2025.11.26

クィア・アートの国際展「Spectrosynthesis」、2027年に東京都現代美術館で開催へ

アジアを中心にクィア・アートの歴史と現在を可視化してきた国際展「Spectrosynthesis」が、2027年に東京都現代美術館で開催される。

東京都現代美術館 Photo by Kenta Hasegawa

 香港出身のコレクター/アートパトロン、パトリック・サンが設立したサンプライド財団による国際的なクィア・アート展シリーズ「Spectrosynthesis(スペクトロシンセシス)」が、2027年2月6日〜5月16日の会期で東京都現代美術館にて開催される。

 「Spectrosynthesis」シリーズは、アジアにおけるクィア・アートの歴史と現在を可視化し、多様性および平等の推進を目的とした国際プロジェクトとして高い評価を得てきた。2017年の台北当代芸術館での初回展を皮切りに、2019〜20年のバンコク文化芸術センター2022〜23年の香港・大館コンテンポラリーへと続き、2026年3月からはソウルのアートソンジェセンターで第4回展が開催予定である。

 今回、東京都現代美術館と協働して行われる第5回展では、日本および周辺アジア地域のLGBTQ+コミュニティを取り巻く社会状況に光を当てつつ、国際的な視野からジェンダーやセクシュアリティをめぐる現代的課題を掘り下げる。展示はサンプライド財団のコレクションを中心に、国内外のアーティストによる借用作品や本展のために制作される新作によって構成される予定だという。

 サンプライド財団の創設者でありエグゼクティブ・ディレクターのパトリック・サンは、「第5回展を東京都現代美術館とともに開催できることを大変嬉しく思います。MOTが現代アートの振興と次世代育成に継続的に取り組んでいる点を深く尊敬しており、日本のクィア・アーティストおよびその協働者の声を広く届ける貴重な機会になると考えています」とコメントしている。

 いっぽう、東京都現代美術館副館長の渡邉努は、「当館はオープンでインクルーシブな場づくりを大切にしており、多様な価値観や表現と向き合うことが現代美術館の重要な使命です。本展で紹介される多彩な作品を通じ、今日の社会におけるジェンダーやセクシュアリティに関する状況について考える契機を提供できれば」とのコメントを寄せている。

 アジアにおけるクィア表現の可視化と国際的対話を牽引してきた「Spectrosynthesis」シリーズ。初の日本開催となる今回の展覧会が、国内にどのような新たな議論や広がりをもたらすのか、期待が高まる。