「大正イマジュリィの世界」展(SOMPO美術館)開幕レポート。“紙の宝物”が語る青春
印刷技術の革新が進んだ大正時代の独特なデザインやイラストレーションの魅力を多角的に紐解く展覧会「大正イマジュリィの世界 デザインとイラストレーションの青春 1900s―1930s」が、東京・新宿のSOMPO美術館でスタートした。会場の様子をレポートする。

明治末期から昭和初期にかけての日本は、印刷技術の飛躍的な進歩とともに、グラフィックデザインやイラストレーションの分野において豊かな視覚文化を育んだ時代である。その魅力を多角的に紐解く意欲的な展覧会「大正イマジュリィの世界 デザインとイラストレーションの青春 1900s―1930s」が、東京・新宿のSOMPO美術館で開幕した。会期は8月31日まで。
本展は、2010年に渋谷区立松濤美術館で開催された展覧会を起点とし、全国を巡回してきたシリーズの最新形である。監修を務めたのは、書物と刷物をこよなく愛し、文学・美術・音楽を横断する近代の表現世界を探究し続けた故・山田俊幸。担当学芸員は、SOMPO美術館 上席学芸員の中島啓子が務める。


展覧会では、山田が長年にわたり蒐集してきたコレクションのなかから、大正時代を中心とする約330点を精選。藤島武二、杉浦非水、竹久夢二、高畠華宵、蕗谷虹児、古賀春江らの装幀、挿絵、雑誌、ポスターなどが一堂に展示されている。
会場構成は3部からなり、第1部「新しい芸術と抒情」、第2部「さまざまな意匠」、第3部「流行と大衆の時代」と題されている。また作品は「大正イマジュリィの作家たち」「さまざまな意匠」という2つの視点から整理されており、個別の作家による創造性と、匿名性の高いデザイン潮流の双方から、この時代の“イマジュリィ(=視覚表現)”を読み解く構成となっている。