EXHIBITIONS

ふとした点景 —— 岡崎和郎

撮影:村松桂(株式会社カロワークス)

 慶應義塾ミュージアム・コモンズ(KeMCo)で「ふとした点景 —— 岡崎和郎」が開催されている。

 同館は、美術作品や学術資料、あるいは様々なオブジェクトをひとつの展示台で紹介する小さな展覧会シリーズ「ふとした点景」をスタートした。

 会場は、屋外の風景に開けた階段踊り場のスペース。「ふとした点景」とは、階段の踊り場で展示されたオブジェクトと、それを含みこむ同館の吹き抜け空間の景色を指している。

 展示台の上に現れるのは、美術作品だけでなく、学術資料や何かの道具が展示されることもある。展示室で行われる展覧会だけでは紹介しきれない、大学のコレクションや学術資料に光をあてる企画となっている。

 第1回目は、現代美術家・岡崎和郎の作品「御物補遺(ぎょぶつほい)」を展示。オブジェをめぐる作品を制作してきた岡崎の仕事を、2025年の1年間にKeMCoで開催する展覧会にあわせ、4期に分けて紹介する。

 岡崎和郎(1930〜2022)は岡山県岡山市生まれ。早稲田大学で美術史を学ぶ。1958年より読売アンデパンダン展に出品し、作家としての活動を始める。初期のオブジェでは「内部」を起点に、外と内、表と裏、虚と実をめぐる問いかけを示し、身体の痕跡といった人間全般へと対象を広げた。1963年より、部分を通して全体を見通す造形思想「御物補遺」を確立し、生涯にわたり多彩な制作を行った。倉敷市立美術館(1997)、奈義町現代美術館(2001)、神奈川県立近代美術館 鎌倉(2010)、千葉市美術館(2016)、北九州市立美術館(2016-2017)などで個展を開催。