国宝7軀が集結。奈良・興福寺北円堂の空間を再現する特別展「運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」が東京国立博物館で開催へ
奈良・興福寺の北西に位置する北円堂。その中心に安置された弥勒如来坐像をはじめとする国宝の仏像群が今秋、東京国立博物館に集結する。

東京国立博物館 本館特別5室にて、特別展「運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」が開催される。会期は9月9日〜11月30日。
本展は、通常は非公開である奈良・興福寺北円堂の鎌倉期の再建当時の空間を、約800年の時を経て東京で再現するもので、国宝指定を受ける仏像7軀を一堂に展示する稀有な機会となる。

興福寺北円堂は、奈良時代の高官・藤原不比等の一周忌追善供養のため、元明・元正天皇の発願によって721年に建立されたと伝わる。平城京の造営を推進した不比等の霊を慰める場として、都を一望できる伽藍西北隅の一等地に建てられた。その後、幾度もの戦火や災害によって焼失し、現在の建物は鎌倉時代の1210年頃に再建されたもので、現存する興福寺堂宇のなかでは最古の建築である。建築様式は奈良時代の特徴を伝える和様建築の傑作であり、日本に現存する八角円堂の中でももっとも優美と賞賛されている。

本展では、北円堂の本尊である弥勒如来坐像と、両脇に控える無著・世親菩薩立像、さらに北円堂に安置されていた可能性の高い四天王像の計7軀の国宝仏を、ひとつの空間に再び集結。とくに弥勒如来坐像の寺外公開は約60年ぶりであり、修理後としては初の公開となる。