2026.10.2

「円山応挙 リアルの先へ 空間革命」が江戸東京博物館で開催。初期から晩年にかけての画業をたどる

江戸時代の絵師・円山応挙(1733〜95)の画業の全貌に迫る展覧会「円山応挙 リアルの先へ 空間革命」が、東京・両国の江戸東京博物館で開催される。会期は11月28日〜2027年1月24日。

円山応挙《松に孔雀図襖(部分)》(寛政7年、1795)重要文化財 兵庫・大乗寺
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 東京江戸時代の絵師・円山応挙(1733〜95)の画業の全貌に、初期から晩年まで120点を超える作品で迫る、江戸東京博物館リニューアル記念特別展「円山応挙 リアルの先へ 空間革命」が開催される。会期は11月28日〜2027年1月24日。担当は同館学芸員の朴美姫。会期後は、大阪市立美術館に巡回する予定だ。

 円山応挙は江戸時代後期に活躍した絵師で、円山派の祖。1733(享保18)年に丹波国桑田郡穴太村(現・京都府亀岡市)の農家の次男として生まれる。10代の頃に京の都に出て画技の研鑽に努め、玩具店・尾張屋にも奉公。一時期狩野派の絵師のもとで学んだが、中国画までを含む様々な流派の画風を摂取し、写生を重視した独自の画風を確立。多くの弟子を抱え、40代半ば以降は一門で数々の障壁画制作をこなし、国宝《雪松図屏風》(1786頃)や、兵庫県大乗寺客殿の襖絵などを生み出し、近代の日本絵画のひとつの礎を築いたと評される。

 写生を重視し、対象を的確にとらえたと評されることが多い応挙だが、本展は応挙を、気配や時間、空間全体で世界を表現する、「リアル」を超えた表現を試みた芸術家としてとらえ、その魅力と革新性に迫るものだ。

5章構成でその画業の全貌に迫る

 展覧会は5章構成。第1章「絵師応挙の誕生」(〜1766)では、応挙の初期の画業を紹介する。

円山応挙《眼鏡絵 明州津・三十三間堂図》(18世紀) 神戸市立博物館
のぞき眼鏡(直視式)神戸市立博物館 前期展示(11月28日~12月24日) 
円山応挙《双鶴図》(明和2年、1765) 八雲本陣記念財団 前期展示(11月28日~12月24日)

 狩野探幽の流れをくむ石田幽汀に学びながらも、中国絵画・沈南蘋の画風も学んだという。さらにこの時期の応挙において注目すべきなのは「眼鏡絵」への取り組みだ。「眼鏡絵」は西洋で生まれた線遠近法を取り入れ、凸レンズを通して見ることで特殊な効果を得られるものだ。このような例を上げつつ本章では応挙がその空間表現をどのように得てきたのかを探る。

円山応挙《秋野暁望図》(明和6年、1769) 後期展示(1月2日~24日)
円山応挙《驟雨江村図》(明和6年、1769) 後期展示(1月2日~24日)

 第2章「明和(明和3〜9年、1766〜72)」は、応挙が「応挙」と名のり始めた明和3年以降の足取りをたどる。この時期に応挙に影響を与えたのは、円満院門主の祐常だった。この交流は応挙が写生に向かうひとつの契機となった。本章ではこうした写生への傾倒を感じられる作品を展示する。

円山応挙《虎図》(安永9年、1780) セインズベリー視覚芸術センター ©︎ Sainsbury Centre, University of East Anglia, United
円山応挙《華洛四季遊戯図巻(部分)》(18世紀) 徳川美術館

 第3章「安永(安永元〜10年、1772〜81)」は、三井家をはじめとする京都の上層町人の支持を得た時代の作品を紹介。本章ではセインズベリー視覚芸術センターから里帰りする《虎図》(安永9年、1780)をはじめ、京を代表する絵師となっていった時代の作品を紹介。

傑作とされる障壁画も集結

円山応挙《牽牛花図》(天明4年、1784) 後期展示(1月2日~24日)
円山応挙《雪松図屏風》(18世紀)国宝 三井記念美術館 展示期間:11月28日~12月6日

 第4章「天明(天明元〜9年、1781〜89)」は、名声が広まり、各地の寺社で障壁画を手がけるようになった時期の作品を展示。この頃には門人をまとめながら、巨大な障壁画を手がけるようになった。本章では応挙の傑作とされる国宝《雪松図屛風》をはじめ、その大胆な構図と簡略化による空間表現が鮮烈な大英博物館所蔵の《氷図屏風》(ともに18世紀後半)なども展示される。

円山応挙《郭子儀図襖(部分)》(寛政2年、1790) 兵庫・大乗寺
円山応挙《松に孔雀図襖」(部分)》(寛政7年、1795)重要文化財 兵庫・大乗寺

 第5章「寛政(寛政元〜7年、1789〜95)」は、天明の大火後で被災した京都で始まった御所造営の際に制作された障壁画などを紹介。土佐派や狩野派といった歴史ある流派とともに、応挙は一門を率いて障壁画に参加した。大乗寺の《郭子儀図襖》(寛政2年、1790)や《松に孔雀図襖》(寛政7年、1795) といった襖絵が展示され、晩年まで大画面と向き合った応挙の姿勢を紹介する。

 江戸時代の日本美術が、部屋という空間のなかで楽しまれていたという前提のもと、応挙の巧みな空間表現に迫る展覧会となりそうだ。