アート・ジャカルタ2025レポート。東南アジア最大市場の現在地
世界最大の群島国家であり、東南アジア最大の経済規模を誇るインドネシア。同国はいま、新興アートマーケットとして国際的な注目を集めている。10月3日〜5日に首都ジャカルタで開催された第15回「アート・ジャカルタ」の実像をレポートする。

世界最大の群島国家であり、人口は世界第4位。東南アジア最大の経済規模を誇るインドネシアは、いま新興アートマーケットとしても注目を集めている。
人口の平均年齢は約30歳と若く(日本は約49歳)、300以上の民族が共生する多文化社会。このダイナミズムと多様性は、文化・芸術分野にも色濃く反映されている。UBSとアート・バーゼルが2024年に発表した「The Art Basel and UBS Survey of Global Collecting」によると、2023年にインドネシアの富裕層が美術品・装飾芸術・アンティークに支出した中央値は2万9000米ドルであり、日本の2万米ドルを大きく上回っている。この数字は、同国のアートマーケットの拡大とコレクター層の成長を象徴していると言えるだろう。
インドネシアの著名なコレクターとして知られるのが、2022年に逝去した華僑の実業家ブディ・テックである。彼は2014年に上海で「Yuz Museum」を設立し、インドネシア発のコレクターとして国際的な影響力を持った人物だった。また、実業家のハリアント・アディコエソエモは、2017年にインドネシア初の現代美術館「MACAN(Museum of Modern and Contemporary Art in Nusantara)」をジャカルタに開館。アンディ・ウォーホルやキース・ヘリング、バーバラ・クルーガー、草間彌生、奈良美智といった国内外のアーティストの作品を収蔵し、広く注目を集めている。
こうしたアートマーケットの成長を背景に、今年10月3日〜5日、東南アジアでもっとも歴史あるアートフェアのひとつ、第15回「Art Jakarta(アート・ジャカルタ)」がジャカルタ北部のJIExpo Kemayoranで開催された。会場には、インドネシア国内外から75のギャラリーが集結。ジャカルタを拠点とするGajah GalleryやROHといったパワーハウスに加え、ベルリンのEsther Schipper、東京のKaikai Kiki Galleryが初出展を果たすなど、国際色豊かなラインナップとなった。










