2026.10.11

法廷画家としても活躍するアーティスト・松元悠の個展が黒部市美術館で開催。見えないものへの想像力を喚起

法廷画家としても活躍するアーティスト・松元悠の個展「松元悠 イメージのあなた」が富山県の黒部市美術館で開催される。会期は10月10日〜12月20日。

松元悠《イメージのあなた(野洲)》(2026)リトグラフ、BFK紙

 富山県の黒部市美術館で法廷画家としても活躍するアーティスト・松元悠の個展「松元悠 イメージのあなた」が開催される。会期は10月10日〜12月20日。

他者との関係を絵画に表す

 松元悠は1993年京都府生まれ。ニュースや法廷画家としての活動で出会った事件をもとに現地取材を行い、当事者を自身の姿に置き換えたリトグラフ作品を制作してきた。本展は初期から新作まで、松元のほぼ全作品を展示し、作品を通して立ち現れる作家自身の視点の広がりを捉えようとするもの。

 今回の展示では、約60点の作品を8つのセクションに分けて紹介し、松元の活動を多面的に取り上げる。各セクションは、「ニュースと版画」「法廷と版画」「物語と版画」「産業と版画」「運動と版画」「日用品と石版画」「日常と版画」「版画の後日談」に分かれており、松元の置かれた立場の変化や、リトグラフならではの多面的な役割に触れながら、セクションを横断して作品を比較しつつ鑑賞する構成となる。

 なかでも「版画の後日談」で松元は、作品発表後に生じるイメージの伝播と再解釈の過程に焦点を当てることを試みる。作品が社会のなかで新たな受け手へと媒介されることで生まれる「後日談」を通じて、人々が出来事をどのように受容し、向き合うのかに注目する。

 また、「運動と版画」では、富山を舞台とする作品展示を展開。1918年7月、米価高騰に苦しむ富山の女性たちが起こした抗議運動「米騒動」を題材に、松元が自ら富山の現地へ赴き取材を重ね制作した作品が紹介される。

 会場では、版画史におけるリトグラフの報道性を前提にしつつ、ニュースと受け手のあいだを揺らぐような画面構成の作品を展観。アルミ版や石版によるリトグラフが合計60点程度公開される予定だ。