホテル外観
まえばしガレリア

 例えば渋谷慶一郎は、サウンドインスタレーション《Abstract Music》を、再開発エリアのシャッター通りに社会実装する。作家自身の膨大なサウンドデータやAIによるリーディングをリアルタイムに組み合わせ、周囲の環境に融合し無限に変化・拡張するサウンドを展開。超自然的な音響空間と都市体験の異化の実現を試みる。

渋谷慶一郎 Abstract Music グラフィックデザイン=八木弊二郎

 蜷川実花は、科学者・アーティスティックディレクターの宮田裕章や、プロダクションデザイナーのEnzoらと結成したクリエイティブチーム〈EiM〉とともに参加。前橋市の中心市街地にあるオリオン通りの廃ビルを舞台に新作を発表する。

蜷川実花/EiM Breathing of Lives 2023 HOWZE Photo by Shinya Kigure

 ボストンから参加する視覚障害のあるアーティスト、S・プロスキーは、障害のイメージ変容と福祉を目指す企業・ヘラルボニーとの共同キュレーションによる「HERALBONY Art Prize 2024」において審査員特別賞を受賞した。本芸術祭では、前橋での長期にわたるアーティスト・イン・レジデンスを通して制作した作品を発表する。

S. Proski Trap Door 2022 Photo by Amanda Guerra 

 さらに、地域芸術祭ならではの企画として、地域コミュニティや教育機関、企業と連携しながら、制作・リサーチ・発表をまちなかで行う協働型のプログラムも多数展開される。

 芸術人類学者の石倉敏明とアーティストの尾花賢一が発表した《赤城山リミナリティ》は、山岳信仰の聖地として数多くの伝説をもつ赤城山へのリサーチがもととなった作品であり、2019年のアーツ前橋「表現の生態系」展にて発表された。今回はその続編として、さらに赤城山とその周辺の民俗についてリサーチを実施。現在は見えづらくなっている山とその裾野に暮らす人々のつながりを、アートを通して可視化していくという。

尾花賢一+石倉敏明 赤城山リミナリティ 2019 アーツ前橋 Photo by Shinya Kigure

 詩人の最果タヒは、グラフィックデザイナー・佐々木俊とともに、オリオン通りを舞台に「水と緑と詩のまち」を象徴する言葉のパブリックアートを制作・発表する。前橋出身の詩人・荻原朔太郎の精神を受け継ぐ最果は詩集『恋と誤解された夕焼け』で第32回萩原朔太郎賞を受賞しており、今回は前橋と最果の関係をさらに深化させる機会となるだろう。

最果タヒ 詩の加速 2020 グラフィックデザイン=佐々木俊 作撮影=丸尾隆一

 ほかにも同芸術祭では、様々な地域協働プログラムの実施が予定されており、第二弾のアーティスト/プロジェクト発表にも期待が高まる。

 ちなみに、前橋市のふるさと納税を活用することで、この「前橋国際芸術祭2026」を支援することも可能だ。