2025.7.29

金川晋吾の写真展「祈り/長崎」、原爆投下80年の8月9日から長崎市内各所で開催

2024年に刊行された金川晋吾の写真集『祈り/長崎』。本作の写真展「祈り/長崎」が8月9日から、長崎市内の3会場で開催される。

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 2024年に刊行され、第49回木村伊兵衛賞にノミネートされた金川晋吾の写真集『祈り/長崎』(書肆九十九合同会社)。本作の写真展「祈り/長崎」が、原爆投下より80年となる8月9日より、長崎市内の3会場で開催される。会期は9月27日まで。

 金川は1981年生まれ。東京藝術大学大学院に在学中の2008年より父親の撮影を続け、16年に写真集『father』(青幻舎)を刊行。もっとも身近な他人である父親の姿を通して、社会制度や家族制度では一言で括ることのできない人間の存在について問いかけたことで話題を集めた。また、23年に刊行した『長い間』(ナナルイ)は、伯母との関係を主題としている。

 『祈り/長崎』は、平和祈念像を中心とした平和公園に関連するもの、現地を歩くと頻繁に目にすることになるマリア像やキリスト像、自宅にある祭壇を前にしたカトリック信徒など、何らかのかたちでキリスト教信仰に関わっている人たちや、関連の建物、場所を撮影した写真集。洗礼を受けた金川自身の信仰の問題と向き合うように、金川自身のポートレイトも挟み込まれる。

 本展は2015年から撮影が始まった『祈り/長崎』にゆかりのある場所が会場となる。写真集未収録の写真の展示や、金川が撮影した場所をめぐり歩くツアーイベントも同時開催される。企画と選定はアーティストで書肆九十九合同会社代表の小田原のどかが務める。

 会場となるのは浦上キリシタン資料館、ひとやすみ書店、PEACETOWN COFFEE。回帰初日の8月9日には「祈り/長崎」の撮影地を、金川と小田原の案内でめぐる「まちあるきイベント」が開催される。

 また、8月10日には出島の書店「ブックスライデン」で金川、小田原、新木武志(長崎原爆の戦後史をのこす会)によるトークイベントが19時〜21時に、11日には浦上キリシタン資料館で金川と船井サナミ(「長崎さるく」「長崎巡礼センター」ガイド)による「祈り/長崎」の撮影背景を知る茶話会が14時〜16時に行われる。トークイベントは参加費1500円、茶話会は無料。いずれのイベントも予約制となっている。

 なお、本展は広島の加納実紀代資料室「サゴリ」併設ギャラリーで巡回展を実施。会期は9月29日〜11月24日。入場無料。要予約で開館時間はサゴリに準ずる。