2025.5.23

60年以上の活動をたどる。「日比野克彦 ひとり橋の上に立ってから、だれかと舟で繰り出すまで」展が開催

茨城・水戸にある水戸芸術館現代美術ギャラリーで「日比野克彦 ひとり橋の上に立ってから、だれかと舟で繰り出すまで」展が開催。会期は7月19日~10月5日。

種は船・明後日丸 2007/2025 制作現場 2025 撮影:仲川あい
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  茨城・水戸にある水戸芸術館現代美術ギャラリーで、60 年以上の日比野克彦による活動の変遷をたどる「日比野克彦 ひとり橋の上に立ってから、だれかと舟で繰り出すまで」展が開催される。会期は7月19日~10月5日。

 日比野は1958年岐阜市生まれ。東京藝術大学大学院在学中にダンボール作品で注目を浴び、1982年に日本グラフィック展大賞を受賞。その後国内外で多数の展示を行うほか、舞台美術や芸術祭のプロデュース、各地域や福祉に関するアートプロジェクトなど、様々な分野で活動を行っている。現在は、東京藝術大学長、岐阜県美術館館長、熊本市現代美術館館長にも就任している。

 本展では、少年時代から現在まで60年以上の日比野による活動の変遷を、170点以上の作品を通してたどる。幼い頃に遊んだ積み木の「色」、橋の上で実感した「ひとり」、自分らしい表現が開花した小中学生時代など、具体的な幼少期のエピソードを通じて日比野の創作の原点を知ることができるとともに、「手つき」や「振る舞い」という切り口から多様な活動を深堀り、通底する日比野の特性を浮かび上がらせる展示構成となる。

オートバイ 1984 撮影:竹内裕二

 また本展では、取材をもとに制作した絵本やマンガを通じて、日比野によるプロジェクトの醍醐味に迫る。例えば、新潟・莇平での「明後日朝顔プロジェクト」や岐阜・長良川での「こよみのよぶね」を絵本作家でイラストレーターの大橋慶子が絵本化。また、岐阜県美術館と熊本市現代美術館での日比野にまつわる様々な出来事を、マンガ家・宇佐江みつこが4~8コマ漫画に描き下ろす。さらに生誕から現在までの日比野克彦の形成過程や活動変遷を展示と連動して俯瞰する年譜は、関係者や日比野本人のコメントを基につくられ、多角的に日比野を捉えられる構成となる。

 なお本展を記念した関連プログラムも多数展開される。アーティストトークや公開制作、橋をモチーフとした創作ワークショップなど。

 幼い頃、予期せず一人ぼっちになった時に橋の上で「ひとり」を実感し、絵を描くのは「だれかと」会いたい、コミュニケーションしたいからだと語る日比野。展示や関連プログラムを通じて、「ひとり」から「だれかと」へ、つながりを求めていく日比野による活動の変遷をたどる機会となるだろう。

私が初めて立ち止まったのは萱場の橋の上でした 2002 写真提供:HIBINO SPECIAL