「ゴジラ生誕70周年記念 ゴジラ・THE・アート展」(森アーツセンターギャラリー)レポート。「ゴジラとは、何か」に現代美術からアプローチ
映画『ゴジラ』の公開70周年を記念し、国内外のアーティストがゴジラをテーマに作品を発表する展覧会「ゴジラ生誕70周年記念 ゴジラ・THE・アート展」が、東京・六本木の森アーツセンターギャラリーで開催されている。会期は6月29日まで。

「ゴジラとは、何か。」
映画『ゴジラ』の公開70周年を記念し、国内外のアーティストがゴジラをテーマに作品を発表する展覧会「ゴジラ生誕70周年記念 ゴジラ・THE・アート展」が、東京・六本木の森アーツセンターギャラリーで開催されている。会期は6月29日まで。
1954年、東宝の特撮映画として生まれた『ゴジラ』。第五福竜丸の水爆実験被爆事故や戦後日本の経済復興の反動としての環境汚染への警鐘を背景に制作されたこのパニック・ムービーは、日本の自然信仰の神話的要素をも含み、数々のシリーズが続いた。その後、アメリカでも映画化され、また2016年には樋口真嗣監督の『シン・ゴジラ』が、2023年に山崎貴監督による『ゴジラ-1.0』がされたことも記憶に新しい。

突然、深海で目覚め、都市を破壊してふたたび海に帰っていくゴジラは、人間にとっては最悪の存在である。いっぽうで、その破壊の風景は人々にカタルシスをもたらし、ときに蛾型の怪獣・モスラらと協働して複数の首を持つ怪獣・キングギドラを退治するなど、どこか親しみのあるものとしても愛され続けている。それぞれの時代を映し、人間社会になんらかの「契機」を提示するゴジラとはいったい何なのか。

本展では、自身の生きる時代を鋭敏に感じ取り造形にするアーティストたちが、映画の枠を超えて、絵画、彫刻、写真、パフォーマンスとしてゴジラを表した作品が並び、個々の記憶や経験とともに、様々な「ゴジラ」をかたちづくる要素を提示してくれる。ゴジラとアートが融合したジオラマや、本展のために制作された特別映像も見どころのひとつだ。
