Chim↑Pom from Smappa!Group「穴の中の穴の中の穴」

　ANOMALYで、Chim↑Pom from Smappa!Groupによる個展「穴の中の穴の中の穴」が開催されている。

　Chim↑Pom from Smappa!Groupは、現代社会のリアルに介入し、ユーモラスでありながら切迫感を帯びたプロジェクトを実践し、作品を制作・発表しているアーティスト・コレクティブ。その活動はたんなる批判や風刺にとどまらず、社会が周縁化してきた領域に批評的視線を向け、不可視化されたものに焦点を当てる。

　本展は、都市のインフラに口を開けるマンホールや下水の穴といった多層的な「穴」と、宇宙デブリなどの「屑や瓦礫」を主題としている。「穴」がしばしば「奈落」のメタファーとして機能してきたこと、また惑星都市理論において都市が送電線やパイプライン（チューブ≒穴）によって結ばれていること、それを宇宙デブリなどの廃棄物と重ね合わせて捉えることは、これまでのChim↑Pom from Smappa!Groupの実践の延長線上に位置づけることができるかもしれない。

　本展で展示される作品のひとつである、新たな《ビルバーガー》における、ビルの構造体・スラブに挟まった廃棄物（都市空間の「穴」に積み重なった廃棄物）は、社会の周縁や日常の隙間で廃棄される「不要物」となった存在を可視化し、繰り返されるスクラップ・アンド・ビルドの象徴となる。

　さらに今回の展示では、《ビルバーガー》と同様に、日常の細部に潜む微視的な「残骸」や「穴」を象徴化する作品である《垢太郎》の新作が発表。世界中のアーティストたちから収集された、オーガニックな垢から生成される《垢太郎》は、壮大な宇宙とは逆に、作品世界をミクロの方向に拡張し、鑑賞者に不可視化されてきた物質への批評的視線を呼び起こす。

　本展は、Chim↑Pom from Smappa!Groupの実践を通じて、「不要」や「欠如」、「不可視」が孕む想像力のポテンシャルを批評的に提示するものとなっている。