2025.8.24

映画『大長編 タローマン 万博大爆発』が全国ロードショー。昭和100年の世界を舞台に「岡本太郎のことば」を伝える

NHK Eテレにて放送されていた1話5分の岡本太郎×特撮番組『TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇』。その初となる映画作品『大長編 タローマン 万博大爆発』の全国ロードショーが8月22日より始まった。作品の紹介と舞台挨拶の様子をお届けする。

文・撮影=三澤麦(ウェブ版「美術手帖」編集部) オフィシャル写真提供=NHKエデュケーショナル

映画『大長編 タローマン 万博大爆発』場面写真
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昭和100年の世界を舞台に「岡本太郎のことば」を伝える

 「1970年代に放送された特撮ヒーロー番組」という体裁のもと、岡本太郎のことばと作品をモチーフに制作された、岡本太郎×特撮作品『TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇』(監督・脚本:藤井亮)。NHK Eテレにて放送されていた1話5分の番組が、大長編映画作品として8月22日に全国ロードショーをスタートさせた。

ポスタービジュアル

 「TAROMAN(タローマン)」シリーズは、全編を通して「なんだこれは!」「でたらめをやってごらん」といった岡本太郎の信念やそのことばを現代に伝えるべく企画された作品だ。1970年に開催された大阪万博でテーマ展示プロデューサーに就任した岡本は、「技術の進歩が社会を豊かにし人を幸せにする」という万博メッセージにノーを突きつけ、モダニズムな雰囲気であふれる会場の中心に『太陽の塔』をつくりあげた。

 今回映画の舞台となるのは、「昭和100年の世界」。70年万博の開催から55年を経て開催されている大阪・関西万博のタイミングにあわせ、テレビ版では語られなかった「岡本太郎が抱いた万博への想い」をテーマとして製作されたものとなる。

あらすじ

時は1970年。
万博開催に日本がわきたっていたその時、
2025年の未来から
万博を消滅させるためにやってきた
恐ろしい奇獣が襲いかかる!

でたらめな奇獣に対抗するには、でたらめな力が必要。
しかし、未来の世界は秩序と常識に満ち溢れ、
でたらめな力は絶滅寸前になっていた。

CBG(地球防衛軍)は万博を守るため、
タローマンと共に未来へと向かう!

(映画『大長編 タローマン 万博大爆発』公式サイトより引用)
映画『大長編 タローマン 万博大爆発』場面写真
映画『大長編 タローマン 万博大爆発』場面写真
映画『大長編 タローマン 万博大爆発』場面写真
映画『大長編 タローマン 万博大爆発』場面写真

舞台挨拶には藤井亮監督とタローマンが登場

 公開後初の土曜日には舞台挨拶も行われ、監督・脚本の藤井亮とタローマンが登場。藤井とMCで繰り広げられた製作トークについて、その一部を紹介する。

──岡本太郎×特撮という発想はどこから生まれたのでしょうか?

 岡本太郎のことばや作品を伝える番組をつくりたいというNHKのオーダーがあり、制作を引き受けることになりました。ドキュメンタリーなどはつくられ尽くしているので、どうしようかと考えながら万博記念公園に足を運びました。そこで『太陽の塔』を見て、「動いたほうがおもしろいだろう」と思ったのがきっかけです。その後NHKには特撮も含めた複数案を提案したのですが、すぐに「タローマン」の制作が決まりました。

──映画化のオファーが来たときはどう思われましたか?

 元々1話5分で放送していた作品なので、5分以上観ると脳が焼き切れるのではないかと……。しかし、やるのであれば今年の大阪・関西万博にあわせた作品にしようと考えました。

舞台挨拶の様子。藤井監督とMCのトーク中、自由に過ごすタローマン
舞台挨拶の様子。藤井監督とMCのトーク中、自由に過ごすタローマン

──映画内では1970年(昭和45年)と2025年(昭和100年)を行き来する描写があります。注目ポイントがあれば教えてください。

 タローマンは「1970年代に放送された特撮ヒーロー番組」という体裁があるため、昔の映画特有のフィルムチェンジを再現したりしています。全カット手抜きをしていないので楽しんでほしいですね。音響も現代は5.1チャンネルが主流ですが、あえて2.0チャンネル(ステレオ)で収録しています。

──映画内に登場する岡本太郎作品の選定はどのように行われたのでしょうか?

 どちらかと言えば、岡本太郎が残したことばのなかでも、とくに伝えたいものをピックアップしてから、それにあわせて作品の選定も行いました。

──観客の皆さんやこれから鑑賞される皆さんにぜひメッセージをお願いいたします。

 この映画はNHK発ということもあって、テレビCMなどで流れることがありません。ですから、ご覧いただいた際にはぜひ広めていただけますとありがたいです。

左から、タローマン、藤井亮

 なお同作は、世界三大ファンタスティック映画祭のひとつである「シッチェス・カタロニア国際映画祭」と「ストラスブール・ヨーロピアン・ファンタスティック映画祭」への出品が決定。海外の映画祭においても話題を呼んでいる。

©️ 2025『大長編 タローマン 万博大爆発』製作委員会