2025.8.28

「テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート」、国立新美術館と京都市京セラ美術館で開催へ

国立新美術館、ソニー・ミュージックエンタテインメント、朝日新聞社が、国立新美術館で「テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート」を開催する。東京展の後、京都市京セラ美術館へ巡回予定。

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 国立新美術館、ソニー・ミュージックエンタテインメント、朝日新聞社が、国立新美術館で「テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート」を開催する。会期は2026年2月11日〜5月11日。東京展の後、京都市京セラ美術館へ巡回予定。

 本展は、イギリスを代表する美術館である「テート美術館」のコレクションを中心に、1990年代の英国美術の革新的な創作の軌跡を多角的に紹介するもの。約60名の作家による約100作品を通して、この時代のクリエイティブな熱狂がいかに世界のアートシーンに決定的な影響を与えたのかを検証する。

テート・ブリテン Photo © Tate
テート・モダン Photo © Tate

 タイトルにあるYBAとは、「ヤング・ブリティッシュ・アーティスト(YBA)」を指す言葉。1988年7月、ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジで学んでいたダミアン・ハーストが、ロンドン東部の倉庫街で学生や卒業生の作品を発表する展覧会「フリーズ」展を企画。1992年に『アート・フォーラム』誌上で美術史家のマイケル・コリスはここに参加したハーストや同世代の作家たちを「ヤング・ブリティッシュ・アーティスト(YBA)」と呼び、サーチ・ギャラリーで開催された同名の展覧会によりYBAという言葉は一般に広がった。

 本展は、テート美術館が自ら編んだ、YBAと90年代英国アートの決定版。世界最大級の近現代美術コレクションを誇るテート美術館の所蔵作品から、約60名の作家によるおよそ100点の作品を通じて、90年代の英国美術の革新的な創作の軌跡を検証する。参加作家は、ダミアン・ハーストジュリアン・オピー、ルベイナ・ヒミド、スティーヴ・マックイーン、トレイシー・エミン、ヴォルフガング・ティルマンスなどそうそうたるラインナップだ。

 テート美術館のコレクション部門ディレクター兼キュレーターであるグレゴール・ミューアとテート・ブリテンの現代美術部門のキュレーターであるヘレン・リトルは本展に際し、以下のようなコメントを寄せている。

テート美術館にとって初めての「90年代の英国美術」を振り返る展覧会を、東京と京都の名高い美術館で開幕できることを、大変光栄に思います。1990年代の英国は、政治・経済・文化の面で大きな変革を経験した時代でした。そうした社会状況のなかで、多くのアーティストたちが新たな表現や探求に挑戦していきました。来場者の皆さまにとって、本展覧会が、変化に富む英国社会の中で生まれた作品や作家の精神の神髄に触れる機会になればと願っています。変化の著しい現代においてもなお、この時代の芸術は重要な意味を持ち続けています。(グレゴール・ミューア)
1990年代において英国のアートシーンと深いつながりを持っていた日本で本展を開催できることを、大変うれしく思います。展覧会の企画を進める中で、多くのアーティストが日本で作品を発表したり、日本から創作のインスピレーションを得たりするなど、両国の間に数多くのつながりがあることを改めて確認することができました。英国の歴史の一時代を従来の美術史的な枠組みを越えて掘り下げ、英国各地で展開されたアーティストたちの活動とその成果を一つの物語として描き出すことは、とても意義深く充実した経験でした。来場者の皆さまにも、地域間のつながりや、変革と創造に満ちたあの時代の空気を感じ取っていただけたら幸いです。(ヘレン・リトル)

 なお本展のロゴや広報に関わるキービジュアルのデザインは、コラージュアーティストでありデザイナーの河村康輔が手がけた。