Nerhol 種蒔きと烏 Misreading Righteousness

　埼玉県立近代美術館で「Nerhol 種蒔きと烏 Misreading Righteousness」が開催される。

　Nerhol（ネルホル）は、グラフィックデザイナー・田中義久（1980〜）と彫刻家・飯田竜太（1981〜）により2007年に結成されたアーティストデュオだ。

　人物を連続撮影した写真の束に彫刻を施した初期のポートレート作品で注目を集めたNerholは、他者の思想や異なる分野領域とも大胆に接続しながらその関心と対象を拡げ、表現を深化させている。写真と彫刻のみならず、自然環境と人間社会、可視性と不可視性といった様々な境界を往還し紡ぎ出される表現は、幾重に張り巡らされた複数の関係を紐解きつなぐ。

　その表現活動の歩みを振り返る大規模個展「Nerhol 水平線を捲る」（千葉市美術館、2024）に続き開催される本展では、最新作を中心に未発表作を加えた約80点による構成で、Nerholの多層的な探究の現在地を紹介する。

　本展が掲げるタイトル「種蒔きと烏 Misreading Righteousness」には、物事や行為の一義的な確かさに問いを投げかけ、そこに潜在する意味や覆い隠された関係を注視してきたふたりの一貫した姿勢が反映されている。