2025.5.23

今週末に見たい展覧会ベスト11。《美しきシモネッタ》の特別公開から21世紀美術館のジャネット・カーディフまで

今週閉幕する/開幕した展覧会のなかから、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。なお、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

ボッティチェリ 美しきシモネッタ
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もうすぐ閉幕

「ボッティチェリ 美しきシモネッタ」特別公開展(丸紅ギャラリー)

ボッティチェリ 美しきシモネッタ

 丸紅ギャラリーで開催中の「『ボッティチェリ 美しきシモネッタ』特別公開展」が5月24日に閉幕する。

 本展は、東京国立近代美術館で例年開催される「美術館の春まつり」と連携し、丸紅が所蔵する日本で唯一のサンドロ・ボッティチェリのテンペラ画《美しきシモネッタ》を特別公開するもの。2022年に開催された「開館記念展Ⅲ ボッティチェリ特別展《美しきシモネッタ》」に続き、《美しきシモネッタ》の来歴をたどるとともに、ほかのシモネッタの肖像画との比較、本作品の科学鑑定など、様々な角度から作品の魅力を紹介している。

会期:2025年3月18日~5月24日
会場:丸紅ギャラリー
住所:東京都千代田区大手町1-4-2 丸紅ビル3階
開館時間:10:00〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:日祝
料金:500円

「DESIGN MUSEUM JAPAN展 2025」(国立新美術館

展示風景より

 東京・六本木の国立新美術館で、「DESIGN MUSEUM JAPAN展 2025~集めてつなごう 日本のデザイン~」が5月25日まで開催中だ。

 本展は、日本各地に存在する優れた「デザインの宝」を発掘し、クリエイターの視点でひも解くことでその魅力を可視化。そしてネットワーク化を試みるものだ。この企画は2021年頃から国内外の各施設で開催されており、展覧会として国立新美術館で開催されるのは3回目となる。会場レポートはこちら

会期:2025年5月15日~25日
会場:国立新美術館 3階 展示室3B 
住所:東京都港区六本木7-22-2 
電話番号:050-5541-8600 (ハローダイヤル) 
開館時間:10:00~18:00 ※入場は閉館の30分前まで 
休館日:5月20日 
料金:無料

「Hibiya Art Park 2025 –訪れるたび、アートと出会う1ヶ月–」(日比谷公園内)

維新派 屋台村&上映会 トワイライト にれのき広場付近

 東京都主催のアートイベント「Hibiya Art Park 2025 -訪れるたび、アートと出会う1ヶ月‐」が5月25日に閉幕する。

 東京都は、四季折々の花と光の演出によって公園の新たな楽しみ方を提案する「花と光のムーブメント」企画を実施中。昨年、大巻伸嗣、永山祐子、細井美裕が参加するアートイベント「Playground Becomes Dark Slowly」が日比谷公園で開催され、大きな話題を集めた。

 今年は、インスタレーションを中心とした第1期「Transformed Composition -組み合わせと見立てで遊ぶ-」(4月25日〜5月11日)と、パフォーミングアーツに焦点を当てた第2期「“Play”ing Catch -集まり方の練習- 」(5月17日〜25日)という2会期にわけて開催。現在開催中の第2会期では、維新派 屋台村&上映会『透視図』・『トワイライト』、上田久美子+miu+川村美紀子『呼吸にまつわるトレーニングプール -皇居のお堀編- 』、小泉明郎『火を運ぶプロメテウス』、小山田徹『火床』といったプログラムが実施されている。

会期:2025年4月25日〜5月25日
会場:日比谷公園
住所:東京都千代田区日比谷公園1-6

第1期「Transformed Composition 組み合わせと見立てで遊ぶ」
会期:2025年4月25日〜5月11日
第2期「“Play”ing Catch -集まり方の練習- 」
会期:2025年5月17日〜25日

「没後80年 小原古邨 ―鳥たちの楽園」(太田記念美術館

前期展示風景より、2階展示室

 太田記念美術館で「没後80年 小原古邨 ―鳥たちの楽園」が5月25日まで開催されている。

 小原古邨(1877〜1945)は、明治末から昭和前期にかけて活躍した花鳥画の絵師。日本ではしばらくその存在が忘れられていたが、近年、注目が集まり、茅ケ崎市美術館(2018)や石川県立歴史博物館(2021)、佐野美術館(2022)など、各所で展覧会が開催されている。

 同館でも2019年2月に古邨を紹介する展覧会を開催し、1日あたりの入館者数が同館の歴代2位になるほど、予想を上回る人気を博した。古邨が亡くなってちょうど80年となる今年、改めてその花鳥画を紹介している。会場レポートはこちら

会期:2025年4月3日~5月25日
会場:太田記念美術館
住所:東京都渋谷区神宮前1-10-10
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:30~17:30 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月
料金:一般 1000円 / 大学・高校生 700円 / 中学生以下無料

「北斎×プロデューサーズ 蔦屋重三郎から現代まで」(すみだ北斎美術館

展示風景より、山東京伝『新吉原細見』(1792) 板元:蔦屋重三郎

 すみだ北斎美術館で開催中の「北斎×プロデューサーズ 蔦屋重三郎から現代まで」が5月25日までの会期となっている。

 同展は、浮世絵師による有名な作品の展示のみならず、その板元(版元)たちがどのように絵師たちをプロデュースし、世に作品を生み出してきたかをたどる展覧会となっている。現在、NHKにて放送中の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」とあわせて鑑賞したい内容だ。会場レポートはこちら

会期:2025年3月18日〜5月25日 ※前後期で一部展示替えを実施
会場:すみだ北斎美術館 3階企画展示室
住所:東京都墨田区亀沢2-7-2
開館時間:9:30~17:30 ※入館は17:00まで
休館日:月(ただし、祝日または振替休日の場合はその翌平日休館)
料金:一般 1000円 / 高校・大学生、65歳以上 700円 / 中学生 300円 / 小学生以下 無料

手塚治虫「火の鳥」展(東京シティビュー)

手塚治虫「火の鳥」展のプロローグ「火の鳥・輪廻シアター」 ©Tezuka Productions

 六本木ヒルズ森タワーの59階にある東京シティビューで、手塚治虫「『火の鳥』展─火の鳥は、エントロピー増大と抗う動的平衡(どうてきへいこう)=宇宙生命(コスモゾーン)の象徴─」が5月25日まで開催されている。

 本展は、生物学者・福岡伸一を企画監修に迎え、手塚治虫が描いた『火の鳥』の壮大な物語を福岡が専門とする生命論や動的平衡という視点から再解釈し、作品に込められた現代における価値を見出すことを試みるものだ。会場レポートはこちら

会期:2025年3月7日~5月25日
会場:東京シティビュー
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52F
電話:03-6406-6652
開館時間:10:00~22:00 ※最終入館は21:00まで
休館日:会期中無休
観覧料:一般 2300円 / 高校・大学生 1700円 / 4歳~中学生 800円 / 65歳以上 2000円

相国寺承天閣美術館開館40周年記念「相国寺展―金閣・銀閣 鳳凰がみつめた美の歴史」(東京藝術大学大学美術館

伊藤若冲筆 梅荘顕常賛 竹虎図(部分) 江戸時代 18世紀 鹿苑寺蔵

 東京藝術大学大学美術館で「相国寺承天閣美術館開館40周年記念 相国寺展―金閣・銀閣 鳳凰がみつめた美の歴史」が5月25日まで開催されている。

 相国寺は、室町幕府三代将軍・足利義満(1358〜1408)が1382年に発願し、京五山禅林の最大門派であった夢窓派の祖・夢窓疎石(1275〜1351)を勧請開山に迎え、高弟の春屋妙葩(1311〜88)を実質上の開山とし創建された禅宗の古刹。いまも京都の地、御所の北側にその大寺の姿を誇り、金閣寺、銀閣寺の通称で名高い鹿苑寺、慈照寺を擁する臨済宗相国寺派の大本山だ。創建から640年あまりの歴史を持つ相国寺は、時代を通じ、数々の芸術家を育て、名作の誕生を導いてきた。

 本展は、相国寺承天閣美術館の開館40周年を機に開催されているもの。国宝・重要文化財40件以上を含む相国寺派の名品を中心に紹介し、相国寺の美の世界を見つめ直すことを試みている。

会期:2025年3月29日〜5月25日
会場:東京藝術大学大学美術館
住所:東京都台東区上野公園12-8
電話番号:050-5541-8600 
開館時間:10:00〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで 
休館日:月 
料金:一般 2000円 / 高校・大学生 1200円 / 中学生以下 無料

「パウル・クレー展 創造をめぐる星座」(兵庫県立美術館

展示風景より、パウル・クレー《北方のフローラのハーモニー》(1927)

 神戸市にある兵庫県立美術館で開催中の「パウル・クレー展──創造をめぐる星座」が5月25日に閉幕する。

 スイスのパウル・クレー・センターの学術協力のもと開催される本展は、クレーの生涯を時系列で追ういままでのオーソドックスな構成に加えて、同時代のアーティストらの作品もあわせて紹介。クレーと交流のあったアーティストによる作品との比較や、当時の貴重な資料の参照を通じて、多くの人や情報が構成する星座(=コンステレーション)のなかでクレーをとらえ直し、その活動の軌跡をたどるものとなっている。会場レポートはこちら

会期:2025年3月29日~5月25日
会場:兵庫県立美術館
住所:神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1(HAT神戸内)
開館時間:10:00~18:00 ※入場は閉館の30分前まで 
休館日:月
料金:一般 2000円 / 大学生 1500円 / 70歳以上 1000円 / 高校生以下 無料 / 障害者手帳等をお持ちの一般・大学生はそれぞれ500円 350円

今週開幕

「生誕150 年記念 上村松園と麗しき女性たち」(山種美術館

展示風景より、中央が上村松園《蛍》(1913)

 山種美術館で、日本画家・上村松園(1875〜1949)の生誕150年を記念した特別展「上村松園と麗しき女性たち」が始まった。

 松園は1875年京都生まれ。幼い頃より絵を描くことを好み、外形の美しさだけではなく、高い品格を伴った自身の理想とする女性像の表現を、生涯をかけて追求した。「美人画の名手」として高く評価され、73歳で女性として初めて文化勲章を受章している。

 本展では、画業の初期から晩年までの22点の優品を通じて、上村作品の魅力にせまる。あわせて、同じく2025年に生誕130年を迎える小倉遊亀、生誕120年の片岡球子など、様々な画家による麗しき女性たちの姿を描いた作品も紹介されている。会場レポートはこちら

会期:2025年5月17日~7月27日
会場:山種美術館
住所:東京都渋谷区広尾3-12-36
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル) 
開館時間:10:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし、7月21日は開館)、7月22日
料金:一般 1400円 / 大学・高校生 1100円 / 中学生以下 無料(付添者の同伴が必要)

ジャネット・カーディフ 40声のモテット(金沢21世紀美術館

撮影=渡邉修 写真提供=金沢21世紀美術館

 金沢にある21世紀美術館で、同館コレクション作家ジャネット・カーディフによる作品《40声のモテット》が5月24日より展示される。

 この作品は、16世紀イングランドの作曲家トマス・タリスの「40声のモテット」(Spem in Alium)をもとにしており、40台のスピーカーから再生される聖歌隊の40人の声が、空間を彫刻のように構築するサウンドインスタレーションだ。楕円形に配置されたスピーカー1台ごとに個々の声が響き、重層的に音が重なりあうことで、まるでその場に40人の合唱が生まれるかのような臨場感を生み出すものとなる。

会期:2025年5月24日〜9月15日
会場:21世紀美術館
住所:石川県金沢市広坂1-2-1
電話番号:076-220-2800 
開館時間:10:00〜18:00(金土〜20:00) 
休場日:月(ただし7月21日、8月11日、9月15日は開場)、7月22日、8月12日

「横尾忠則の肉体派宣言展」(横尾忠則現代美術館

ポスターデザイン:横尾忠則

 横尾忠則現代美術館で「横尾忠則の肉体派宣言展」が5月24日に開幕する。

 横尾の芸術と肉体は密接に関わってきた。それはたんに人のフォルムを描くだけではなく、理性や思考を手放し、体の赴くままに筆をふるうという横尾の制作態度そのものにも現れている。

 本展では「描く肉体」として横尾の身体性を大きく反映した表現主義的な技法や横尾流朦朧体がもちいられた作品群を展示。また「描かれる肉体」として三島由紀夫やリサ・ライオンなどモチーフに選ばれてきた多様な身体を紹介する。

会期:2025年5月24日〜8月24日
会場:横尾忠則現代美術館
住所:兵庫県神戸市灘区原田通3-8-30
電話番号:078-855-5607
開館時間:10:00〜18:00 ※入場は閉館の30分前まで 
休館日:月(ただし7月21日、8月11日は開館)、7月22日、8月12日 
料金:一般 800円 / 大学生 600円 / 70歳以上 400円 / 高校生以下 無料