2025.5.5

ジャン=リュック・ゴダール最後の長編を体感。「感情、表徴、情念 ゴダールの『イメージの本』について」展が新宿・王城ビルで開催へ

ジャン=リュック・ゴダール監督最後の長編『イメージの本』を再構成した展覧会「感情、表徴、情念 ゴダールの『イメージの本』について」が、7月4日より新宿・歌舞伎町の王城ビルにて開催される。

ドイツ・ベルリンでの開催(2022)の展示風景より
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 ジャン=リュック・ゴダール監督の最後の長編作品『イメージの本』(2018)を映像インスタレーションとして再構成する展覧会「感情、表徴、情念 ゴダールの『イメージの本』について」が、7月4日〜8月31日に新宿・歌舞伎町の王城ビルで開催される。

 本展は、カンヌ映画祭で史上初の「スペシャル・パルムドール」を受賞した映画『イメージの本』をもとに、ゴダールの視点で世界を再体験する試みだ。『イメージの本』は、20世紀以降の歴史、戦争、宗教、芸術といったテーマを、膨大な映画引用によるコラージュで振り返る5章構成の作品であり、本展ではその各章をさらに断片化。映像の順序を固定せず、会場内に多数設置されたスクリーンで投影・展示することで、映画上映の時系列的な束縛から解放された、視覚的・空間的体験を実現する。

メインビジュアル

 来場者は、断片化された映像や音のなかを自由に移動しながら、ゴダールの思考と世界観を自らの感覚でたどることができる。往年の映画ファンのみならず、ゴダールを知らない若い世代にも、彼の芸術性に触れる新たな入口を提供する展覧会となる。

 本展のアーティスト兼キュレーターを務めるのは、晩年のゴダールと『ゴダール・ソシアリスム』(2010)以来タッグを組み続けたスイスの映画作家、ファブリス・アラーニョだ。『イメージの本』のプロデューサーでもあるアラーニョは、この展覧会は『イメージの本』の編集室を拡大し、観客が自ら映画のプロセスを選びながら、森を散策するように世界を巡る体験を目指したと語っている。

ファブリス・アラーニョ

 これまでドイツ、スイスなどで開催され、各地の会場特性を生かした展示が高く評価されてきた本展。東京展の会場となる新宿・王城ビルは、歌舞伎町の歴史を60年以上見守ってきた象徴的な存在であり、独特の空間とゴダール作品との対話にも期待が高まる。

 なお、6月からのチケット一般発売に先駆け、4月24日よりクラウドファンディングがGREEN FUNDINGでスタートした。世界で1500部限定のゴダール脚本ノートのレプリカブックをはじめ、展覧会をさらに楽しめるリターンも用意されている。ゴダールの芸術世界を極限まで拡張した本展に、ぜひ注目したい。

ドイツ・ベルリンでの開催(2022)の展示風景より