EXHIBITIONS

益永梢子「このあたり、その近く」

2025.03.22 - 04.20

益永梢子 青と呼ばれるその色の話を 2025 キャンバスにダーマト、アクリル絵具 53 × 46.3 × 3.8 cm

 Maki Fine Artsで、益永梢子による個展「このあたり、その近く」が開催されている。

 益永梢子は1980年大阪府生まれ。絵画を起点として、多様な手法により作品を制作。周囲の環境・空間との関係性を重視する作品群は、可変的で置換可能な性質を持つ。

 本展で発表される新作約15点は、2023年の個展「その先の続き」(Maki Fine Arts)で発表された作品と同系列に位置付けられながら、さらに発展させたものとなっている。画面に絵具の「膜」を生成し、その断片を剥がし折り曲げるといった行為による、造形的な絵画である。支持体の領域から解放された絵具の断片が躍動し、表と裏、内と外が交差する瞬間を留めながら、緊張感のある画面をつくり出す。

 その制作プロセスでは、それぞれの作品は、単一ではなく、隣りあった数点を付け、接合した画面を横断的に描写、天地を回転させ再び接合して描くといった行為が繰り返された。その結果として、イメージ(線と色面)が部分的につながりあい、連結された箇所もあれば、途切れた痕跡を別の作品の画面に垣間見ることができ、その作品群は一体として連続的なつながりを特徴としている。これまで益永は制作に際して、線から色彩という順序で描くという独自のルールを採用してきた。新作は、その順序を意図的に逆転させたうえで、新たな所作の実践によるものが含まれる。