2025.7.22

梅田哲也による新作の劇場ツアー型パフォーマンス。「シアターウォーク/A Walk in Theater」が名古屋で開催へ

国内外でツアー型作品を多数発表したアーティスト・梅田哲也による新作パフォーマンス「シアターウォーク/A Walk in Theater」が、9月15日〜20日の期間に名古屋市のメニコン シアターAoiで開催される。

「Walk about Water」(ナムジュン・パイク・アートセンター、2024) Photo by Nam June Paik Art Center
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 名古屋市中区のメニコン シアターAoiは、2025年度の主催事業として、アーティスト・梅田哲也による新作パフォーマンス「シアターウォーク/A Walk in Theater」を開催する。会期は9月15日〜20日。

 本作は、同シアターが入居する株式会社メニコンの本社社屋を舞台とし、観客が劇場の裏側や普段は立ち入ることのない空間を巡る“ツアー型パフォーマンス”として実施される。

 公演では、複数のガイドが観客グループを引率し、道中で日常と非日常が交錯するような場面や、見慣れた風景がわずかにずれたような不思議な光景に遭遇するという。劇場という機能的な空間を移動しながら、観客が“見る側”でありながら“見られる側”にもなるといった視点の転換が仕掛けられた構造が特徴だ。

「リバーウォーク」(KYOTO EXPERIMENT、2022) Photo by Yuki Moriya

 梅田はこれまで国内外で類似のツアー型作品を多数発表しており、観客の時間的・空間的な感覚に揺さぶりを与える表現を追求してきた。とくに、ガイドツアーの構造を通じて演劇・美術・音響などの要素が交差する場をつくり出す手法は、「Birds Watching(鳥に見られている)」と自ら表現する。近作には、高槻現代劇場での「9月0才」(2022)、KYOTO EXPERIMENTでの「リバーウォーク」(2022)、韓国のナムジュン・パイク・アートセンターでの「Walk about Water」(2024)などがある。

 愛知県との関わりも深く、豊田市美術館での展覧会「知覚の扉Ⅱ」(2010)や「あいちトリエンナーレ2010」「同2019」などへの参加歴を持つ。国内でのツアー型パフォーマンスの発表は、2023年末から2024年初頭にかけてワタリウム美術館で開催された個展「待ってここ好きなとこなんだ」以来となる。

「待ってここ好きなとこなんだ」(ワタリウム美術館、2023-24) Photo by KANAGAWA Shingo
「うたの起源」(福岡市美術館、2019-20) Photo by Yamanaka Shintaro (Qsyum!)

 今回の公演では、梅田が拠点とする空間や時間の概念を再構築し、観客を新たな知覚体験へと誘う。なお、梅田は今年の瀬戸内国際芸術祭の夏と秋会期への参加、12月25日から東京都現代美術館で開催される「TCAA(Tokyo Contemporary Art Award)受賞者展」への出品も予定しており、精力的な活動が続く。