「横尾忠則 連画の河」(世田谷美術館)開幕レポート。「絵を描くことにはとっくの昔に飽きている」
東京・世田谷の世田谷美術館で、横尾忠則による新作個展「横尾忠則 連画の河」が開幕した。会期は6月22日まで。

様々な手法と様式を用いて、多岐にわたるテーマの絵画を生み出し続けるアーティスト・横尾忠則。その個展「横尾忠則 連画の河」が世田谷美術館でスタートした。会期は6月22日まで。担当学芸員は塚田美紀(世田谷美術館 学芸員)。
横尾は1936年兵庫県生まれ。72年にニューヨーク近代美術館で個展開催。その後もパリ、ヴェネツィア、サンパウロの世界3大ビエンナーレに招待出品。アムステルダムのステデリック美術館、パリのカルティエ財団現代美術館、東京都現代美術館、東京国立博物館など、世界各国の美術館で多数の個展が開催される。直近の2023年には東京国立博物館での大規模な新作個展「横尾忠則 寒山百得」(2023年9月12日~12月3日)が、そして現在はグッチ銀座 ギャラリーにて「横尾忠則 未完の自画像 - 私への旅」が開催されているなど、88歳となったいまもなお精力的に活動を続けている。
本展でメインとなるのは、2023年4月からつい先日の25年2月までに描かれた新作64点と、横尾忠則現代美術館が所蔵する《記憶の鎮魂歌》(1994)の計65点だ。新作のお披露目の場としても注目される本展について、担当学芸員の塚田は次のように開催経緯を語った。
「東博での『寒山百得』展以降、まだやっていないことに挑戦したいという横尾先生のご意志のもと企画はスタートした。その挑戦とは、“自由人であること”に囚われてしまった『寒山百得』からの脱却であり、テーマにとらわれずに描くということ。この試みに、世田谷美術館はついていかせていただく気持ちで2年間並走した」。