勅使河原宏　SA NI HA｜さには

　草月会館1階 草月プラザ「天国」で、勅使河原宏の生誕100周年記念プロジェクト「Hiroshi Teshigahara : Visionary Worlds」開幕展として「SA NI HA｜さには」が開催される。

　本展は、2027年に生誕100年を迎える勅使河原宏（1927〜2001）の記念行事の第一章として開催。陶芸と書の筆跡という内面性と創造性が色濃く表れた領域に焦点をあて、そこから勅使河原の芸術哲学の核心が浮かび上がっていく。

　その革新性は、いまなお世代を越えて共鳴し続けており、生誕100年の節目の年に向けて本プロジェクトを始動し、勅使河原の芸術活動の全体像に光をあて、その現代的意義を再発見することが目指される。

　本プロジェクトは、戦後東京における前衛芸術の拠点「草月アートセンター」の精神を受け継いでいる。草月アートセンターは、国内外のアーティストが日本で初めて作品を発表・制作する場ともなった出会いと革新の空間であった。勅使河原はそのディレクターとして「誰もが自由に表現し、対話できる場を創造する」ことを理念に掲げ、活動を牽引。

　この企画の使命は、その理念を未来へとつなぎ、次世代に勅使河原の挑戦的な芸術世界への扉を開くことにあるとのこと。映画、絵画、生花、竹のインスタレーション、陶芸、舞台美術、書など、多岐にわたる表現を通して展開された勅使河原の生涯の実験は、芸術と社会、個と集団、自然と人工といった関係性を照らし出しながら、いまもなお人々に問いを投げかけ続けている。

　草月プラザ「天国」という象徴的な空間で開催される本展「SA NI HA｜さには」は、生花と陶というふたつの領域を起点に、イサム・ノグチの「庭」と対峙する勅使河原の造形的思索の軌跡をたどる試みとなる。イサム・ノグチの石庭と響きあうように配置された陶作品群、越前和紙に記された直筆の「書」によって、自然と人工、静と動、素材と精神が交錯する場が立ち上がる。