2025.11.19

アート・バーゼル香港2026がプログラムの概要を発表。片岡真実や徳山拓一らが「エンカウンターズ」を共同キュレーション

アート・バーゼル香港が、2026年版の参加ギャラリーやプログラムの主要情報を発表した。41の国と地域から240ギャラリーが参加し、32ギャラリーが初出展となる。

アート・バーゼル香港2025 Courtesy of Art Basel
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 2026年3月27日〜29日に開催されるアート・バーゼル香港が、参加ギャラリーおよび主要プログラムのハイライトを発表した。

 来年のフェアには41の国と地域から240のギャラリーが参加し、そのうち32ギャラリーが初出展となる。ア・ライトハウス・カナタ(東京)、The Commercial(シドニー)、Pilevneli(イスタンブール)、Uffner & Liu(ニューヨーク)、Galería Casado Santapau(マドリード)、1 Mira Madrid / 2 Mira Archiv(マドリード)など、多様な地域背景をもつ新規出展者が加わり、各地域の文脈を反映した新たな視点をフェアにもたらす。

 大型インスタレーションやパフォーマンスを紹介する「エンカウンターズ」セクターでは、今回初めて共同キュレーション体制が導入される。森美術館館長の片岡真実がリードおよびアドバイザーを務め、M+のイザベラ・タム、ジャカルタ拠点のキュレーターであるアリア・スワスティカ、森美術館シニアキュレーターの徳山拓一が参加。アジア各地域の多様なキュレーション観を結集し、より大胆かつ多層的なプレゼンテーションが期待される。

アート・バーゼル香港2025 Courtesy of Art Basel

 次回から新設されるセクター「Echoes(エコーズ)」は、過去5年以内に制作された作品に焦点を当てた企画で、10のキュレーティッド・ブースで構成される。各ブースには最大3名のアーティストが参加し、現在進行形の芸術実践を提示する。

 ハイライトとしては、Max Estrella(マドリード)によるティファニー・チュンの刺繍地図作品や、ミラー・ラゴスによる書籍を素材とした彫刻シリーズ、Double Q Gallery(香港)によるポーランド人アーティスト、ナタリア・ザウスカの空間インスタレーションなどが挙げられる。

 また、市内各所で展開されるパブリックプログラムも継続され、無料上映による「フィルム」やトークイベント「カンバセーションズ」、文化施設との協働企画が予定されている。

アート・バーゼル香港2025 Courtesy of Art Basel

 フィルムプログラムは、香港のメディア・アートの先駆者として知られるアーティスト、エレン・パオが担当し、アーティスト自身が本プログラムをキュレーションするのは初めての試みとなる。カンバセーションズでは、インドネシア・ジャカルタのMACAN美術館館長ヴィーナス・ラウがゲストキュレーターとして登場する。

 さらに、UBSの特別協賛により、アート・バーゼルとM+による共同コミッションは5年目を迎える。2026年は、パキスタン系アメリカ人アーティスト、シャジア・シカンダーによる映像作品《3 to 12 Nautical Miles》がM+ファサードで上映される予定だ。

 デジタル・アートに焦点を当てた新企画「Zero 10」は、OpenSeaの支援のもと、12月のアート・バーゼル・マイアミ・ビーチでの初開催に続き、香港で2回目の展開となる。国際的なアーティスト、スタジオ、ギャラリー、テック企業が参加し、急速に進化するデジタルアート領域の制作・収集環境を支援する取り組みとして期待される。

アンジェル・シヤン・ルー Courtesy of Art Basel

 アート・バーゼル香港ディレクターのアンジェル・シヤン・ルーは、「2026年のアート・バーゼル香港は、香港がアジアの文化的ハブとしての地位をさらに確固たるものにするフェアになります」と述べ、無税制度や自由港としての歴史、物流の利便性、多言語性、そして国際的なネットワークを強調しつつ、「アート・バーゼル香港は単なるアートフェアではなく、創造性と文化が持続的なアート市場を形成する生きたエコシステムです」とコメントしている。