2026.2.28

「驚異の部屋の私たち、消滅せよ。」が大阪中之島美術館で開催。森村泰昌×ヤノベケンジ×やなぎみわが邂逅、共同制作の新作も

関西を拠点に国際的な活動を展開してきた森村泰昌、ヤノベケンジ、やなぎみわの3名による大規模展「驚異の部屋の私たち、消滅せよ。」が、4月25日〜7月20日に大阪中之島美術館で開催される。

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 関西を拠点に国際的な活動を展開してきた森村泰昌ヤノベケンジやなぎみわ。この3名による初の大規模展「驚異の部屋の私たち、消滅せよ。」が大阪中之島美術館で開催される。会期は4月25日〜7月20日。

 本展は、森村の呼びかけにヤノベケンジ、やなぎみわが応答するかたちで実現したもの。万博イヤーの翌年というタイミングで、大阪にゆかりの深い3人が再び交錯する。

 展示は新作を中心に構成され、各作家のこれまでの活動を凝縮した「驚異の部屋」となることを目指す。さらに、3人による初の共同制作も発表される予定。

「旗」を掲げるプロローグから始まる5つの部屋

 展覧会はプロローグにおいて、3人の共同制作の様相を呈する立体作品から始まる。それは純然たる合作というよりも、「私たちは、それぞれの旗を掲げる」という宣言の場であり、三者三様の立場表明が示される導入部になるという。

森村泰昌 ヤノベケンジ やなぎみわ 私たちは、それぞれに旗を掲げる。 (ラフスケッチ) 2026

 続く展示は「Room1」から「Room5」までの5章構成。観客は「見知らぬ都市の散歩者」として空間を巡ることになる。

 Room1「博覧会は子供の領分」では、ヤノベの大阪万博跡地での原体験を起点に新旧作品を集積。テスラコイルによる電気を流す《稲妻絵画》も展示され、1日2回の通電が予定されている。

ヤノベケンジ 稲妻絵画(イメージ図) 2026

 Room2「広場にパノラマ島奇譚」では、森村の新作《M式・大阪八景》が展示。大阪にちなんだ8つの場所で撮影されたセルフポートレイトが、昭和文化を象徴する映画看板の絵師との協働によって看板化。森村自身の音声による「語り」も加わり、都市の記憶をめぐる装置として機能する。

森村泰昌 M式・大阪八景/通天閣の前でバルドーもどき 2026

 Room3「坂道のオード(賛歌)」では、やなぎによる「黄泉平坂」の世界が展開される。福島の桃果樹園を10年間撮影した写真シリーズや鋳造作品、新作映像に加え、舞台公演「黄泉平坂〜排斥と遊戯〜」も会期中に上演。写真、彫刻、演劇が交差するやなぎの総合的実践が提示される。

やなぎみわ Juggling with Peaches Ⅰ 2024 撮影=守屋友樹

 Room4「迷宮を紡ぐ厳粛な綱渡り」では3作家が再集結。森村は木谷千種の《浄瑠璃船》(1926)を原画に、新たなビジュアル世界に挑む最新作を発表。ヤノベは新作《八卦連環》シリーズ全8本を初めて一堂に展示し、刀匠・河内國平との協働による太刀作品も紹介される。またやなぎは世界各地の女性の船首像を撮影したシリーズを新作とともに展示し、征服と神話のイメージを読み替える。

森村泰昌 境界線上の舟遊び(「浄瑠璃船」のために)習作(参考作品) 2026
ヤノベケンジ 八卦連環‐火 2025 撮影=表恒匡
やなぎみわ アルゴー船の船首像 2 2019

 そしてRoom5「絶望するな。では、失敬。」。当初は想定されていなかった「消滅美術館」という発想が組み込まれた最終章であり 、「消滅」という言葉の核心が提示される場となる。

 「消滅せよ。」という挑発的なタイトルは、美術館制度や美術史の中心性に対する問いでもあるだろう。万博の記憶が残る大阪で、3人の「私」が掲げる旗はどこへ向かうのか。本展は、その行方を観客自身に問い返す場となるだろう。